新規失業保険申請件数が減少。労働市場は今なお健在。

米国の労働市場は引き続き堅調です。先週一週間での新規失業保険申請件数は減少に転じ、労働市場が今もなお底堅く推移していることが確認できる内容でした。今後のことはまだなんとも言えませんが、少なくとも現状では大きな景気後退の可能性やインフレの再加速の兆候はないのかなという感じです。

新規失業保険新規失業保険は再び減少

昨日発表された先週一週間での新規失業保険申請件数は減少し、労働市場の力強さを示したものとなっています。

米新規失業保険申請件数は先週、3週間ぶりに減少した。雇用継続の姿勢がおおむね維持されていることがうかがわれる。

  この数カ月間、労働市場は予想外の力強さを見せ、個人消費の原動力となっている。しかしUPSや一連のハイテク企業による人員削減が注目を集め、向こう数カ月にかけて労働需要が鈍る予兆ともみられている。

  より変動の少ない失業保険申請の4週移動平均は21万2250件に増加。昨年12月下旬以来の高水準となった。

  季節調整前の失業保険申請件数は3万1000件余り減少し、約23万2700件。減少は比較的多くの州に広がっており、オレゴン州とオハイオ州で特に大きく減った。

  ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のイライザ・ウィンガー氏は「新規失業保険申請件数は引き続き解雇率が比較的低いことを示唆している。調整前のデータからは、天候関連の変調を除けば昨年と似たようなパターンが見て取れる。しかしレイオフの報道が散見されており、申請件数は向こう数週間に増加する可能性がある」と分析した。

引用:bloombergより

このように米国の労働市場は今も堅調です。4週間の移動平均で見れば増加傾向にはまだありますが、それでもまだまだ歴史的に見て非常に低水準であることには代わりありません。それだけ企業も解雇に消極的になっているということであり、少なくとも仕事を失うリスクというのは小さいのが現状というところでしょう。これがいつまで続くかはわかりません。記事中にもあるように一部大企業ではリストラのニュースも出てきており、今後景気後退や金融引き締めの影響から失業者が増えてくる可能性も十分にあるでしょう。しかし、今のところは多少の失業率増加でもなんとかなるのではないかという感じはします。

雇用の流動性が低下することの副作用が心配

米国の労働市場は相変わらずの好調さを維持しているなという感じです。これだけ労働市場が堅調であれば景気後退の可能性はかなり少ないと見ていいでしょう。しかし、あまりこの状態が続くというのは経済にとっても良いことではないのかなという感じもします。米国では用意に労働者の解雇も行われますし、労働者も簡単に仕事をやめていきます。そういう意味で非常に流動性が高いマーケットということですが、それ故に賃金も上昇しやすいというところもあるでしょう。現状雇っている労働者の給料を上げるよりも新たに採用する労働者の賃金のほうが上がりやすいからです。そういう意味では雇用の流動性が高いということが米国の賃金上昇を支えていた側面もあるのではないかと思います。なので雇用の流動性があまり良くなくなれば労働者の賃金もそれほど伸びなくなるのかなという懸念も想起されるところです。ただ、日本と違って米国の労働者はそのような状況になれば簡単に仕事をやめそうな感じがするのでそこまで心配する必要はないのかもしれません。

まとめ

今日は新規失業保険申請件数について見てきました。今の所、労働市場は堅調に推移しています。これがいつまで続くかはわかりませんが、この状態が維持される限り、大きな景気後退はないでしょうし、インフレも大きくは落ち込むことはないでしょう。ゆっくりゆっくりと事態は進んでいくものと思われます。