米国のリセッションの確率は25%?

米国経済の回復は依然として見通せない状況ですが、リセッション入りする可能性も未だくすぶっているのが現状です。債務上限問題が解決し、一応の平穏は取り戻したかのようですが、根本的な問題解決には依然として至っておらず、その危険性は無視できるものではないでしょう。

ゴールドマン・サックスのレポート

先日、ゴールドマン・サックスが今後の米国経済のリセッション確率についてのレポートを発表しました。

ゴールドマン・サックス・グループは、米経済が向こう12カ月以内にリセッション(景気後退)に陥る確率の予想を25%に引き下げた。銀行セクターのストレスが和らいだことや、米債務上限適用停止についての超党派の合意を踏まえ、予想を変更した。

  シリコンバレー銀行(SVB)破綻後の3月中旬には景気後退確率を35%に引き上げていた。

  ゴールドマンのチーフエコノミスト、ヤン・ハッチウス氏はリポートで「銀行ストレスは今年の米実質国内総生産(GDP)成長率を0.4ポイント程度しか押し下げないという当社の基本シナリオに自信を深めている。地銀の株価が安定し、預金流出ペースが鈍化、融資は持ちこたえ、融資担当者調査が示す今後の基準厳格化は限定的だからだ」と説明した。「債務上限を巡る破壊的な対立からのテールリスクは消滅した」とも指摘した。

  ゴールドマンは2023年の米成長率を1.8%と予測している。

  ハッチウス氏は、米当局が13、14両日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合に際し公表するドット・プロット(金利予測分布図)を通じて今後の追加利上げを示唆する可能性が高いと指摘。ゴールドマンのエコノミストはFOMCが恐らく7月にさらに0.25ポイントの利上げをし、政策金利のピークレンジが5.25-5.5%になると予想している。

  ハッチウス氏は「その後に1年程度の長い据え置きを経て、非常に緩やかな引き下げが行われるとみている」とし、「確率に基づくと、金利市場は今後1-2年のフェデラルファンド(FF)金利の見通しを過小評価していると引き続き考えている」とコメントした。

引用:bloombergより

このようにゴールドマン・サックスは米国のリセッションの確率を25%に引き下げました。25%という数字も十分高いように思えますが、以前に比べると下がってきたことは事実です。そういう意味では一応の安心感は得られるのかなと思います。しかし、債務上限問題は解決したとはいえ、依然としてインフレは健在です。そして落ち着いてきたとはいえ金融不安も未だくすぶり続けています。もし、インフレを抑えるためにさらなる金利の引き上げを実施した場合、破綻する金融機関が出てきても全くおかしくはないでしょう。そういう意味ではまだまだ油断はできません。FRBもその危険性は十分に理解していると思います。しかしながら高すぎるインフレ率を見過ごすことはできず、厳しい対応を取る可能性もゼロではないことは頭に入れておくべきでしょう。

25%という数字

世界第一位の経済大国のリセッション確率が25%というのはかなり高いといっていいのではないでしょうか。4分の1の確率でリセッションするというと非常に危険な感じがするのは私だけではないはずです。それだけ厳しい状況に米国は追い込まれているということです。そういう意味では一時的な平穏が訪れても安心はしないほうが良いでしょう。特に今は債務上限問題が解決し、一応の安心感が漂っているような気がします。特に日本においては非常に株価が堅調であり、そのリスクについてやや感覚が薄くなっている人も多いのではないかと思います。今なお米国のリセッションリスクは健在であることはきちんと認識しておくべきでしょう。

まとめ

今日は米国のリセッション入りする可能性について考えてきました。25%という数字をどう見るかの人によるとは思いますが、個人的にはとても安心できる数字ではないなと感じます。万が一にも米国がそのような状況になれば日本を含め、世界経済に与える影響は計り知れないものとなるでしょう。仮に米国がなんとかリセッションを免れたとしてもその他の国では大きな影響があり、世界経済が大きく後退する可能性だってあるのです。そういう意味ではまだまだ安心はできないと思います。