消費者マインドがやや改善も先行き不透明感は依然続いていく

インフレもやや鈍化してきた可能性もあり、ようやく明るい兆しも見えてきたように思える米国市場ですが、消費者のマインドもやや改善傾向にあるようです。先日発表されたミシガン大学の消費者調査によれば、消費者のマインドは11月後半にはやや改善傾向にあることがわかりました。依然、不透明な状況であることは変わりありませんが、良いニュースであることは間違いないでしょう。このまますんなりと行くとはあまり思えませんが、消費者物価の落ち着きとともに経済正常化へ向けて少しずつ動き出してきたのかなという感じです。というわけで今日はミシガン大学消費者マインド指数についてみていきます。

11月の消費者マインドはやや改善

先日発表された11月の消費者マインドは前回調査よりやや改善し、消費者のマインドは改善傾向にあることが確認できました。

米消費者の短期のインフレ期待は11月後半に後退し、センチメントの改善につながったことがミシガン大学の統計で明らかになった。

  ミシガン大消費者調査ディレクターのジョアン・シュー氏は発表文で「こうした見通しをめぐる不透明感は依然として高く、先行き感の全般的な安定が必ずしも継続するわけではないことを示唆している」と解説した。

  10月の消費者物価指数(CPI)は予想を下回ったものの、インフレは依然として極めて高い水準にあり、金利上昇と相まって多くの消費者の生活を苦しくしている。調査では40%を超える消費者が、インフレで生活水準が悪化したと報告している。

  11月の現況指数と期待指数はいずれも速報値から上方修正されたが、統計的にはなお弱い水準にある。ガソリン価格が月間を通して下げ、これがセンチメントを明るくしたとみられる。

  歴史的な低失業率にもかかわらず、失業に対する消費者の見方は2011年以来の水準に悪化しているとシュー氏は指摘した。

  「労働市場に対する期待の悪化が続けば、消費需要もそれに続いて低下する可能性が高い。貯蓄の取り崩しや、信用コストの上昇で借り入れ意欲の低下が見られる状況では特に顕著になるだろう」と説明した。

引用:Bloombergより

このように消費者マインドは確実に改善傾向にあります。大きな要因としてはやはりエネルギー価格の下落があるようです。最近は一時期のようなガソリン価格の高騰は落ち着いてきた感があります。そういう意味では車社会である米国の消費者のマインドを十分に変えることができたのだろうという印象です。ただ、この調査自体で消費者のマインドを完全に把握できるというわけでもありませんし、依然として不透明感は存在します。そういう意味でも安心はできません。

先行きの不透明感は何も変わらない

消費者マインドが改善しているということは少なくともマイナスになるということはないでしょう。エネルギー価格が落ち着いてきたということは良い傾向です。しかし、ウクライナ情勢や今後のロシアの国際社会での位置づけ等を考えるとこのままエネルギー価格が落ち着いていくとは到底思えません。なので不安定なエネルギー価格というのはしばらく続いていくことでしょう。そういう意味でも今回の良好なマインドというのは長くは続いていかないのではないかという印象です。しかも、先日もお話ししたように労働市場はやや悪化の気配を漂わせてきました。もしこれが一時的な問題でないのであれば当然ながら消費者マインドにも影響を与える可能性が懸念されます。それに最近は企業業績も悪化し、人員削減の動きも活発になってきています。そういう意味では今後は消費者マインドの下落という可能性も否定できないでしょう。来年は米国経済の減速も懸念されており、やはり先行きは不透明であるといわざるを得ないのかなといった印象です。

まとめ

今日はミシガン大学の消費者マインド指数についてみてきました。マインドが改善傾向にあるということは素直に評価すべきことだと思います。ただ、いろいろ見ていくとこのまますんなりと改善が続いていくとはとても思えません。おそらくはこのまま上昇していくということにはならないでしょう。そういう意味では今回の発表もあまり喜んでばかりはいられないといった感じです。