相次ぐ強い経済指標

厳しい金融政策は今後も続きそうです。昨日発表された経済指標はいずれも強いものとなり、7月以降も金融政策が引き続き引き締められる可能性が一段と高くなりました。かねてよりタカ派にシフトしてきた感のあるFRBがその姿勢を一段と強固にすると見ていいでしょう。

不動産市場が非常に堅調

昨日発表された5月の新規一戸建て販売は市場予想を大きく上回る結果となりました。

5月の米新築一戸建て住宅販売(季節調整済み、年率換算)は約1年ぶりの高水準となった。在庫が限定的な中古住宅市場から新築住宅に需要が移る格好となった。

  新築は住宅市場全体に占める割合が中古住宅よりも格段に小さいが、高金利の環境下で住宅保有者が物件を売りに出すのに消極的なことから、住宅購入の構成が変わってきている。

  住宅建設業者は繰り越し需要に対応するため、在庫積み増しを図っており、住宅着工軒数が急増。新築住宅販売は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の水準を上回っている。

  販売されたが未着工の物件(受注残を示す指標の一つ)は3カ月連続で増加し、2022年1月以来の高水準となった。

  5月末時点で売りに出されていた新築物件は42万8000戸と、年初来の基調をほぼ維持した。販売に対する在庫比率は6.7カ月と、22年2月以来の低水準。

  新築住宅の販売価格は中央値で前年同月比7.6%下落し、41万6300ドル(約6000万円)となった。下落は2カ月連続。

  地域別の新築住宅販売は4地域全てで増加。南部は21年末以来の高水準となった。

  購入契約の完了時点で算出される中古住宅よりも、新築住宅販売はタイムリーな指標だと考えられている。

引用:bloombergより

このように米国の不動産市場はかなり堅調に推移しています。住宅販売が堅調であるということは非常に良いことですが、インフレが問題視されている現在はあまり還元されることではないでしょう。FRBとしてはインフレを抑制するために経済を安定的に軟化させたいと考えています。そういう意味では不動産市場は経済を悪化させない程度に落ち着いた状態になってもらいたいところです。しかし、実際には不動産市場は非常に堅調であり、金利が高く据え置かれている現在も強さを保っています。そういう意味ではこれまで以上にFRBが金融政策を厳しくするのに十分な理由ができたと言っていいのかなと思います。

消費者心理も非常に強い

堅調なのは不動産市場だけではありません。6月の消費者信頼感指数も非常に好調であり、インフレの先行きに対してかなりの警戒感が出ています。

米民間調査機関のコンファレンスボードが発表した6月の米消費者信頼感指数は109.7に上昇した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は104.0だった。前月は102.5(速報値102.3)に上方修正された。

引用:bloombergより

この陽の米国の消費者の先行きに対する見方はかなり強気であると言っていいでしょう。先程も行ったように、インフレを抑制するためにも経済はもう少し落ち着いてほしいとFRBは見ています。しかし、不動産市場も消費者心理も非常に強気であり、インフレが落ち着く気配はかなり少なくなっていると言っていいような気がします。

引き締めはまだまだ続く

6月は一旦利上げを見送ったFRBですが、今後は引き続き引き締めを継続する可能性がかなり高まったと言っていいでしょう。見送りの判断が正しかったかどうかというのはなんとも言えませんが、少なくとも経済はまだまだ強く、インフレが落ち着く気配はまったくないと言っていい感じです。そういう意味ではただでさえタカ派へシフトしているFRBがより強気に出ていくのに十分な理由と言っていいような気がします。もちろん次回のFOMCまではまだ時間があり、確定することはできませんが、その可能性は非常に高まったと言っていいでしょう。

まとめ

今日は相次ぐ強い経済指標について見てきました。インフレは全く衰える気配がありません。粘着性が高いと見られている今回のインフレですが、そのしつこさは想像以上のような気がします。そういう意味ではインフレとの戦いは更に長引く可能性が出てきており、経済失速の懸念もまだまだ払拭できないと言っていいのだろうという感じです。