強い雇用統計の結果を受け、3月のFOMCが特に注目される

先週の4日、マーケットが最も注目する指標の一つである米国の雇用統計の発表がありました。これはFRBの金融政策に最も影響を与えるものの一つであり、今後の金融政策を占ううえで非常に重要なものです。もちろん投資家としては無視することはできません。そういうわけで今日は先週発表された雇用統計についてみていきたいと思います。

Reuters Japan

米労働省が4日発表した2月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比67万8000人増と、市場予想の40万人増を大幅に上回…

2月の雇用統計は非常に強いものだった

3月4日、米労働省が発表した2月の雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比67万8000人増と、市場予想の40万人増を大幅に上回りました。失業率も3.8%と非常に低水準となり、米国の強い労働市場を改めて裏付ける形となりました。

賃金の伸びはやや鈍化している

ただ、賃金の伸びは前月からほぼ変わらずの水準であり、伸び率が鈍化傾向にあることも明らかとなりました。つまり、賃金は上がらないのにもかかわらず物価が上昇していくといういわゆるスタグフレーションの傾向がやや見られます。

広範囲での失業率は上昇

経済的な事情によりパートタイムで働く人の数は41万8000人増の410万人。働くことをやめた人や、正規雇用を目指すために一時的にパートタイムで働く人など広範囲での失業率は7.2%と前月の7.1%から上昇しています。

予想以上の結果を受けて、FRBがどのような結論を出すのかが注目される

今回の発表を受けて改めて米国の労働市場の強さを確認できることとなりました。最近は非常に暗いニュースが多い中でこのことは非常に明るいものであり、今後の先行きについてとても希望が持てるものとなりそうです。

ウェルズ・ファーゴ(米ノースカロライナ州シャーロット)のシニアエコノミスト、サム・ブラード氏は「世界には今、ロシアとウクライナ紛争から高騰するインフレまで懸念されるニュースがたくさんある」とした上で、「しかし米国の雇用回復は殺伐とした状況の中で明るい話題となり続けている」と指摘した。

引用:ロイターより

FRBのパウエル議長も先週の議会証言では米国の労働市場について非常に力強い状況が続いている認識を示していました。そのため今回の発表でその認識をさらに強くしたことでしょう。しかし、先週の段階ではウクライナ情勢もあり、3月の利上げについては0.25bpが適切という認識を示していました。市場では0.5bpの可能性をすでに織り込み始めていたために、FRBが若干トーンダウンしたのではないかという雰囲気も出ていました。ですが今回の非常に強い労働市場の結果を受け、改めてFRBがどのような決定をするのかが注目されます。専門家の中にはウクライナ侵攻によって3月の利上げは当初よりも緩やかなものとなるという意見も多くなってきましたが、それでももっと強く引き締めるべきだという意見もあることも事実です。そういう意味では今回の雇用統計の結果を受けて、FRBの金融政策も変わる可能性が十分にあるのではないかと思います。

まとめ

今日は先週の雇用統計を受けての個人的な感想を述べました。来週にはいよいよFOMCが開催され、政策金利が上昇することはほぼ確実です。それが0.25bpになるのか、または0.5bpになるのかは正直何とも言えなくなったのではないかと思います。先週の段階では0.25bpでほぼ決定だったとは思いますが、今回の力強い労働市場の結果を受け、もしかしたらFRBも強気に出てくるかもしれません。そういう意味では来週のFOMCは非常に注目されるものとなりそうです。