金融政策はしばらく厳しい状態が続くと見られる

金融政策は今後もしばらくはタカ派になる可能性が高そうです。昨日公表された前回のFOMC議事録では引き続きインフレリスクが意識され、引き締めを強く意識した議論がなされていたことがわかりました。インフレは落ち着きを見せ始めたことは事実ですが、目標とする2%へと落ちつくには相当sの時間と労力が必要であるとFRBは考えているようです。そういう意味では株式市場が期待するような緩和というものはなかなか実行されないのだろうという感じがします。

FOMC議事録が公開

先月行われたFOMCではインフレリスクが依然として高く、金融政策の引き締めが必要とに意見が大き上がっていたようです。

米連邦公開市場委員会(FOMC)が7月25、26両日に開いた会合では、インフレが鈍化しない可能性を当局者の大半が懸念し、利上げ継続が必要になり得るとの見解が示された。8月16日に公表された議事要旨で明らかになった。

  議事要旨では、「インフレに著しい上振れリスクがあり、金融政策の追加引き締めが必要になり得るとの認識を大半の参加者は引き続き示した」と記された。

  一方、「経済活動は強靱(きょうじん)で労働市場も強さを維持しているものの、引き続き経済活動に下振れリスク、失業率には上振れリスクがあるとの見解が一部の参加者から示された」とした。

  FOMCは7月の会合でフェデラルファンド(FF)金利誘導目標レンジを5.25-5.5%と、22年ぶりの高水準に引き上げた。

  米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は7月26日の記者会見で、「改めてわれわれは、インフレ率が2%目標へと持続的に低下していると確信するまで政策を抑制的なものに維持する意向であり、適切だと判断されれば追加引き締めに動く用意がある」と表明した。

  議事要旨では、「金融政策スタンスが抑制的な領域にあることを踏まえ、委員会が目標を達成する上でのリスクは二面性を強めたと幾人かの参加者は判断。委員会が決定を行う上で、政策を不用意に引き締め過ぎるリスクと、引き締めが不十分な場合のコストとの間でバランスを取ることが重要だとの見解を示した」と記された。

  7月会合では投票権を持つメンバー11人の全会一致で利上げを決定したが、会合への参加者全員で見ると利上げが一様に支持されたわけではなかった。議事要旨では、2人が政策金利の据え置きを望んだ、ないし「そうした提案を支持し得た」と記された。

  議事要旨では米経済の先行きに対する楽観的な見方も示された。影響力を持つFRBのスタッフエコノミストは「経済が年末に向けて穏やかなリセッション(景気後退)に入るとはもはや判断していない」と議事要旨は説明。

  ただ、向こう2年間の経済成長については「想定される潜在成長率を下回り、失業率は現在の水準と比較して小幅に上昇する」とスタッフエコミストは予想した。

引用:bloombergより

このようにFRBではまだインフレに対する警戒心を解いてはいません。インフレが落ち着いてきたことは事実ですが、未だ高水準であることには変わりなく、楽観視できないことは事実です。その中で、今後についてもインフレリスクは引き続き残り、警戒は解けないという意見が大半だということでしょう。実際、インフレは落ち着いたとはいえまだまだ高水準です。その中で消費も雇用も堅調であり、そう簡単には物価が下落するというのはなかなか考えられないところです。ある程度のリセッションを許容するのであればインフレもすぐに落ち着くのかもしれませんが、景気後退をさせずにインフレを抑制させようとすれば時間はかかってしまうということなのかもしれません。

金融政策は引き続き引き締めが継続

今回の内容を見る限り、金融政策がマーケットが期待するほど緩むことはまずないのだろうという感じがします。最近の経済指標を受けてマーケットでは金融緩和期待というものがかなり出てきています。しかし、実際には金融政策をゆるめるつもりはまったくないと言っていいのかもしれません。そういう意味ではしばらく金融政策は引き締め継続という形をとってくるものと思われます。それが緩むのは相当のインフレ鈍化の証拠が確認されなければないのかなという感じです。

まとめ

今日は先月行われたFOMC議事録について見てきました。市場が期待するような緩和政策を期待するのはやや厳しいような気がします。おそらくは現在の厳しい金融政策は相当程度維持されるのだろうと個人的には感じています。そういう意味では引き続き楽観視はせず、警戒感を持って投資をしていくべきでしょう。