FRBは今後も0.5%の利上げを継続することがほぼ確定

先日、今月初めに行われたFOMCの議事録が公開されました。それを見ると、今後6月と7月については0.5%の利上げが行われることが濃厚であり、その後は経済状況次第ということのようです。これについては大きなサプライズはなかったようで、市場も一応好感した感じでした。現在のインフレを考えれば利上げのペースが緩むとは思えませんので当たり前といえば当たり前かもしれません。というわけで今日は先日公開された5月のFOMC議事録についてみていきたいと思います。

今後も0.5%の利上げが行われることはほぼ確定

先日公開された5月のFOMC議事録をみると、今後2回のFOMCでも0.5%の利上げが行われることはほぼ確実なようです。

米連邦準備理事会(FRB)が25日に公表した5月3─4日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、「大半の参加者」が6月と7月の会合でそれぞれ0.50%ポイントの追加利上げを行うことが「適切となる可能性が高い」との見解を示したことが分かった。

引用:ロイターより

このように今後2回の利上げについて多くの参加者は賛同しており、この方向性はまず変わることはないでしょう。ウクライナ情勢や中国でのロックダウンなど景気を冷やす可能性も十分に考えられますが、今の以上に高止まりしているインフレを考えると、よほどのことがない限り、政策変更はないと思われます。

7月以降については流動的

しかし、7月以降についてはどうなるかまだ分かりません。今のところ労働市場は堅調なので、雇用環境は問題ないかもしれませんが、企業決算については予想外の悪化を見せるところもあり、予断を許さない状況であるともいえます。ウォルマートやターゲットなどの小売りが予想外に悪い決算を発表し株価は大きく下げました。週後半にも半導体大手のエヌビディアが悪い業績見通しを発表したことにより株価は大きく下げることとなっています。このように堅調だった米国経済にもやや暗雲が立ち込めている状況です。そういう意味でも7月以降はインフレだけではなく、経済状況も勘案して政策を決定していくだろうという意見も出ています。

投資会社大手ブラックロックの米州債券部門トップのボブ・ミラー氏は、議事要旨は7月がFRBにとって重要な節目になることを示していると指摘した。今後さらに2回の0.50%ポイントの利上げを織り込んでいる中で「7月会合以降、FRBは利上げに関してより『経済指標次第』になる可能性が高い。7月以降の政策方針は基本的に、インフレ率の動向と労働市場の需給不均衡の是正に向けた進展に左右される」との見解を表明。これらの要因が改善すればFRBは利上げ回数を減らす方向にシフトする余地が生まれるが、そうでなければ金融引き締めを強化せざるを得なくなる可能性があるとの見方を示した。

引用:ロイターより

不安定な状態は続いていくものと思われる

米国のインフレは以前厳しい状況であることには変わりありません。そのため、FRBは景気よりもインフレ抑制に重きを置いていることは確かでしょう。そのため7月まではよほどのことがない限り、政策の変更はないと思われます。しかし、その後は経済状況により政策が変更する可能性もあるようです。そういう意味ではインフレ退治にはやはり多くの時間を要する可能性が高くなってきたということだと思います。FRBは景気をあまり冷やすことなくインフレをうまくコントロールできると今のところは考えているようですが、そのことについて懐疑的に見る向きも多くあります。私にはどのようになるのかはわかりませんが、非常に難しいかじ取りを要求されるのであろうことは想像がつきます。そういう意味では今後も不透明な市場環境というのは続きそうです。

まとめ

今日は先日発表された5月のFOMC議事録についてみていきました。発表内容については大きなサプライズはありません。FRBのインフレ抑制に対する強い姿勢が確認できるものだったと思います。そうはいってもインフレをきちんと制御し、景気を上昇させることができるかどうかはまた別問題です。それが非常に難しいことであることはFRBも認めているところであり、今後については何とも言えないというところでしょう。しかし、歴史を見れば今回のような困難やそれ以上のものでさえも乗り切って、今の経済状況や株価があるのです。そういう意味ではたとえ景気後退するとしたとしても、株式投資をやめる理由はないと思います。むしろ下がっている時こそチャンスだともいえるでしょう。