ネクステラ・エナジーはサステナブルな貴族株

今、世間ではSDGsが非常に注目されています。毎日のようにニュースで取り上げられているので、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。投資の世界でも、企業がSDGsに対して逆行するようなことはしていないかなど、投資家から厳しい目を向けられているようになってきています。私が読んでいるニュースや投資レポートにも、SDGs関連銘柄の情報はよく見るようになりました。しかし、貴族株投資という観点でみると、最近話題の銘柄というのは、なかなか投資対象とはなりづらいところです。なぜなら、貴族株は配当を継続的に上昇させなければならず、投資対象となるには最低でも25年かかります。なので、最近出てきたような企業というのは、投資対象になりません。しかし、調べてみれば意外とあるものです。SDGs関連株の中にネクステラ・エナジー(NYSE:NEE)という企業があります。この企業は持続可能社会を作る上で非常に注目されている企業の一つです。そしてネクステラ・エナジーは連続増配年数27年と、見事貴族株としての条件を満たしています。というわけで今日は、ネクステラ・エナジー社についてみていきます。

SDGsとは

持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)別ウィンドウで開くの後継として,2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された,2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。

引用:外務省ホームページより

SDGsは貧困や環境問題、人権、産業などあらゆる分野について、誰ひとり取り残さないことを目指し、先進国と途上国が一丸となって達成すべき目標を定めています。具体的には17の目標と169のターゲットで構成されていて、非常に細かく設定されています。投資の世界でも、このSDGsについては非常に厳しく見られており、多くの機関投資家はSDGsに積極的でない企業には投資をしないなどの動きを示しています。そして、ESGsに対する投資は年々増加しており、今後もこの動きは加速するものと見られています。

引用:SMBC日興証券株式会社 ホームページより

モトリーフールの特集

先日、モトリーフールに、「次の10年間で注目したいサステナブル投資のトレンド」というレポートが最近投稿されました。それによると、以下の企業がSDGs関連株として、将来有望と推奨されていました。

  • ネクステラ・エナジー(NYSE:NEE)
  • ドミニオン・エナジー(NYSE:D)
  • デューク・エナジー(NYSE:DUK)
  • ハノンアームストロング・サステナブル・インフラストラクチャ―・キャピタル(NYSE:HASI)
  • ブルックフィールド・リニューアブル・パートナーズ(NYSE:BEP)
  • キンダー・モルガン(NYSE:KMI)
  • ソーラーエッジ・テクノロジーズ(NASDAQ:SEDG)
  • エンフェーズ・エナジー(NASDAQ:ENPH)
  • サンパワー(NASDAQ:SPWR)
  • アレイ・テクノロジーズ(NASDAQ:ARRY)
  • TPIコンポジット(NASDAQ:TPIC)
  • テスラ(NASDAQ:TSLA)
  • フォード・モーター(NYSE:F)
  • チャージポイント(NYSE:CHPT)
  • ルーシッド・グループ(旧ルーシッド・モータース)(NASDAQ:LCID)

これだけ多くの企業があるのだから、いくつか貴族株はあるのだろうと思い、調べてみたら、なんとネクステラ・エナジー(27年)一社のみでした。まあ、そんなに多くはないだろうとは思っていましたが、これだけの推奨銘柄があればもう少しあるものと期待はしていました。しかし、現実はなかなか厳しいようです。

参照:モトリーフール 次の10年間で注目したいサステナブル投資のトレンド

ネクステラ・エナジー(NYSE:NEE)について

ネクステラ・エナジー(NextEra Energy Inc)(NEE)は持株会社である。【事業内容】NEEは、北米における電力・エネルギーインフラ事業者であり、子会社のNextEra Energy Resources, LLC(NEER)およびその関連事業体を通じて、風や太陽からの再生可能エネルギーの発電事業を行う。セグメントは、ガルフ・パワー社を含むFPLとNEERがある。Florida Power & Light Company(FPL)は、フロリダ州で主に電気エネルギーの発電、送電、配電、販売を行う料金規制対象の電気事業者である。NEERは、再生可能プロジェクトを中心とした長期契約資産の開発・運用を重視した事業戦略を持つ、多角的なクリーンエネルギー企業である。NEERは、米国およびカナダの卸売エネルギー市場において、発電施設の所有、開発、建設、管理、運営を行う。また、NEERは、金融・物理的な契約の締結など、エネルギー関連商品のマーケティング・トレーディング活動を行う。

引用:investing.comより 

ネクステラ・エナジーはフロリダに拠点を置き、太陽光や風力など、幅広い再生可能エネルギー事業を行っています。バイデン政権の政策もあり、現在は再生可能エネルギー事業は非常に良好のようです。さらに、今後も大型プロジェクトがあり、長期的な成長が見込める可能性があります。そして現在はS&P500にも採用されており、会社としての信用度も上がり、資金面での安定感も増しています。そういう意味では、非常に投資対象としてはいい条件が揃ってきていると言えるでしょう。

通期業績推移

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

売上高は、緩やかではありますが、上昇傾向です。今後については、政府の政策もあり、再生可能エネルギー事業はどんどん拡大していく可能性が高いので、売り上げも伸びていくことが期待されます。

株価の推移

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

株価は順調に伸びているようです。この10年で約6倍くらいにはなっているでしょうか。個人的にもっと急上昇しているのかなと思っていましたが、そこまでではないです。これから民主党政権はクリーンエネルギーを重視しているので、もっと強く上昇する可能性もあるのかなと思います。

セグメント構成

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

Florida Power & Light Companyによる売り上げが、かなりの部分を占めていることが分かります。この会社は、フロリダでのクリーンエネルギー事業を行っている会社のようです。NextEra Energy Resources, LLCは関連会社と合わせて、風力・太陽光発電の発電量が世界最大だそうです。それが約30%ほどとなっています。今は売り上げの大部分をフロリダでの再生可能エネルギー事業を占めています。なので、今後はもっと収益の多角化ができれくれば、安定的な事業展開ができるのではないかという印象です。

セグメント業績推移

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

この一年は業績はあまりよくはないようです。新型コロナウィルスパンデミックの影響で、経済活動が制限されていたことが大きいのではないかと思います。今後は経済活動の再開に合わせて、業績の改善が期待されます。

年間配当履歴

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

配当は毎年上昇しているようで、非常に美しい右肩上がりのグラフを描いています。まだまだ、設備投資など資金はいくらあっても足りないくらいだと思いますが、配当での株主還元には積極的なようです。投資家としてはうれしい反面、きちんと事業拡大できるのかなと心配にはなります。今は再生可能エネルギー事業にとっては、非常に重要な時期だろうと思いますので、積極的に投資をして、チャンスを逃さないようにしてもらいたいものです。

配当利回り 配当性向

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

配当利回りはそこまで高くはありません。しかし、配当性向は非常に高いです。かなり無理をしているのではないかと思います。やはり、積極的な投資活動をしつつ、配当も出しているのではないかと思います。すぐにダメになることはないと思いますが、あまりこの状態が続くと、配当の減少や、収益の悪化にもつながりかねないので、少し心配になります。

PER

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

PERは非常に高いです。50倍というのは市場平均と比べても明らかに高いですし、過去の推移と比較しても現時点で高値圏にいます。少々、期待先行という感じです。再生可能エネルギー事業はこれから期待される事業なので、株価が上昇しやすいのはわかりますが、さすがにここまで高いと投資するには少し慎重になった方がいいのかもしれません。

貴族株指標

  • 増配年数 27年
  • 配当利回り 1.96%
  • 1年増配率 12.00%
  • 3年増配率 12.53%
  • 5年増配率 12.70%
  • 10年増配率 10.84%
  • 配当性向 93.90%
  • PER 47.88

参照:U.S.DividendChampions 2021/09/30より

連続増配年数は27年と貴族株となってまだ日の浅い企業のようです。しかし、27年連続増配というのは十分立派な数字なので、問題はないでしょう。配当利回りは1.96%と平均的です。しかし、再生可能エネルギーは、今まさに成長分野ですから、配当に回すよりも設備投資等に回したほうが、結果的には企業価値も高まり、株主の利益になるのでその方がいいのではないのかなとは思います。ただ、増配率の数字を見ると、ここ10年10%以上の成長をしており、配当での株主還元に非常に積極的な会社だとわかります。配当性向は93.90%とかなり高めです。これを見てもかなりの積極投資をしているのではないかと想像できます。大型投資が無事に安定した収益を生み出すまでは、もう少し、資金に余裕をもたせたほうがいいのではないかと心配になるような数字です。PERはかなり高いです。高い成長をしている企業はPERは高くなりがちなのでしょうがないのかなとは思います。しかし、注意は必要でしょう。

まとめ

今日はSDGsについて、そしてネクステラ・エナジーについて見ていきました。正直、SDGsについては縁のない分野だと思ってました。貴族株を投資対象としていると、どうしても、急成長している企業や、注目の分野というのは投資対象とはなりづらいことが多いです。どちらかというと、安定した事業を継続的に行える企業や業種が中心となります。なので、ほとんどチェックをしてこなかったのです。そういう意味では今回のネクステラ・エナジーを発見できたのは非常に幸運でした。いつもだったら見逃してしまってたところでしょう。とりあえずブログのネタにはなるかなと、軽い気持ちでチェックしてみたら、まさかの投資対象企業が見つかったというところです。本当に先入観で物事は判断してはいけないなと改めて感じました。

ネクステラ・エナジーはこれから非常に期待できる企業だと思います。再生可能エネルギー事業は、これからしばらくの間、世界的に伸びる分野であることは間違いないところです。そして、過去においても安定した配当と、積極的な増配を続けてきた姿勢と結果は、十分に評価していいでしょう。懸念事項としては、配当性向が高く、資金繰りが不安なところと、注目分野ということもあり、割高感があるところです。しかし、これから長期間に渡り成長していく可能性は十分にあり、投資を検討する価値は十分にあると思われます。