来年の原油価格はどのようになるのか

最近は少し落ち着きを取り戻しているように見える原油価格ですが、来年はどのような推移をするのでしょうか。原油価格は経済にとって非常に需要な問題です。環境問題が大きく取り上げられるようになり、化石燃料に対する需要というのは今までと違ったものになってきています。しかし、今ある石油需要がいきなりなくなるわけではなく、形は変わるにせよこれからも重要な資源として利用されていくでしょう。その原油の価格というのはしばしば経済に大きな影響を与えてきました。オイルショックなどの戦争を起因としたものや、需給のバランスを崩したことによる高騰や暴落など、経済状況を考えるうえで原油価格というものは無視できません。そこでこれからの原油価格はどうなるのか、専門家の意見を交えて考えてみたいと思います。

来年は100ドル超もあり得る?

ゴールドマン・サックスのダミアン・クーバリン氏は来年の原油価格を85ドル+と予想しているようです。

カギとなるのは、2021年がワクチンによる需要回復。

2022-23年は、供給が最終的に反応するかを試される構造的な強気相場になる。

引用:The Financial Pointer® 【短信】来年の原油は85ドル、100ドルも:ゴールドマン・サックス より

ワクチンの普及により経済が再開され、需要が急拡大しています。それにより原油価格はこれからも上昇していくとみています。米国や日本など需要国側は増産を求めると思われますが、供給側はそれをうまくコントロールできないとみているようです。そのため85ドルという予想も軽く超えてくる可能性も述べています。

石油会社がインフレによるコスト増を売価に転嫁する。

経済再開時に供給が需要を満たせなくなる。

引用:The Financial Pointer® 【短信】来年の原油は85ドル、100ドルも:ゴールドマン・サックス より

それにより、原油価格が100ドルに乗せる可能性もあるだろうといっています。最大で110ドルまではいくとみているようで、さすがにそこまでいけば需要が減少し、価格は落ち着くのではないかとしています。

価格が下落することはないだろう

個人的にはこの意見には大いに賛成するところです。少なくとも原油価格が下落する要因は今のところ見受けられません。世界は経済活動を再開する方向で動いています。オミクロン株の流行により再びブレーキが踏まれそうな雰囲気もありますが、以前のような多くの国や地域でのロックダウンや経済抑制策は行われることはないでしょう。実際、オミクロン株によって新規の感染者は過去最高を更新している国も出てきますが、経済活動を以前のように規制しようという動きはそこまで強くないような印象です。さすがにこれ以上の経済活動の抑制は持たないということでしょう。それにウィルスの毒性もあまり強くない可能性も指摘されています。なので来年以降は経済活動の再開に伴い原油の需要は大きく伸びていくものと思われます。それによって価格が上昇してきていますが、残念ながら供給側が供給を増やす見込みは低いと思います。去年は需要の大幅な減少により価格が大暴落しました。供給国としてはその減収分を取り返したいと思っているはずです。しかも、この需要拡大がいつまで続くのか保障されているわけではありません。供給を増やしたとたんに需要が減少するかもしれません。特に今はインフレにより経済の先行きは非常に不透明な状況です。そのような時に供給を増やしたにもかかわらず、価格が下落したなんてことになれば産油国にとっては目も当てられない状況となってしまいます。さらにこれからは化石燃料にとっては非常に厳しい時代が長く続く可能性もあります。再生可能エネルギーの普及など化石燃料にとってはあまり明るい未来は描きづらいのではないかと思います。そうであればなおのこと原油の増産など受け入れることはないでしょう。稼げるうちに稼ごうと思うのはいたって当たり前の考えです。このように経済活動再開による需要の増大、そして供給側が安易な増産には乗ってこないだろうことを考えれば原油価格の上昇はしばらく続くのではないかと思います。

まとめ

今日は来年以降の原油価格について考えてみました。遠い未来についてはわかりませんが、少なくとも来年の原油価格が下落する可能性というのはかなり低いのではないかと思います。ただでさえインフレ圧力が強くなる中でさらなる物価上昇要因が増えることになります。なかなか厳しい年になりそうですが仕方のないことです。経済というのは循環するものです。上昇するときもあれば下落することもあります。それを繰り返して長期で見れば上昇していくのです。ここ数年は強い上昇が続いてしまったためにそのことを忘れている人も多いのではないでしょうか。特に若い人などは米国は上昇して当たり前、日本は物価が上昇しないのが当たり前という状況しか知らないので違和感を覚えるかもしれません。しかし、これが永遠に続くということはありません。必ず経済は変化します。なのでいつも言っていることですが、何が起きてもいいように準備しておく必要があるのです。それには何といっても分散が大事です。