ISM製造業景況指数は予想通りの低下。

1日に市場が注目するISM製造業景況指数が発表されました。結果としてはまあ予想通りといった感じで、景気後退を裏付けるようなものとなったような気がします。最近は景気減速を示す指標の発表が相次いでおり、それらと同じように米国経済が停滞してきていることを示しています。そういうわけで今日は先日発表されたISM製造業景況指数についてみていきたいと思います。

ISM製造業景況指数は予想通り低下

1日に米供給管理協会が発表したISM製造業景況指数は前月に続いて低下しました。

米供給管理協会(ISM)が発表した7月の製造業総合景況指数は、前月に続き低下した。受注の減少や在庫増加を受け、製造業者は生産のペースを落としている。

  生産指数も約2年ぶりの水準に低下。新規受注は前月に続き縮小圏にとどまった。経済が勢いを得るのに苦慮する中、製品需要が軟化していることが浮き彫りとなった。

 ISM製造業調査委員会のティモシー・フィオレ会長は発表文で「委員の間では、経済の軟化を巡り懸念の声が出ている。サプライチェーンの過剰在庫に対する不安が強まる中で、新規受注の指数が2カ月連続での活動縮小を示したためだ」と記した。

 在庫指数は57.3に上昇し、1984年以来の高水準。在庫が積み上がっている製造業者が増えていることを示唆している。サプライチェーンが一段と混乱した場合に備えて在庫を積み増している製造業者も多いが、この指数上昇は一部に意図しない在庫増が含まれていることを示唆している可能性もある。 

  7月は製造業の11分野で活動が拡大。特にアパレル、鉱物、石油・石炭製品で伸びた。一方で木材製品や家具、紙類など7分野では活動が縮小した。

  仕入れ価格指数は60で、前月から18.5ポイント低下。ほぼ2年ぶり低水準となった。需給の不均衡が続く中、同指数は過去1年半の大半において極めて高い水準で推移してきた。

  18.5ポイントという低下幅は2010年以来の大幅で、これは原油と金属の価格下落を反映している。回答者のうち22%近くが7月の支払い価格低下を指摘。この割合は前月に8.3%だった。

引用:Bloombergより

このように製造業の現場では景気がかなり落ち込んできていることがわかりました。受注の低下や在庫の増加などにより生産活動は低迷し、企業利益も相当落ちてきているものと思われます。今のところは労働市場などがまだ堅調に推移していますが、このような状態が続くようであればそれもいつまで維持できるかわかりません。米国は日本とは違い、労働者の解雇は簡単に行えます。なので景気が悪くなったり、先行きが怪しいと思えばすぐに労働者を解雇し、経営を維持しようとするのです。そういう意味では今後は雇用にも大きな影響が出てくるのではないかと思われます。なので今週発表される雇用統計には特に注意が必要でしょう。おそらくはここでも景気の悪化を示すような数値が出てくるのではないかと個人的には思っています。さすがにここまで景気の悪化を示す指標が相次ぐようであれば雇用にも影響は出てくるでしょう。そしてそれを受けてFRBがどのような政策を打ち出してくるのかが非常に注目されます。

FRBの金融政策に変化は起こるのか

最近は相次ぐ悪い経済指標を受けて金融引き締めが緩むのではないかという話をよく聞くようになりました。実際、本当に米国経済は大変な状態のようですし、この上雇用にまで影響が出てくるとなるとさすがにFRBも無視はできなくなるのかなとも思います。しかし、そうなれば当然ながらインフレを抑制することは困難となるでしょう。その結果高いインフレが常態化することとなり、米国経済は結果として減速するという可能性も十分にあるのかなと感じています。まあ、将来のことはどうなるのかはわかりません。私は経済の専門家ではありませんし、その専門家の間でも180度違う意見が飛び交っているのです。そういう意味ではあまり深く考える意味はないのかなとも思っています。

まとめ

今日は先日発表されたISM製造業景況指数についてみてきました。米国経済の原則というのは確実に起こってきています。おそらくは労働市場にもそろそろ影響が出てくるのだろうと個人的には思っています。そういう意味でもFRBの政策変更も可能性としては十分にあり得るでしょう。ただ、それではインフレを抑えることは困難となるため、非常に難しいかじ取りが求められることになりそうです。なので今後もFRBの金融政策次第で株式市場は大きく荒れることになるのでしょう。