6月の雇用統計は予想外に堅調。

8日に注目されていた6月の雇用統計が発表されました。内容としては予想外に強い数字であり、依然として米国の労働市場は堅調であることが確認されました。最近は景気減速を示す指標が多くなってきましたが、雇用統計ではその兆候はあまり見ることができませんでした。そのためFRBは今後も金融引き締めを強力に進める可能性が高くなったといっていいと思われます。というわけで今日は月の雇用統計についてみていきたいとおもいます。

6月の雇用統計は市場予想を上回るものとなる

8日に米労働省が発表した6月の雇用統計は市場予想を上回る結果となりました。

  • 非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比37万2000人増加
  • ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は26万5000人増
  • 前月は38万4000人増(速報値39万人増)に下方修正
  • 家計調査に基づく6月の失業率は3.6%
  • 市場予想3.6%
  • 前月3.6%

引用:Bloombergより

このように米国の労働市場は依然として堅調であるといっていいのだろうと思います。このところ、各種の経済指標は軟調なものが多く、景気減速が始まってきたのかという印象もありましたが、今回の雇用統計ではその考えを和らげるものとなったと思います。ただ、雇用統計自体は景気の遅行指数であり、実態よりも遅れて出てくることが多いです。そのため、今回の数字が良かったからといって現状が全く問題がないとは言い切れないでしょう。むしろ他の指標が悪いことを考えると、今後は悪化してくることを想定しておいた方がいいと思います。

7月は75bpでの利上げがほぼ確実

いずれにせよ好調な雇用統計の結果はFRBにより積極的な金融引き締めをさせるのに十分なものです。そのため7月のFOMCでも大幅な利上げが行われることはほぼ確実だといっていいと思います。今回の雇用統計の結果を受けて、アトランタ連銀のボスティック総裁も次回のFOMCで75bpでの利上げを支持するとの発言をしています。

米アトランタ地区連銀のボスティック総裁は8日、今月の連邦公開市場委員会(FOMC)での75ベーシスポイント(bp)の追加利上げを「完全に」支持すると述べた。CNBCのインタビューで「次回会合で(政策金利を)75bp動かすことは可能だ。経済へのダメージはそれほど長引かないだろう」と指摘。この日発表された6月米雇用統計で非農業部門雇用者数の伸びが市場予想を上回ったほか、失業率が3.6%にとどまったことについて「経済が力強く、労働市場になお勢いがあることが再確認された。これは好ましいことだ」と語った。

引用:ロイターより

ボスティック総裁はFRBでもハト派の一人として知られています。そのような人でさえ75bpでの利上げを支持するというのですから、それを下回る利上げというのはまずないと思っていいでしょう。他の市場関係者の話を総合しても次回には75bpでの利上げを考えている人が多く、市場もすでにそれを織り込んでいると思われます。そのため今後発表される消費者物価などの指標がよほどの物でない限り、7月に75bpでの利上げというのはほぼ決定したといっていいのかもしれません。

まとめ

今日は先日発表された6月の雇用統計の結果についてみてきました。予想に反して強い結果となり、改めて米国の労働市場の強さを確認できたと思います。しかしこれによってより厳しい金融引き締めが行われるということはほぼ確実であり、しばらくは株式市場にとっては厳しい状況が続くのかもしれません。そのことは頭に入れておいた方がいいのだろうと思います。