ロシア関連の投資信託の売買停止から見る流動性の重要性

ロシアによるウクライナ侵攻はマーケットにも大きな影響を与えています。株式市場は連日そのニュースにより上げ下げを繰り返しており、非常に神経質な動きが続いています。そして今回の事態の影響を受けたものの一つとしてロシア関連の投資信託が新規の購入だけではなく、解約についても停止に至るという事件が起こりました。これによって該当する投資信託を持っている人は換金をできなくなり、流動性の観点から見ると非常に大きな問題が生じることとなりました。このようなことはあまり起きないことですが、投資をするうえで流動性のリスクというものは常に考えなければならないことです。今回の事件はその重要性を改めて考えさせられる事件となりました。そういうわけで今日は投資信託の流動性について考えてみたいと思います。

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 ロシアによるウクライナ侵攻は、世界の金融市場にさまざまな形で混乱をもたらしています。投資信託への直接的な影響としては、…

ロシア関連の投資信託の解約が停止された

ロシアのウクライナ侵攻によって世界のマーケットは大きな影響を受けることになりました。特にその中心国であるロシアについては株や債券、通貨などの暴落が起きており、非常に深刻な影響が出始めています。そのためロシア関連の投資商品についてもその影響をもろに受けています。その一つが今回の投資信託の解約停止措置です。

万が一の時は運用会社は売買の停止をすることができる

投資信託はいつでも購入、売却ができるというのが特徴の一つです。なので今回のように突然売却ができなくなるというのは非常に商品として問題のある結果です。ですから運用会社としても極力今回のような事態は避けたかったのだろうとは思います。しかし、ロシアに対する厳しい金融措置の結果、ロシア関連の金融資産というのは流動性が異常に低下し、これまで通りの売買ができなくなりました。そうなるとそれらを対象としていた投資信託についても当然同じような影響が出てきます。今回の事態を考えると、おそらくは多くの投資家がロシア関連の資産についてはいったん売却をして様子を見ようと思うはずです。しかし、市場ではすでにロシア資産については流動性が大きく低下しており、思うような売買ができない状態になっています。そこへさらに大量の売り注文を出したところで約定などできるはずもなく、ただただ市場を混乱させるだけとなってしまいます。なのでこのような時には運用会社は投資信託の購入や売却を制限することができるのです。そのため今回はロシア関連の投資信託について売却や買付が停止されたのです。

流動性の問題は意外と見逃されがち

このような事態は珍しいように感じますが、似たようなことは結構日常的に起こったりします。特に中小の流動性が非常に低い株や投資信託などでは思ったような取引ができなかったなんて経験をしたことがある人はいるのではないかと思います。さすがに国丸ごと一つがその対象となるなんてことはなかなかないですが、個別銘柄ごとに見てみると意外と今回のような流動性の問題というのは起きているのです。特に大きなサプライズなどが起きるとストップ高やストップ安など大きく値が動くなんてことはよくある話です。流動性の問題というのは意外と見逃されがちのような気がしますが、非常に重要な問題です。特に今回のように撤退ができなくなるという事態は最悪資産を失う危険性があるので特に注意が必要でしょう。

まとめ

今回はロシア関連の投資信託売却停止の事件から金融資産の流動性について考えてみました。流動性についてはあまり考えていないという人がときどき見受けられます。しかし、好きな時に売買できないというのは非常に大きな問題であり、万が一の時に資産をすべて失うリスクのある重要なことなのです。そういうわけで今回の事件は流動性の大切さを改めて確認することができる良い事例となったのではないかと思います。特に投資信託などはその特殊な運用方針により思わぬ事態に遭遇するということがないとも限りません。なので運用会社の信用度や投資信託の安全性には十分に注意した方がいいでしょう。