FOMCで利上げの停止が決定。しかし、引き続き利上げは継続される。

13日と14日にかけて市場が注目するFOMCが開催されました。その結果、今回は利上げは一旦停止されることが決定され、引き締めは小休止することになりましたが、それ以降についてはややタカ派的な姿勢を強調する形となり、予想外にFRB引き締めに積極的であることが確認されました。これはやや意外な形であり、市場に同様が広がる形となりました。

利上げが一旦停止。しかし、見通しは厳しい。

昨日、2日間に渡り開催されたFOMCが終了し、パウエル議長が声明を発表しました。その中で、今回の利上げは停止するが、引き継ぐ切り上げは継続していくことを明確にしました。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は13、14日に開催した定例会合で、主要政策金利を据え置くことを決定。過去1年余り続けてきた利上げをいったん停止した。ただインフレ沈静化に向けて引き締めを再開する可能性が高いとのシグナルも発した。市場の見通しより多い追加利上げを予想している。

  政策決定後に発表された声明では、「今会合で誘導目標レンジを据え置くことで、委員会は追加の情報と金融政策への意味合いを精査できる」と記された。

  今回の政策決定は全会一致だった。フェデラルファンド(FF)金利誘導目標レンジは5-5.25%。

  同時に発表されたFOMC参加者による最新の経済・金利予測では、中央値で政策金利が年末までに5.6%に上昇すると予想されていることが示された。前回の予測では5.1%だった。今回の予測では、FOMC参加者18人のうち12人が5.5-5.75%の中央値レンジ、ないし同レンジを上回る予想を示し、インフレ抑制のため追加引き締めが必要との考えで大半の当局者が一致していることが示された。

 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は会合終了後の記者会見で、インフレを鈍化させるためには2023年中に「幾分か」の追加利上げが適切になると、ほぼ全ての政策当局者が予想していると説明。7月にも追加利上げがあり得るかについては明言を避けた上で、7月は会合をしてみないと結果が分からない「ライブ」なFOMC会合になると強調した。

  また「インフレ圧力は高い状態が続いており、インフレ率を2%に戻すプロセスにはまだ長い道のりが残されている」と語った。

  その上で、これまでの速いペースでの利上げを踏まえ、FOMCは今会合で金利を据え置くことが「賢明と判断した」とし、利上げ停止は政策措置のペース鈍化の継続だと説明した。

  「われわれの政策は広い領域をカバーしたが、引き締めの十分な効果はまだ実感されていない」と議長は述べた。

  インフレについては、議長自身を含めた当局者はリスクが上方向に傾いているとなお考えていると指摘。ただ対応が少な過ぎるリスクと多過ぎるリスクは「均衡の取れた状況に近づきつつある」と述べた。

  利下げはインフレが顕著に鈍化してからのことなので、「2年ほど先」になる可能性が高いとの認識を示した。

  政策金利を引き上げるペースと水準に関する記者の質問に対し、「それら2つを別々の変数だと考えた場合、今回のスキップ(利上げの一回見送り)は、いやスキップと呼ぶべきではなく、この決定は理にかなっている」とパウエル議長は述べた。

引用:bloombergより

このようにFRBは今回の利上げは見送るが、インフレ抑制のために引き続き引き締めが重要であるということを確認したようです。そのために、次回以降、年内に2回程度は利上げを見込んでいる可能性が出てきました。これは市場が見ているよりもかなりタカ派的なスタンスであり、大きなサプライズとなっています。株式市場では株価は下落し、今後の経済の見通しについてかなり悲観的になっていることがわかります。そういう意味では今回のFOMCは非常に大きな意味のあるものだったのかなという印象です。

市場との対話が不十分ではないか

今回のFOMCはややサプライズであったと言わざるを得ないでしょう。正直ここまでタカ派になるとは思いませんでした。それだけインフレが厳しいということだとは思いますが、やや市場との対話が不十分な印象があります。今回も予想外のタカ派姿勢によって市場は大きく動揺しました。それだけ市場との対話ができていないことの証明です。おそらく市場は今後の展開についてもかなり懐疑的になっているでしょう。そういう意味でも今後の株式市場は予想外に不安定な動きをすることが多くなりそうな感じがします。

まとめ

今日は今月開催されたFOMCについて見てきました。正直予想外の展開であり、驚いたというところです。インフレが一向に落ち着かないことを考えればしょうがないとは思いますが、もう少し市場との対話をしっかりしないとマーケットが異常に不安定になってしまいます。そういう意味でももう少しFRBには政策に対する配慮をしてほしいものです。