インフレに振り回された一年。そして来年も続いていく。

今年はインフレに翻弄された一年という印象がありますが、来年も引き続きインフレの動向が注目されていくことでしょう。今のところインフレはピークを打っているようですが、それでもFRBが目指す2%の物価目標には程遠く、厳しい金融政策は続いていく見込みです。そのため株式市場にとっても非常に厳しい一年となるかもしれません。というわけで今日はインフレの動向について考えていきます。

インフレに振り回された一年

今年は本当にインフレに振り回された一年です。常に物価や金利、FRBの金融政策がいつも以上に注目され、その動きに投資家が一喜一憂しました。そのインフレもようやく落ち着きを見せてきてはいますが、完全に鎮静化するにはまだまだほど遠く、来年度も引き続きインフレ動向に振り回されそうな感じがします。

米国のインフレは2022年末に向けて鈍化が続き、インフレ期待も後退して、過去数十年ぶりの物価高騰の最悪期はようやく過ぎ去ったとの期待を後押ししている。

  米金融当局がインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)価格指数は、11月の総合指数が前年同月比で1年強ぶりの低い伸びとなったほか、ミシガン大学の消費者調査では、1年先のインフレ期待が21年6月以来の低水準を記録した。

  しかし、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる米金融当局にとって、賃金は過度の急ペースでの上昇が続いている。利上げサイクルの終盤に近づいているものの、一連のデータを踏まえると、物価上昇圧力が持続的な減速トレンドにあると当局が自信を深めるまで、金利は長期にわたり高水準に据え置かれる見通しだ。

  インフレ調整後の実質PCEは前月から横ばいとなったが、米金融当局としては需要が大幅に冷え込んでいることを単月にとどまらないデータで確認したい考えだ。

  シティグループのエコノミスト、アンドルー・ホレンホースト、ベロニカ・クラーク両氏はリポートで、「過度の高インフレを押し下げるほどの十分な景気の冷え込みはまだないことが、統計からは引き続き明らかだ」とし、「物品の価格上昇圧力は需要とともに軟化しているが、サービスでは同様の動きは見られない」と指摘した。

引用:Bloombergより

このように、インフレの伸びは落ち着いてきてはいますが、それでも2%の物価目標には程遠く、とても金融緩和をできるような感じではありません。そのため来年度も引き続き厳しい金融政策というのは継続していくことでしょう。さすがにこれまでのような急激な引き上げというのはないと思われますが、金融緩和をし、景気を下支えするようなことはまず期待できないとみておいた方がいいと思います。そのため来年度、景気の減速が予測されている米国経済は非常に厳しい状況に追い込まれる可能性が高いといっていいのかなという状況です。

来年もしばらくこの状況は続く

当然ながら、インフレがいつまでもこの状態で居座るということはなく、いつかは収束していくことでしょう。それに合わせて米国経済も復活してくるはずです。しかし、それがいつになるかはわからず、今のところそれは来年度ではないような気がします。ただでさえ企業業績が悪化し、景気が減速しそうなときに金融をさらに引き締めるというのですから、経済が良くなるはずがありません。株価も停滞することでしょう。特に記事にもある通り、労働市場の強さが今回のインフレ下においては悪影響を与えているといっていいのかなと思います。賃金が下がらないとなると個人の消費意欲というのもなかなか下がっていかないでしょう。そうであれば物価の上昇圧力というのは依然として強く、FRBがいくら引き締めてもなかなか物価が落ち着かないという悪循環を生み出しています。それが落ち着くまではなかなか経済の回復というのも厳しいでしょう。強い労働市場もこのような状況下においてはいつかは鈍化してくるはずです。それが予想外に長く、今年は強いままでしたが、来年には数字として表れてくることでしょう。個人的にはなるべく早くその兆候が表れてくることを祈っています。

まとめ

今日はインフレの動向についてみていきました。今年はインフレに翻弄された一年です。そしてそれは来年も続いていくことでしょう。少なくとも堅調な労働市場が落ち着かない限りはインフレの鈍化というのはなかなか厳しいのかなと思います。かといってやりすぎると雇用が不安定化して景気が異常に悪化しかねず、非常に難しいかじ取りをFRBはしなければなりません。そういう意味では大変厳しい状況に米国は置かれているといっていいでしょう。しかし、いつかはこの状況は変わります。そして株価も上昇を始めるはずです。その時のために株価が下がっている今こそ積極的に種を仕込んでいく時だと思います。