インフレが依然高水準で推移しおり、FRBによる金融引き締めも厳しくなる中、米国経済は依然強さを失っていないようです。先日発表された経済指標が予想以上に強く、米国経済はいまだに成長を続けているようです。そのためより厳しいFRBの対応がされるのではないかという警戒感も出て、株価は逆に低下するということになっています。このように米国経済は依然強さを見せてはいますが、株式市場は非常に不安定な状態となっています。そういうわけで今日は先日発表された経済指標についてみていきます。
ISM指数は予想外の上昇
米供給管理協会(ISM)が発表した5月の製造業総合景況指数は市場予想を裏切り、大きな上昇となりました。
- 5月の製造業総合景況指数は56.1、前月の55.4から上昇
- 新規受注は3カ月ぶりの高水準、受注残の数字も上昇
引用:Bloombergより
このように5月も指数は大きく上昇しており、FRBによる金融引き締め政策が今後も厳しくなるという見通しの中、依然として需要は旺盛であることがよくわかります。
ISM製造業調査委員会のティモシー・フィオレ会長は統計資料で、「米製造業セクターを囲む環境は依然として需要主導型であり、サプライチェーンの問題に抑制されている」と指摘。「需要に関するセンチメントはなお非常に楽観的で、成長について慎重なコメント1つに対して、5つの前向きなコメントが残された」と説明した。
引用:Bloombergより
このように米国の製造業の現場では現在の状況を非常に楽観視しているようです。
結果が良いので株価は下落する
しかし、このことは金融当局にとっては頭の痛い問題かもしれません。以前需要が旺盛であり、インフレをこのままではとても抑制できない可能性が高いからです。そのため株式市場ではより強い引き締めが行われるのではないかということで、株式市場は下落することになってしまいました。
1日の米株式相場は続落。この日発表された経済指標が堅調で、米金融当局によるインフレ抑制の取り組みがまだ十分でないことが示唆された。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は引き締め政策で経済がリセッション(景気後退)に陥る恐れがあると警戒感を示した。
引用:Bloombergより
このように株式市場ではFRBの金融引き締めが十分ではないとの見方が出てきており、今後もさらなる引き締めが警戒されるようになってきました。そのため経済指標が良かったのにもかかわらず、株価が下落するという状況になっています。実際毎月0.5%もの利上げが行われているにもかかわらずこれだけの需要があるという現実は、FRBの金融政策に影響を及ぼす可能性も十分にあるでしょう。そういう意味でも今回の経済指標の結果は株式市場にとってはあまりよいものではなかったということです。
まとめ
今日は先日発表された米ISM製造業総合景況指数についてみてきました。予想外に良かった結果によって株価は下落するという何とも反応に困るものとなりました。株式投資をやっているとこのようなことはよくあります。内容が良かったのにもかかわらず材料出尽くしだとか、いろいろな理由をつけて株価が下落するのです。本当にこういうことがよくあるので短期売買はやる気が起きません。いずれにせよしばらくはこのような不安定な動きが続くとも割れます。そしていつかはまた上昇するときが来るとは思いますが、それがいつになるのかは誰にもわかりませんし、そのポイントというのはあとからわかるものです。その場にいる人には誰にもわかりません。なので何が起きようとと淡々と投資を継続していくことこそが一番簡単で確実な方法だと思います。