好調な決算を発表した三菱商事は買いか?

昨日、楽天証券の投資情報サイト「トウシル」を読んでいたら、一つ気になった記事があったので取り上げてみたいと思います。それは

「三菱商事が最高益更新・増配発表でも売られた理由。どうなる日経平均?」

という内容の物だったのですが、最近の日本の株価の動きや世界の流れに対する疑問とも重なっていたのでとても興味深かったです。というわけで今日はこのテーマで話を進めていきたいと思います。

記事の概略

「トウシル」は楽天証券が運営する投資情報サイトで、とても専門的な情報からユニークな視点での投資判断など様々な情報があり、とても重宝しています。そんな「トウシル」に昨日掲載された「三菱商事が最高益更新・増配発表でも売られた理由。どうなる日経平均?」という記事ですが、簡単に説明すると、

  • 大きなイベントを波乱なく終えて日経平均は上昇している
  • しかし、日本株には多くの不安が残る
  • それを象徴するように好決算を発表した三菱商事の株価が冴えない
  • 長期的には割安な日本株は買い

というものでした。大きなイベントとは衆議院選挙とFOMCのことです。衆議院選挙は与党が安定多数を確保したことがいい意味で予想を裏切り、市場は好感しました。また、FOMCでの内容も事前予想通りだったため、市場は安心感から買いが継続したとのことです。また、決算内容が好調だったことと、新型コロナウィルスパンデミックの影響が落ち着いてきていることも株価上昇の要因となっています。

ただ、日本株については不安があるといっており、中国の信用不安による景気減速リスク、岸田政権の政策への不安、そして日本にはオールド企業が多いということが外国人投資家から敬遠されているということでした。オールド企業というのは大手総合商社など化石燃料を扱っている企業などのことを言っているのでしょう。そして、その象徴として三菱商事を取り上げています。

三菱商事の決算

引用:トウシル 三菱商事が最高益更新・増配発表でも売られた理由。どうなる日経平均?より

三菱商事の9月中間決算は非常に良好なものでした。通期の純利益を大幅に上方修正し、4.3倍の7,400億円としています。さらに増配も発表し、134円から142円としています。この結果配当利回りは4.0%、PERは7.0倍と非常に割安で配当利回りもよいという素晴らしい銘柄となりました。

三菱商事の株価 決算発表後、大きく下落している。

しかし、株価はさえません。決算発表後は右肩下がりで下落しています。その原因として記事では2点あげています。

  • 三菱商事の好業績は一時的であるとみている
  • 化石燃料ビジネスで大きな利益を上げているため、ESG投資の観点からの売り

現在は資源価格が高騰しています。なので資源を扱っている総合商社の株価は上昇していますが、これは一時的だとみているのです。たしかに、資源価格が落ち着いてくれば、資源高を理由に投資していた資金は逃げていくでしょう。そして、もう一つはいま世界の潮流となっているESG投資の流れによるものです。化石燃料に対する風当たりは日に日に強くなってきています。機関投資家はESGに対する姿勢の悪い企業には投資をしないという動きは近年よく見られるものです。そういう意味では三菱商事のような化石燃料を扱っている企業にはなかなか投資資金は集まりづらいとのことです。

個人的には総合商社は買い

今回の記事を読んで、率直に思った感想は「総合商社は買い」です。決算内容だけ見れば非常に良好で、株価も割安となれば投資しない選択肢はありません。三菱商事のような大企業の株が配当利回り4.0%、PER7.0倍で買えて、しかも増益予想というのであればこれ以上の物はないでしょう。化石燃料に対する風当たりは非常に強いので、購入するのにためらう動きもあるかと思いますが、私は問題ないと思っています。確かに世界の流れから言えばクリーンエネルギーが今後は主流になるのかもしれません。しかし、完全に化石燃料に置き換わるには相当の時間がかかると思います。太陽光発電など多くの再生可能エネルギーが出てきてはいますが、全エネルギー源に対する割合は本当にごくごく一部にすぎません。新興国をはじめ、多くの国ではまだ石炭や石油に多くのエネルギー源を頼っているのが現状です。しかも、再生可能エネルギーは非常に不安定であり、ベースロード電源となるには現在の技術レベルでは不可能でしょう。現に今年はヨーロッパで風があまり吹かず、風力発電があまり使えずに天然ガスで不足分を補う動きが出てきています。それによって天然ガス価格は非常に高騰しました。このように、先進国ですら満足にクリーンエネルギーのみで全エネルギーを調達できていない状況なのに、世界に約200ある国すべてで化石燃料を使用せずにエネルギーを確保できるなんてことはまず無理でしょう。そういう意味でも化石燃料の需要は十分にあり、総合商社の業績も良好な状態が続くのではないのかなと思います。

まとめ

今回は「トウシル」の記事を読んでの私なりの考えを述べてきました。最近の化石燃料に対する風当たりは明らかにおかしいと思います。私は地球温暖化が嘘だとは言いません。専門家ではないのではっきり否定もできませんが、昔と比べて明らかに環境が変わっているような気はしています。私は北国に住んでいますが、最近は冬の雪も少ないし、夏も以前のようなさわやかな感じではなく、ジメっとした東京のような夏になる日も多くなりました。なので、環境対策をやらなければいけないということには賛成です。しかし、やり方に明らかに問題があると思っています。今までのやり方をすべて否定し、一気に180度転換しようというのは無理があります。少しずつ無理のない範囲で変わっていけばいいと思うし、日本にはその技術もたくさんあるはずです。石炭を使っても極力温室効果ガスが出ないような発電設備とか、日本の強みを活かして環境対策をしていけばいいと思います。個人的にはいまの環境保護に対する流れはなくなるとは思いませんが、形は変わってくると思います。蓄電池など大きな技術革新でもない限り、再生可能エネルギーだけでのエネルギー源確保は無理だといずれ気づくのではないでしょうか。そうなれば過度な化石燃料に対する拒否反応は少なくなり、現実的な方法での環境対策に移っていくと思います。そういう意味でも現在の総合商社の株価は、長期的に見れば非常に割安で投資価値のある銘柄だと思います。環境対策においては日本はいつも批判の対象となりがちですが、いずれこの動きは変わると思います。そうなればいま割安で放置されている日本株の中にも大きな可能性を秘めているものがたくさんあるような気がしました。

トウシル 楽天証券の投資情報メディア

※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴…