プラザ合意は再び起きるのだろうか

現在の世界経済は非常に困難な状況であることは言うまでもありません。異常に高いインフレが世界中の国々を襲い、ウクライナ情勢などの不安定要因には事欠かない状態です。そういう意味では通常考えられない事態が起こるという可能性は高くなっているのかもしれません。そのためか、一部ではプラザ合意のような強力な政策が実行されるのではないかという噂まで出てきました。もし本当にプラザ合意のような事態が起これば株式市場に与える影響というのは甚大なものとなるでしょう。そういう意味では非常に興味があるところです。というわけで今日はプラザ合意に関するニュースについてみていきたいと思います。

プラザ合意とは

プラザ合意とは1985年9月22日米国ニューヨークのプラザホテルで開かれ、G5の大蔵大臣(米国は財務長官)と中央銀行総裁が合意した為替レートの安定化策のことを言います。主な合意内容は、各国の外国為替市場の協調介入によりドル高を是正しアメリカの貿易赤字を削減することで、アメリカの輸出競争力を高める狙いもありました。日本ではプラザ合意後の急速な円高による低金利政策はその後も継続されることで不動産の過剰流動性がおき不動産バブルを引き起こすことになりました。

引用:東海東京証券より

プラザ合意は当時、厳しい経済状況に陥っていた米国経済を救済するために主要な経済大国が協調して為替に介入し、経済を安定させるために行われました。その結果、急激に為替はドル安に進んでいき、米国の輸出力は回復していくことになりました。日本ではその後、急激な円高や過剰な流動性により、いわゆるバブル経済を引き起こしてしまったといわれています。そのため、この合意について批判的に見る意見もあります。

その可能性は本当にあるのか

では、今回の事態においてもプラザ合意のような事態は起きるのでしょうか。

シドニーでブラックロックの債券責任者を務め40年の市場経験を持つスティーブン・ミラー氏は、現在の状況は自分がオーストラリア財務省でプラザ合意の実現を目の当たりにした時代をほうふつとさせると言う。

現在カナダのCIファイナンシャル傘下GSFMの投資コンサルタントを務めるミラー氏は「今後の選択肢の1つは、ある種の協調介入である可能性がある」と述べた。「市場は中央銀行には金利以外の手段がないことを認識しているため、プラザ合意スタイルの動きを含めたこの種のシナリオが既に話題になっている」とも指摘した。

引用:Bloombergより

記事ではこのように述べられており、その可能性について指摘されています。もちろん今すぐにプラザ合意のような事態が起きることはないでしょうが、この状況が今後加速していくようだとありえるということです。少なくともドルが強いということは輸入物価を押し下げる効果があります。インフレを抑制するのにはドル高は効果的であるため米国の協力は得られないでしょう。しかし、物には限度というものがありますから、今後についてはわからないということです。記事では1ドル150円程度がラインということなので、しばらくはなさそうですが、その可能性というのも頭に入れておいた方がいいでしょう。

まとめ

今日はプラザ合意のような事態が今後起こる可能性についてみてきました。少なくとも近い将来に起きるということはあり得ないと思います。しかし、この状況が続いていけば起こる可能性も十分にあるのです。そのくらい現在の状況というのは厳しいとは思います。そのため、投資家としてはいつでもそのような事態が起きてもいいように準備しておくことです。そのために情報収集は欠かさないようにしておきたいところです。