個人投資家の日本株離れは今後も続く

投資環境の充実というのは日に日に進んでいるように思えます。私が投資を始めた約20年前というのはようやくネット証券が出始めた時期で、今のように手数料も安く、優良な投資商品というのは非常に少なかった印象です。そういう意味では今の若い人たちはとても恵まれていると思います。より長い期間、優良な投資商品で資産形成をできるのですから、余計なことをせずとも生きていくための資産形成は簡単にできるでしょう。最近は若い人も投資を行う人も増えてきている印象なので非常にいい傾向だと思います。そんな若い人たちの多くは日本株よりも米国をはじめとした海外投資で資産形成しようと思っている人も多いのではないでしょうか。日本はここ30年ほとんど成長していません。それに比べ米国をはじめとした海外市場は順調に成長を続けています。であれば日本よりも海外への投資に目を向けるというのは自然な流れかもしれません。先日もそれを裏付けるような記事が日本経済新聞に掲載されました。そこで今日はその記事を紹介していきたいと思います。

日本経済新聞

日本の個人投資家が海外株式への投資を加速している。海外株を組み込む投資信託への純流入額は2021年に7兆円を超え、集計で…

海外株を組み込んだ投資信託への資金流入が過去最高になる

12月29日の日本経済新聞によれば海外株を組み込んだ投資信託への資金流入が過去最高となったようです。2021年には7兆円を超える規模となり、集計できる2006年以降過去最大となる見通しとのことです。

引用:日本経済新聞 海外株投信7兆円純増 個人マネー、日本株選ばず より

上の図のように海外株を組み込んだ投資信託への資金流入は年々増えています。最近は海外投資へのハードルのかなり低くなっており、個人投資家の投資意欲も海外へ向きやすくなっているのも要因でしょう。特にネット証券をはじめとして、海外市場の情報も充実してきています。海外のサイトについても技術の進歩により簡単に日本語へ変換してくれたりと、海外投資への障害はどんどん少なくなってきているのが現状です。それに加えて非常に低コストで海外へ投資できる投資商品がいくつも登場しています。三菱UFJ国際投信のeMAXISシリーズやSBI証券のSBI・Vシリーズなど個人投資家向けの低コスト商品の開発はどんどん過熱してきています。そのような投資環境が充実する中で海外の株式市場も順調に成長しており、もはや投資をしないという選択肢がありえないというレベルになってきていると思います。

日本株の投資信託は伸び悩む

それに比べて日本株の投資信託はあまりぱっとしません。下の図は2006年から日本株の投資信託への資金流入量の変化を表したものです。

引用:日本経済新聞 海外株投信7兆円純増 個人マネー、日本株選ばず より

これを見てもわかるように、日本株は大きく増えるでもなく下げるでもない、横ばいといった感じです。ところどころ大きく伸びたりしているように見えますが、縦軸を見てみるといずれも2兆円を超えることはありません。対して海外株の傾向を表した先ほどの図を見てみると、ときどき落ち込んでいるとはいえ、2兆円を超える年は多く存在し、4兆円程度の年もあれば、昨年に至っては約8兆円と日本株の何倍もの資金が流入していることが分かります。それだけ日本株への投資家の期待というのは少なくなってしまったということでしょう。

来年以降もこの傾向は続いていく

日本人としては大変残念な結果となってしまいましたが、この傾向は来年以降も継続するとみられます。日本は結果として経済成長をほとんどできない国になってしまいました。今後の政策によってはまた大きな成長をする可能性もないわけではないでしょうが、今のところその可能性は皆無だと思います。少なくとも私は今の政権にはそこまでの期待はしていません。それに比べて米国をはじめとした海外は今後も十分に成長していく余地はあると思います。インフレや国際政治の状況など懸念材料も多くあり、短期的には大きく下げることも予想されますが、長期で見れば上昇する可能性は十分にあると思います。特に米国はまだまだ人口も増える予想ですし、インフラへの投資など公共投資の余地もかなりあります。また、企業のイノベーションも活発であり、多くの問題を抱えながらも成長を続けていくでしょう。そういう意味でも米国は今後も有望な投資市場であり続けると思います。新興国などについては大きく成長をするとは思いますが、やはりリスクも大きく、そこまでして投資をするメリットはあまり感じません。もし、投資するのであればVTなどのETFにより間接的な投資にとどめるのがいいのかなと思っています。日本についてはあまり期待していないといいましたが、企業業績自体は悪くありません。しかも、かなり割安で放置されているのが現状です。なので、なんかしらのきっかけがあれば大きく上昇する余地はあると思っています。なので、市場全体というよりも個別銘柄で勝負する方がいいでしょう。個人的には金利上昇を見込んでの銀行株や、商品価格上昇が続きそうなので総合商社などが面白いのではないかと思っています。

まとめ

今日は個人投資家の投資行動から今後の投資方針について考えてみました。残念ながら日本株はあまり強い上昇は期待できないように思います。大きく下落するということはないと思いますが、相対的に米国や海外市場よりもいいパフォーマンスを上げるということはないでしょう。なので米国をはじめとした海外への資金流出は今後も続くと思いますし、私も米国を中心に投資はしていくつもりです。しかし、日本株もすべてが悪いわけではないですし、好業績の企業を中心に割安な銘柄を探っていくのはありだと思います。