ベージュブックが公開される

米国経済は徐々に減速してきています。昨日発表された米地区連銀経済報告、いわゆるベージュブックによると、雇用の伸びは減少し、経済も成長スピードが落ちてきていることがわかりました。インフレにより大きく加熱してきた米国経済ですが、確実にその熱は落ち着いてきているようです。

ベージュブックが公開

昨日発表されたベージュブックによると、米国の経済、雇用ともに伸びは鈍化してきていることが確認されました。

米地区連銀経済報告(ベージュブック)によると、米国の経済と雇用市場の伸びは7月と8月に鈍化した。また、多くの企業は賃金上昇が短期的に広い範囲で減速するとみていることが分かった。連邦準備制度理事会(FRB)が6日に公表した。

  ベージュブックは「大半の地区の調査先が、経済成長は緩慢だったと指摘した」と記した。

  また、ほぼ全ての地区で企業は「賃金の伸びが短期的に広い範囲で鈍化するという、これまで実現しなかった予想をあらためて示した」としている。 

  先週発表された8月の米雇用統計は、雇用が広範囲に増加したにもかかわらず、労働市場の一部が冷え込みつつあることを示唆した。平均時給は前月比の上昇率が、昨年早期以来の低い伸びにとどまった。

  ベージュブックによると「大半の地区は物価上昇が総じて減速したと報告した。減速ペースは製造業と消費財のセクターでより速かった」。その一方で、「いくつかの地区では、過去数カ月間に損害保険料が急激に上昇したと調査先が指摘した」と記している。

  今回のベージュブックは12地区連銀が8月28日までに集めた情報を基に、カンザスシティー連銀がまとめた。

引用:bloombergより

このように米国経済は徐々に減速してきているようです。新型コロナ後の経済再開により、急激に回復してきた米国経済ですが、そのペースがあまりにも加速しすぎたために大幅なインフレとなっていました。それを抑制するために大規模な引き締め政策等インフレ抑制のために全力を注いできたというのがこれまでのことです。そしてその努力がようやく実を結び始め、インフレは落ち着き始め、経済も一時期の熱量は失われつつあります。

経済減速が起こるのか

インフレがようやく落ち着きを見せ始めたと見られてから随分と立ったと思いますが、インフレを完全に制御できているという段階にはなっていません。そういう意味ではしばらくこの傾向というのは続くのだろうという感じがします。そして問題はインフレが落ち着くまでに経済は持ちこたえられるのかというところです。インフレ鈍化とともに経済も徐々に失速傾向にあることがベージュブックからも読み取れます。この程度の減速であればそれほど大きな問題にはならないでしょうし、むしろソフトランディングには好都合という感じもします。しかし、今後、経済減速が急激に進む可能性もあり、まだまだ油断はできないというのが正直なところでしょう。FRBではもう一段階の利上げの必要性を訴える声が多くあり、その可能性は低いとは言えないでしょう。そういう意味では今後も注意が必要なのかなと感じています。

まとめ

今日はベージュブックの内容について見てきました。インフレが落ち着いてきていることが確認でき、その結果経済の失速が懸念されるという感じかなと思います。それでも今のところはそれほど大きな問題はないとは思いますが、状況次第では急減速という可能性も十分にあるので警戒は怠らないほうがいいでしょう。