製造業の景況感が大幅に悪化。米国経済はより深刻な状態となる。

米国の景気後退の足音は確実に迫ってきています。1月のニューヨーク連銀製造業景況指数は大幅に低下し、製造業の現場では景気が大きく落ち込んでいることが確認されました。依然として金融当局が引き締めを続ける中、経済は日に日に悪化をしており、リセッションはすぐそこまで来ているのかもしれません。

製造業の現場では景況感が大幅に悪化

先日発表された1月のニューヨーク連銀製造業景況指数は大幅に低下し、景気の原則が一層鮮明になった形です。

1月のニューヨーク連銀製造業景況指数は急低下し、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が始まって間もない2020年5月以来の低水準となった。新規受注と出荷が特に落ち込んだ。

  同景況指数はここ6カ月で5度目の活動縮小を示し、米金融当局が利上げを実施する中、製造業セクターの痛手の深さを浮き彫りにしている。

  一方、仕入れ価格と販売価格の指数はいずれも大きく低下し、インフレ圧力がさらに緩和しつつあることが示唆された。

  新規受注は28ポイント近く下げてマイナス31.1と、こちらも20年5月以来の低水準。これで3カ月連続の縮小となった。出荷もほぼ同様の幅で低下し、昨年8月以来の低い水準。

  雇用者数の指数は約2年ぶりの低水準となり、新規採用に事実上ブレーキがかかっていることが示唆された。週平均労働時間の指数は縮小幅が拡大し、昨年8月以来の低水準となった。

  こうした現況の各指数は弱かったものの、見通しを示す指数は小幅に改善した。

  製造業者を対象とした調査は1月3-10日に実施された。

引用:bloombergより

このように米国の製造業は非常に厳しい状況に追い込まれています。厳しいインフレが続く中、新規受注や出荷も悪くなり、困難な状況となっているようです。労働環境も流石に悪化傾向となっているようで、今後の労働市場の行方にも影響を与えることでしょう。

金融政策の支援も期待できない

このような景気悪化を示す状況が相次いでいますが、金融当局は引き締めの手を緩めるつもりはないようです。

米リッチモンド連銀のバーキン総裁は17日、米国の最近のインフレ統計が心強く感じられたとしながらも、物価上昇率はまだ高過ぎるため、金融政策による抑制を緩和できないとの認識を明らかにした。

  バーキン総裁はFOXビジネスとのインタビューで、利上げを緩める前に「インフレ率がわれわれの目標に納得できる形で戻る状況を確認したいと思う」と述べ、「時期尚早に勝利宣言することはできない」と発言した。

  同総裁は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持たない。

  バーキン氏は「インフレ率と中央値、トリム平均が説得力を持ってわれわれの目標に戻る状況を見たい。インフレ率が高止まりする限り、いうなれば一層の引き締めのために針を動かし続ける必要がある」と語った。

   連邦準備制度が選好するインフレ指標、個人消費支出(PCE)価格指数は、11月の上昇率が前年同月比5.5%と2021年10月以来の低い伸びとなった。変動の大きい食料品とエネルギーを除くコア価格指数の上昇率も4.7%にとどまった。

引用:bloombergより

このようにバーキン総裁は依然としてインフレは健在であり、引き締めの手を緩めるべきではないという考えです。この考えはパウエル議長をはじめとした多くの関係者にも共通する認識であり、おそらくは今後もこの流れは継続するものと見られます。そういう意味でも景気がこの程度の悪化をしたところで金融政策での後押しは全く期待できないということです。

今年の米国経済はあまり期待できそうもない

米国経済の悪化は日に日に深刻になってきているように思います。多くの企業でも人員削減が相次いでおり、労働市場への影響も不可避となるでしょう。企業業績も悪化が続いており、今回の指標の発表もその流れを引き継いだ形となっています。しかし、FRBとしては景気よりもインフレ抑制のほうが重要な問題と考えており、金融政策での支援というのは全く期待できないのではないかなという感じです。やや金融政策の変更を望む動きもマーケットに出ては来ていますが、今のところそのような雰囲気はFRBにはないのかなという感じです。よほど労働市場が悪化するなどの自体が起きない限り金融政策の変更はないでしょうし、あったとしても一時的なのかなという印象です。

まとめ

今日はさらなる景気悪化のサインについて見てきました。やはり今年の米国経済は厳しいと見ていいでしょう。おそらくは今後もこのような悪いニュースが相次いでくると思われます。そしてよほどのことがない限り、金融政策の変更もないと思ったほうがいいでしょう。そういう意味では株式市場のパフォーマンスもあまり期待できないのかなと思います。なので長期的な視点でじっくりとやっていくスタンスで行くのがいいでしょう。