新規失業保険申請件数は依然として低調であり、労働市場は堅調であると言っていいのではないだろうか

米国の労働市場は引き続き堅調さを保っています。昨日発表された先週一週間での新規失業保険申請件数は大幅に減少し、企業があまり人員削減に積極的でないことが明らかとなりました。景気の先行きや労働市場に対する不透明感は依然として存在しますが、雇用に関しては引き続き安定しているようです。

労働市場は依然として堅調

昨日発表された先週一週間での新規失業保険申請件数は大きく減少し、労働市場が依然として堅調であることが確認されました。

先週の米新規失業保険申請件数は2月以来の水準に減少した。企業が人員削減に消極的なことが浮き彫りになった。

  失業保険の継続受給者数は8月26日終了週に167万9000人に減少した。これは7月以来の低水準。

  労働市場は緩やかに軟化しつつあるが、景気を支える極めて重要な要素となっている。雇用が堅調な一方、人員削減は限られていることで個人消費が持続しており、米国はリセッション(景気後退)を回避できるとの楽観が強まっている。

  失業保険申請件数のデータは週によって変動が大きくなりやすい。特に祝日の前後でその傾向が強く、今回はレーバーデー前の週だった。より変動の少ない失業保険申請の4週移動平均は22万9250件に減少した。

  季節調整前ベースでは、先週の申請件数は小幅減少。州別ではオハイオやニューヨークで特に大きく減った。

引用:bloombergより

このように米国の労働市場は未だに強さを維持しています。インフレの悪化や金融引き締めによっても一向に悪化しなかった労働市場ですが、それは現在においても健在です。景気の先行きが不透明な中、企業としてはコスト削減の意識も当然ながらあるとは思いますが、人員整理という観点ではあまり積極的ではないようです。雇用が一定程度守られているのであれば景気がそこまで大きく悪化するということはなかなか考えられず、懸念されたリセッションリスクというのは大きく後退したままと言っていいでしょう。

今のところ順調

米国の労働市場は本当に力強いです。強すぎる労働市場というのもインフレ抑制という観点で見れば大きな問題となりますが、この程度であればさほど問題にならないのかなという印象です。むしろソフトランディングへ向けて順調であると言っていいのだろうと思います。あとはこのバランスをFRBがどのように撮ってくるのかというところが問題になるでしょう。その点は気になるところです。インフレ抑制を重視するあまり、引き締めを強めすぎるということのないように慎重な行動を期待したいところです。

まとめ

今日は米国の労働市場の動きについて見てきました。相変わらずの堅調さは本当に驚くばかりです。おそらくここまで労働市場が堅調に推移すると予想した人はいなかったのではないかと感じています。そういう意味では非常に心強いことであると言っていいでしょう。しかし、インフレとの戦いはまだまだ長い道のりです。この先もいくつもの厳しい局面が待っていると思われます。そういう意味では現状、労働市場が堅調だからといって安易な楽観論にならないようにしたいものです。