米国経済は依然として堅調。インフレ抑制の道はまだまだ遠い。

米国経済は引き続き堅調なようです。昨日発表された第一四半期のGDPは非常に良好な数値となり、インフレと強い引き締めの中にあっても経済は順調に伸びていることがわかりました。合わせて発表された新規失業保険申請件数も減少傾向を示しており、労働市場も非常に良好であることがわかりました。ただ、それだけにインフレは全く収束する気配がなく、このままではいつまでたってもインフレが収束しそうもありません。当然ながらその状態が続いていけば好調な経済も失速してしまうことでしょう。そういう意味でももう少し過熱感を冷やしておきたいとFRBは考えていると思われます。

GDPは非常に良好

昨日発表された第一四半期のGDPはひじょうに良好な結果となりました。

1-3月(第1四半期)の米実質国内総生産(GDP)確定値は、前期比で年率2%増加した。改定値の1.3%増からは大幅な上方修正。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は1.4%増だった。前四半期は2.6%増。

  1-3月改定値からの上方修正は、輸出と個人消費の上方修正を反映したもの。個人消費は前期比年率4.2%増と、約2年ぶりの高い伸びとなった。

  一方、米金融当局が注視するインフレ指標は小幅に下方修正。食品とエネルギーを除いた個人消費支出(PCE)コア価格指数は、前期比年率4.9%となった。

引用:bloombergより

このように米国経済は厳しいインフレと金融政策下においても堅調に推移しています。経済成長をしているということは良いことではありますが、インフレ抑制を第一においている現在、なかなか悩ましい問題になっています。経済が順調に伸びているようではインフレが落ち着くということはなかなかありえません。そういう意味ではもう少し経済も減速してもらいたいところでしょう。もちろんあま急激に減速してしまっては困るので緩やかに減速してほしいところですが、ここまで強いというのも困りものです。FRBとしてももう少し経済が減速してくれることを期待していたとは思いますが、思うように行ってないというのが正直なところだと思います。結果論ですが、引き締めはもう少し強力にしたほうが良かったのかもしれません。しかし、一歩間違えば奈落の底に突き落とされるような急減速を起こす危険性もあり、なかなかそこまで踏み切れなかったというのが事実なのかなと思います。

労働市場も堅調

労働市場も相変わらず堅調です。先週一週間の新規失業保険申請件数も減少傾向を維持しており、労働市場が未だ堅調であることが確認できました。

先週の米新規失業保険申請件数は前週比2.6万件減少し、23.9万件となった。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は26.5万件だった。 前週は26.5万件。速報値は26.4万件。

  より変動の少ない失業保険申請の4週移動平均は25.8万件に増加した。

  季節調整前ベースでは23.3万件。前週は25.1万件。

  失業保険の継続受給者数は6月17日終了週に1.9万人減の174.2万人。

引用:bloombergより

このように労働市場も堅調です。こちらもインフレ抑制のためにはもう少し落ち着いてもらいたいというところです。しかし、相次ぐ引き締め政策を実施しても労働市場は全くといっていいほど軟化しません。以前ほどの力強さは流石にありませんが、予想されたほど失業率も上昇せず、労働市場は未だ堅調であると言っていいでしょう。そういう意味ではインフレが落ち着くというのはなかなか期待できそうもありません。

どこまで行っても米国経済は弱くならない

本当に米国経済の力強さというのはすごいなという印象しかありません。ここまで長期間に渡り引き締め政策を実行したのにも関わらず、経済は成長を続け、労働市場も一向になんかしないというのはすごいなという一言に付きます。日本からしたら本当に羨ましいという印象しかありません。しかし、FRBからしたら本当に困ったことだという感じなのではないかと思います。これだけ引き締めを行ってもなおインフレが落ち着いてこないというのは流石に予想していなかったのではないかと思います。そうでなければもう少し引き締めを強めていたような気がするからです。もちろんそれでは経済の急減速のリスクもありますが、流石にここまで強いのであればもう少し引き締めても問題はなかったのではないかと感じます。いずれにせよ時間は戻りませんので、今後どうするかを考えるしかありません。そう考えると今後はより一層タカ派へのシフトが加速するのは間違いないのかなというところです。

まとめ

今日は相次ぐ強い経済指標について見てきました。米国経済は本当に力強いです。それだけに金融政策も今後も一層厳しくなっていくことでしょう。流石にこれまでのように急激に金利を引き上げるということはないとは思いますが、しばらく高い状態で維持されることはまず間違いないと言っていいと思います。そういう意味でも株式市場にとっては厳しい時間はまだまだ続きそうです。