米国のインフレ率が10%にも達する?

米国のインフレは依然深刻な状況が続いています。現在の株式市場にとってインフレはロシアのウクライナ侵攻と並ぶ重要テーマです。それ故にこのインフレが今後どうなっていくのかと考えている人は多いのではないかと思います。そして多くの識者がインフレについて楽観論や悲観論を展開し、今後の予想について述べています。その中でインフレが今年10%にもなると予想している人がいたので今日はそれについて紹介したいと思います。

ジェフリー・ガンドラック氏はインフレに対して非常に悲観的

その人はダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏です。同氏は米インフレが9%、場合によっては10%に向かうと予想しています。そしてロシアによるウクライナ侵攻によって利上げのペースが緩やかになるのではないかという意見について、次のような意見を述べています。

ウクライナでの戦争がFRBの積極的な利上げの確率を下げるという話をし出した人たちがいるが、私は全く反対意見だ。

引用:The Financial Pointer 【短信】米インフレは9%に向かう:ジェフリー・ガンドラック より

ガンドラック氏はこのように述べ、ロシアによるウクライナ侵攻によってFRBの金融引き締めが緩むことへの批判をしています。ロシアの軍事侵攻は明らかに経済にとってマイナスであり、その結果経済に大きなダメージを与えることはまず間違いないでしょう。しかし、それを考慮したとしても現在のインフレというのはとても楽観できるものではなく、一刻も早く対処しなければならないと言っているのです。そのくらい現在我々が置かれている状況というのは深刻であるということでしょう。実際、ロシアによるウクライナ侵攻の影響も重なって原油や食料など商品価格というのは異常に高騰しており、インフレが落ち着く様子は全く見られません。むしろさらに加速していると言っていいでしょう。そんな中で金融引き締めの手を緩めるというのは全くの間違いだとガンドラック氏はいっているのです。

インフレ率は10%に達する?

そのため今後もインフレ率は上昇するとガンドラック氏は見ています。現在約7.5%もの消費者物価ですが、さらに上昇すると見ています。

インフレ率は7.5%でピークアウトするとは見ていない。おそらく10%、間違いなく9%に向かうと見ている。

引用:The Financial Pointer 【短信】米インフレは9%に向かう:ジェフリー・ガンドラック より

10%ものインフレ率というのは非常に高いように思えますが、現在すでに7.5%ですからあと2.5%の上昇で達成できる数字です。ここ最近の急激な商品価格の上昇を見ていると十分に起こり得るのではないかと思います。そうなったときどうなるのか。それは誰にもわかりませんが、少なくともとても正常な状況ではないことは確かでしょう。

来週のFOMCが非常に注目される

今後のインフレがどのように推移するのかはわかりません。しかし、現在の状況を見る限り、短期的に落ち着いていくとは到底思えません。10%のインフレ率というのは流石に難しいのではないかとは思いますが、ありえないとは言えないと感じました。来週にはFOMCが開催され、おそらくは利上げが行われると思います。その幅について0.25bpになるのか0.5bpになるのかによって今後の展開は大きく変わるでしょう。そういう意味で来週のFOMCは非常に注目されるところです。

まとめ

今回は非常に厳しいインフレ予想について見てきました。このあたりについては識者でも意見が別れており、本当に10%までインフレ率が上昇するのかはわかりません。しかし、少なくとも今年中にインフレが落ち着いていくという予想をしている人というのはかなり少数であると思います。そういう意味でもしばらくは高いインフレが常態化するということになりそうです。インフレが続く間は名目上の株価は上昇すると思われます。なのでしばらくは株は買いでいいと思いますが、当然この状況が続けばいつかは景気も悪化し、株価も下落していくでしょう。そうなればいわゆるスタグフレーションという状況になり、とても厳しい経済状況が訪れる可能性も否定できないのです。しかし、長期的に見れば米国をはじめとした自由・資本主義の流れは今後も続くと思います。そうであればいずれ株価も上昇するでしょうから、下落した局面でコツコツと買っていけばいいのではないかと思います。