日本経済はいまだに成長の兆しが見えないといったところですが、悪いニュースばかりではありません。先週ですが、日本政策投資銀行がこれまでの運用方針を転換し、投資の割合を増やしていきたいという発表がありました。これまで日本ではいわゆるスタートアップと呼ばれるような新しい産業というのはなかなか生まれてきませんでした。その理由というのはいろいろあるとは思いますが、一つには金銭的な支援が乏しいことにありました。そういう意味では公的なところからこのような形での支援が出てくるというのは非常に良いことでしょう。というわけで今日はこのニュースについてみていきたいと思います。
日本政策投資銀行が投資部門を強化する
26日に日本政策投資銀行が新たな投資戦略に出るというニュースがありました。
日本政策投資銀行は、投資事業の強化に乗り出す。企業の新規事業創出を支援するための資金として、新たに1000億円を投じる。地下誠二社長はブルームバーグとのインタビューで、「長期ローンを提供する金融機関から、投資会社に切り替えたい」と抱負を述べた。６月29日に就任した地下社長は、新規投資先として新事業や新技術を手掛ける企業やベンチャーキャピタル（ＶＣ）を想定していると明らかにした。2008年の株式会社化以降、投融資一体型のビジネスモデルを模索してきたが、「新規事業創出を後押しする投資はポートフォリオ的には一番薄いと認識しており強化したい」と語った。
引用：Bloombergより
新たに社長に就任した地下社長はこのように述べ、これまで融資が中心だった政策を転換し、新規事業への投資など積極的に行っていく方針であることを明かしました。これまで日本ではこのような公的な資金についていわゆるリスク資産での運用というのはなかなか行われないものでした。少し前からは年金基金でも株式などを投資するようになりましたが、それについても大論争が起きて非常に大変だった思い出があります。今でもいくら儲かったとかいくら損したとかいうことがニュースになり、特に損失については非常に問題視するような報道が多くみられます。このように日本ではリスクをとるということについてかなり消極的な国であり、これまでは公的部門での投資というのはなかなか行われていませんでした。それが今回、年金基金と同様に大きく転換されるというのはとても重要なことだと思います。
リスクを取らなけれべ利益は得られない
私はこの政策転換については大賛成です。リスクをとるということは何も悪いことではありません。むしろ多少のリスクは取っていかないと今の国際社会の競争の中では生き残ってはいけないでしょう。世界は民間と国家がタッグを組んで戦いを挑んできます。優秀な技術を持っているところにはどんどん公的な援助を入れて覇権を取ろうと躍起になっています。しかし、日本ではそのような時に国のバックアップは全くないのです。なので民間だけでそれらのライバルと戦わなければなりませんが、当然ながら資金面などで相手になるはずもありません。このような感じで多くの場面で日本は劣勢に立たされてきたといってもいいのでしょう。
規制改革も必要
特に今回の話にあるスタートアップについては特に顕著です。日本では新たな産業はなかなか起きづらいといわれています。それは規制が厳しかったりいろいろな問題もありますが、公的な援助がほとんどないといったことが問題であることが多いです。しかも援助がないばかりか足を引っ張ることすら頻繁に起こるような状態です。それでは新しい産業名の起こることなどありえません。そういう意味では今回のような資金的な側面での援助を強化するという動きは大変歓迎すべき動きといっていいでしょう。もちろんこれで十分というわけではありません。資金面での援助もこれではまだ足りませんし、もっと行うべきですが、それ以上に規制をとにかく撤廃すべきです。強力な規制があるために新しい発想が全く育たないばかりか、古いものがいつまでも残り続ける悪い循環が残っているのです。それではいつまでたっても日本は世界の最先端を行くことはできないでしょう。古いものには退場いただき、新しい成長性のあるものをドンドン育成できる環境を作るべきです。
まとめ
今日は日本政策投資銀行が新たな戦略を打ち出したニュースについてみてきました。このような流れというのは非常に歓迎すべきものだと思います。どんどん加速させていき、新たなスタートアップがどんどん日本から誕生できるようにすべきです。現在、岸田政権もスタートアップを強化するというような発言をしています。そういう意味では政府としても重要政策と位置付けているのでしょうからさらに強化していってほしいものです。特に規制に関してはなかなか難しいような気はしますが、何とかして日本からも世界を代表するようなスタートアップ企業が誕生できればいいなと思っています。
