パウエル議長が現在の状況について発言する

最近の強いインフレ指標について、FRBも厳しく見ているようです。昨日はFRBのパウエル議長が討論会に参加し、現在の状況を厳しく指摘し、今後も厳しい引き締めを行う可能性について示唆しました。ここのところ厳しい経済指標の発表が相次いでいたため、その可能性についてはマーケットもオリコンではいましたが、改めてパウエル議長からそのような発言を聞けたということで引き続き引き締めが継続されるという可能性が高くなったと言っていいでしょう。

パウエル議長が厳しい現実を指摘

FRBのパウエル議長がECB主催の討論会にて現状認識と今後の金融政策について言及しました。

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、根強い物価上昇圧力を抑え、驚くほど底堅い労働市場を沈静化させるため、連邦公開市場委員会(FOMC)が7月と9月の会合で政策金利を引き上げる可能性があると示唆した。

  議長は28日、欧州中央銀行(ECB)がポルトガルのシントラで主催したパネル討論会に参加。6月に利上げを見送ったFOMCが今後は一会合置きに政策金利を引き上げるのかとの質問に対し、そうかもしれないし、そうならないかもしれないと回答した上で、自身としては連続利上げを排除しないと発言。また年内に少なくともあと2回利上げがあると大半の政策当局者は予想していると、改めて述べた。

  パウエル氏は「政策は景気抑制的だが、十分に抑制的ではない可能性がある。抑制的な政策はまだ十分に長い期間行われていない」と語った。

  経済データは底堅く成長を続ける経済となお整合していると指摘。景気低迷の可能性は有意にあるものの、リセッション(景気後退)が最も可能性の高いケースだとは考えていないと述べた。

  またサプライチェーンの混乱解消が続いているほか、総合インフレ率は低下しており、それらがインフレ期待の抑制維持に寄与していると述べた。ただ特にサービス分野をはじめとする一部カテゴリーで、インフレは進展の兆しがあまり見られていないとも語った。

  食品とエネルギーを除くコアインフレについては2025年まで当局目標の2%に戻ることはないとの見通しを示し、現在の市場の想定よりも長期間にわたり高金利が維持されることを示唆した。

  パウエル議長は「インフレ率が急激に低下し、2%への軌道に乗ったと確信できれば、それは異なった状況になるだろう」と発言。「そうなれば政策の緩和について考え始めることになる。だがそうした状況からはまだ程遠い。現時点でそうしたことは考えていないし、近い将来にもない」と述べた。

引用:bloombergより

このようにパウエル議長は現状のインフレについて非常に厳しく見ていることがわかります。最近は予想以上に強い指標が発表されるということが多くなり、想定よりもインフレがあまり落ち着いていないということが確認されていました。以前よりややタカ派に触れていたFRBですが、その傾向をさらに強める結果になっているのだろうと思っていましたが、それはやはり正しかったと言っていいでしょう。そのため、次回のFOMCではまず間違いなく利上げが行われると思われますし、今後もインフレ指標が強くなるのであればその幅も予想外に大きくなるかもしれません。そういう意味で経済にとっては非常に厳しい状況は続くことが予想され、株式市場もあまり良い結果をもたらさないのではないかと思われます。

より厳しい金融政策に移行する可能性

パウエル議長の発言については最近の経済指標の内容を見る限りはまあそうだろうなという感じです。これだけ予想外に強い経済指標が相次いでいるのであれば、よほどのハト派の人でもないかぎり、引き締めは必要ないとは言えないでしょう。ただでさえタカ派が多くなってきていたFRBがよりタカ派にシフトするのはほぼ間違いないのかなという印象です。なので次回のFOMCで利上げが行われるのはほぼ確定でしょう。問題はその幅が25bpで済むのかということです。おそらくはまだそこまで厳しい引き上げを求める声は大きくはないとは思いますが、その可能性について言及する人も出てきてもおかしくないのではないかと思います。事実、そのような発言をする識者は以前より存在しています。これだけ強い経済指標が発表される前にもそのような考えがあったということは、今はよりその傾向は強くなっているのかなと思います。そういう意味でもFRB内部にもそのような政策を求める声が出てきてもおかしくはないのだろうという感じです。

まとめ

今日はパウエル議長の発言をもとに今後の金融政策について考えてきました。正直、現状はかなり厳しいと言わざるを得ないと思います。インフレの粘着性は想像以上に厳しいです。これが落ち着くには想像以上の時間がかかると思われますし、その間米国経済の回復は見込めないと見たほうがいいでしょう。中国を始め、世界経済も非常に危うい状態であり、それが今後しばらく続くと考えるとなかなか株式市場も期待するほどの結果を残せないのではないかと感じています。