消費者物価は大きく落ち着いたものとなる

インフレは予想外に落ち着きを見せています。昨日発表された6月の消費者物価は予想を大きく下回る結果となり、物価が大きく落ち着きを見せていることがわかりました。インフレ抑制を目指すFRBにとっては非常に朗報となることでしょう。これによって今後の金融政策にも大きな影響を与えるかもしれません。

6月の消費者物価は大きく落ち着く

昨日発表された6月の消費者物価は市場予想を大きく下回るものとなりました。

6月の米消費者物価指数(CPI)は急激に鈍化した。この数十年で最も積極的な米利上げを近く終わらせることは可能との期待を、新たに抱かせる内容となった。

  今回の統計はインフレが1年前にピークに達して以降、物価圧力の抑制で進展があったことを浮き彫りにしている。1年余りにわたる利上げと需要軟化がその背景だ。ただ、物価圧力は米金融当局の目標を大きく上回っており、当局者らは7月25-26日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で利上げを再開する意向を持ち続けるとみられる。

  ブルームバーグ・エコノミクスのアナ・ウォン、スチュアート・ポール両氏は「今回の好ましいCPI統計を受けて、FOMCでは7月の利上げを最終利上げにすべきだと主張する声が強まるだろう。それはわれわれの基本シナリオと一致する」と指摘した。

  総合CPIが減速したのは、2022年6月と比較していることが主な理由。当時はロシアのウクライナ侵攻を受けてエネルギー価格が急上昇し、インフレを40年ぶり高水準に押し上げていた。この先に目を向けると、前年同月比の数字は相対的に低い数字との対比になる。

  米金融当局者らがインフレの軌道を精査する上で注目する住宅とエネルギーを除いたサービス価格は前月比ほぼ変わらず。前年同月比では4%上昇に鈍化し、こちらも21年終盤以来の小幅な伸びとなった。

  サービス分野の最大項目で総合CPIの約3分の1を占める住居費は、前月比0.4%上昇。帰属家賃は21年末以来の低い伸びにとどまった。住宅分野の価格上昇率は今後数カ月に引き続き減速すると多くのエコノミストは予想している。

  FOMC当局者らは財の価格に関してもこれまで懸念を示してきた。同価格は昨年にディスインフレの要因となってきたが、過去数カ月は強さの兆しを示していた。食品とエネルギーを除いた財の価格は今年に入って初めて低下した。

  米国の家計を大きく圧迫してきた食料品価格はほぼ変わらず。医療サービスのコストも横ばいだった。

  CPIと別に発表された統計によれば、インフレ調整後の実質平均時給は6月に前月比で4カ月連続の増加となった。前年同月比では1.2%増と、21年3月以来の高い伸びを示した。

引用:bloombergより

このように消費者物価は予想以上に落ち着きを見せてきています。最近は労働市場の堅調さなどインフレは依然として強いと思わせるような発表が相次いでいたため、まだまだ厳しい状況は続くと見る声も多くありました。しかし、昨日の消費者物価の結果はそれらを大きく変える結果となったような気がします。為替市場でもドルが急激に売られる展開となり、円も含め多くの通貨に対してドルが安くなる展開となりました。市場は金融政策の変更の可能性を折り込み始めたということです。そういう意味でも今回の結果が長く続いたインフレ抑制政策の転換点となる可能性も出てきたのかなという感じがします。

非常に良い結果だがこれで終わりではない

今回の結果については素直に喜ばしいものだと言っていいでしょう。これだけ消費者物価が落ち着いてきたということは厳しい金融政策が効果を表してきたということですし、今後についても非常に希望がモテる展開になってきたと言っていいでしょう。しかし、全く不安がないということではありません。記事にもある通り、前年同月比で落ちつてきたということです。そして前年同月にはロシアによるウクライナ進行の影響もあり、エネルギー価格を始め多くの物価に対して変動が起こったときでもあります。そういう意味ではあまり額面通り受け取らないほうがいいのかなという感じもします。実際、落ち着いてきたとはいえ目標とする2%の物価目標にはまだまだ乖離が存在します。そしてそのことを懸念する声も消費者物価の発表後に上がってきています。そういう意味ではまだまだ安心できるものではないでしょう。FRBも今回の結果を還元するとは思いますが、これだけを持って金融政策の変更をするということはないはずです。7月の利上げはほぼ確定だとは思いますが、その後についてはまだニュートラルだということは忘れないほうがいいのかなと思います。

まとめ

今日は6月の消費者物価について見てきました。予想外に弱い数字であり、非常に喜ばしい結果だということは間違いないでしょう。しかし、これで全てが解決ではないことは忘れないでいたほうがいいのかなと思います。まだまだ正常な経済には程遠い状態です。そして消費者物価の数値だけで金融政策は決まるものではありません。自分にとって都合のいいものだけを取り上げて結論を導き出すということはしないほうがいいのかなと感じています。