今後も金利の引き上げは継続されるだろう

労働市場の軟化が意識され始めましたが、引き締め政策は今後も続いていきそうです。昨日、セントルイス連銀のブラード総裁は講演にて、今後もインフレ抑制のために利上げの継続をするべきという旨の発言をしました。金融不安もくすぶる中、緩和への期待も一部に存在しますが、それはあまり期待しないほうがいいように思います。

今後も金利の引き上げを継続

先日、セントルイス連銀のブラード総裁はアーカンソー州で行われた講演にて、今後も引き続き金利を引き上げ、インフレ抑制に注力すべきとの発言をしました。

米セントルイス連銀のブラード総裁は6日、金融環境の悪化に対し当局が取った措置は奏功していると述べ、高インフレと闘うための利上げは続けていくべきだと話した。

  ブラード総裁はアーカンソー州リトルロックでのイベントに出席。講演後に記者団に「金融環境に見られたストレスは、少なくとも差し当たり和らいだようだ」と指摘。「従ってインフレとの闘いを続け、ディスインフレの軌道に乗せる取り組みをする良い機会だ」と述べた。

  最近の銀行不安に起因する信用状況の引き締まりについて、米経済をリセッション(景気後退)に追い込むほどの規模ではないと述べ、ローン需要がなおも強いことを指摘した。

  総裁は講演で、「金融環境は一段と引き締まっている」とした上で、「現時点における金融ストレスと金融環境に関する指標は、2007-09年の世界金融危機時に見られた水準と比べると低いレベルにとどまっている」とも指摘。緊急の銀行向け貸し出しファシリティー新設といった連邦準備制度理事会(FRB)による対策は奏功しつつあるようだと評価した。

  「適切なマクロプルデンシャル政策を継続することで金融ストレスを抑えることができる一方、適切な金融政策はインフレに下方向の圧力を与え続けることができる」と述べた。

  ブラード総裁は「強い労働市場を維持しながらもインフレの問題を過去に葬り去ることができるよう、今の金利軌道を進み続け、今年と来年にディスインフレを確実に生じさせるべきだと強く思う」とイベント後に述べた。

  同総裁は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で議決権を持たない。

  講演では「この先のインフレは定着性を持ち、2%目標に押し戻すのは難しいと思われる」と発言。「だからこそ続けなくてはならない」と述べた。

  同総裁は最近の債券利回り急低下が、銀行セクター混乱から生じる米経済への逆風を弱めるとの見解を示した。

  米10年債利回りがこの数週間で50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)、2年債利回りが100bpそれぞれ低下したことに言及。「これが、金融ストレスが高まった後に起こり得るマクロ経済へのマイナスの影響を、幾分和らげるのに寄与する可能性がある」と述べた。

引用:bloombergより

このようにブラード総裁は政策金利の引き上げを今後も行っていく重要性について述べています。SVB破綻を発端とした金融不安や労働市場の軟化など、経済の後退を示すサインが多く出てきていますが、金融政策についてはこれまで通り引き締めていくべきという考えを持っているようです。金融不安についてはリーマンショックほどの大問題には今のところな理想もなく、雇用も落ち着いてきたとはいえ経済はまだそこまでダメージを追っていません。その中でインフレが依然として高いという現状を考えればその様な考えになるのも当然なのかなという印象です。しかし、今後も金融政策を厳しく維持していくのであれば破綻する金融機関も出てくるかもしれませんし、雇用を始めとして経済にも大きな影響を与える可能性も十分にあるでしょう。そうなれば急激に米国経済は悪化し、大きな停滞・後退を招く恐れもあります。そういう意味では非常に難しい判断を迫られることになるでしょう。

うまく行くことを願うばかり

ある程度予想していたことではありますが、この程度のことではFRBは引き締めの手を緩めることはないということです。今回はブラード総裁の発言を取り上げましたが、FRB関係者の多くは同じ様な発言をしています。そういう意味ではこれはFRBの総意といっていいのだろうと思います。なので今後もしばらくは引き締め政策は継続されることでしょう。問題はそれで景気後退を招くことなくソフトランディングを本当に実現できるのかということです。現状でこれだけ金融機関の問題が顕在化し、労働市場も悪化してくれば景気後退というのはすぐそこまで来ているような気がします。ちょっとしたきっかけで一気に景気が大きく交代するという可能性も十分にあるでしょう。そういう意味では今後盛り上げを継続するという決断が本当に正しいのかどうかというのはなんとも言えないところです。私には何が正しいのかなんとも言えませんが、なんとか大きな景気後退を起こすことなく事態をまとめてほしいと願うばかりです。

まとめ

今日は今後の金融政策について考えてきました。今の所引き締め政策に変更はないと言っていいのだろうと思います。よほどのことがない限り今の路線の変更はないということです。ただ、そのよほどのことがこのまま行けば起こりそうな感じはしないこともありませんし、それを警告する声も日々大きくなってきています。そういう意味では非常に難しい状況になってきたなという印象です。FRBにはなんとかうまく政策を実行してほしいものです。