今後の金融政策はデータ次第

今後の金融政策の行方については誰もが気になるところだと思いますが、当事者であるFRBもその行方についてはまだ何も確定的なものを持っていないと思われます。事実、昨日もFRB関係者からは相反する発言が出てきており、先行きは非常に不透明だと言えるのだろうと思います。

今後も引き締めが必要

クリーブランド連銀の目スター総裁はインタビューにおいて、引き続き金利を引き上げる必要がある旨の発言をしています。

クリーブランド連銀のメスター総裁は、米金融当局はさらなる利上げが必要になる可能性があると述べる一方、次回会合でどのような決定を下すべきかについては言及しなかった。

  メスター総裁はドイツ紙ベルゼン・ツァイトゥング(BZ)とのインタビューで「これまでの状況から、政策金利をもう少し引き上げる必要があるかもしれないことは十分に想像できる」と発言。 「しかし、次回9月の政策決定までにはまだ時間があり、それまでに多くのデータと情報を入手できる」と述べた。

  「金融政策を過度に引き締めて経済に不要な痛みを与えることは望まない」としつつも、「金融政策の引き締めが過少なことも望まない」と語った。

  さらに総裁は「労働市場の堅調さ、および基調的な需要の力強さを踏まえると、現時点では引き締めが不十分な場合の代償は一段と大きいと思う」と述べた。インタビューがいつ行われたかは不明。

  メスター総裁は今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)で議決権を持たない。

引用:bloombergより

このようにメスター総裁は引き続き、インフレ抑制のために金利を引き上げるべきとの強い姿勢を示しています。インフレは落ち着きを見せてはいますが、依然として高水準であることは事実です。そういう意味ではメスター総裁の発言は十分に正当性があるものと思われます。

一旦様子を見るべき

一方でFRBのウォラー理事は、インフレは緩和傾向にあるために利上げの見送るべきとの姿勢を示しています。

米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は5日、インフレが引き続き緩和しているのを最近のデータが示しているため、金融当局は利上げを「慎重に進める」ことができるとの考えを示した。

  ウォラー氏は経済専門局CNBCとのインタビューで、「差し迫ってすぐに何かをする必要があると示すものは一切ない」と発言。次回の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で金利据え置きを支持することを示唆した。その上で、「何もしないで、データを待つことが可能だ」と述べた。

  FOMCは9月19ー20日に次回会合を開く。金利先物市場は利上げの確率をほぼゼロと織り込んでいる。需要を減速させ、インフレを2%目標に戻すため、FOMCは政策金利が十分に景気抑制的かどうかを判断しようとしている。政策金利は7月会合で5.25-5.5%に引き上げられた。食品とエネルギーを除いた個人消費支出(PCE)コア価格指数は7月に前年同月比4.2%上昇した。

  ウォラー氏は7月13日、「インフレ率が当局目標に向け鈍化し続けるためには、年内に0.25ポイントずつ、あと2回引き上げる必要があるとみている」と話していた。同氏は7月会合で利上げに賛成票を投じた。

  この日のインタビューでは、年内の追加利上げを支持するかどうか明言を避け、今後発表されるデータ次第になると語った。

引用:bloombergより

このようにウォラー理事は9月のFOMCにて金利の引き上げは一旦見送り、状況を見守る必要があるとの見解を示しています。インフレが落ち着いてきているということを考えればこちらもそれなりに説得力のある意見にも聞こえます。いずれにせよFRB内部では現在、金融政策に対して意見の相違があるということは確かなようです。

今後のデータ次第

少し前からこのような傾向は見られましたが、今もなお、その傾向に変化はないようです。FRB内部でタカ派とハト派が意見の対立をしており、活発な議論が展開されているのでしょう。その結果がどのようになるのかは今後わかることだと思いますが、今のところ我々にはなんとも言えないというのが正直なところです。ただ、どちらの側も今後の展開についてはデータを重視する姿勢を示しており、その結果によって大きく変わってくるということでしょう。なので今後発表される経済指標には非常に注目というところです。

まとめ

今日は今後の金融政策の行方について考えてきました。結論としてはわからないというところでしょう。非常に意見がわかれる状況であり、今後の経済指標によっていかようにも変わるのだろうというところです。そういう意味ではFOMCまでに発表される経済指標には非常に注目が集まるのだろうと思います。