7月までにもう一段の利上げが行われる模様

債務上限問題が解決した今、市場が最も注目するものの一つはFRBの金融政策が今後どのように行われていくのかということでしょう。インフレは依然として強く、各種指標もインフレの落ち着きを約束するようなものはありません。そういう意味ではしばらくは厳しい金融政策が続くように思いますす、市場もそのように思い始めているように思います。

市場はもう一段の利上げを織り込む

先日、マーケットが今年7月までにもう一段、金融政策が引き締められるとの見方をしていることがわかりました。

米国債市場は7月末までに金融政策が引き締められる確率を100%として織り込んだ。いったんは消えた利上げ観測が復活した格好だが、今年最後の利上げになると見込まれている。

  市場の見方に生じた変化は、米国債相場の下落を伴った。2年債と5年債の利回りは少なくとも12ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇。カナダ中銀が7日、根強いインフレ圧力を理由に政策金利を0.25ポイント引き上げたことも、米国債への売りを誘った。

  7日の金利スワップ市場では、7月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合とリンクしたレートが5.33%に上昇。現在の実効フェデラルファンド(FF)金利5.08%を25bp上回る。6月13-14日のFOMCを控えて、6月のスワップ金利は9bpの引き締めを示唆。FOMCはこれまで連続で実施してきた利上げをいったん停止するとの見方に、トレーダーらが傾いていることがうかがわれる。

  一方で12月FOMCにリンクしたレートは9bp上昇の5.08%と、現行の実効金利水準と一致した。7月レートを25bp程度下回っており、年末までに0.25ポイントの利下げが予想されていることを意味する。

  ブラックロックのグローバルファンダメンタル債券戦略責任者、マリリン・ワトソン氏は「来週に向けてすべての関心は消費者物価指数(CPI)に集まる」と指摘。「インフレはなおもFOMCの目標を大きく上回っている。利上げ停止であれ、一回休みであれ、言い方は異なっても、今後はもう利上げがないという約束ができあがったわけではない」と述べた。

引用:bloombergより

このように、債券市場では7月までに再びFRBが利上げを行うということを織り込んでいます。一時期は利上げはもう終了という空気も出ていましたが、相次ぐ強い経済指標の発表などインフレがいまだ衰えていないという証拠が多数出てきているため、その観測は急激に収束していきました。そして現在はもう一段の利上げが行われるというところで落ち着いているようです。7月までというとあと2回の会合が予定されていますが、そのどちらかで利上げが行われるということでしょう。6月についてはまだなんとも言えませんが、今のところは利上げ見送りと見る人が多いような気がします。なのでその場合は7月はほぼ確実に利上げが行われるということでしょう。逆に6月に利上げが行われた場合は7月はもうその可能性はなくなるのかもしれません。

インフレが早期収束することだけはないだろう

今のところ市場はこのように見ているようですが、当然ながらこの予想が必ず当たるということはありません。これまでのように状況次第でどうとでも変化するということは常に頭に入れて置かなければなりません。

あくまで現在の状況ではそうなるだろうということですし、市場の反応を見ているとそうなのだろうというところです。実際利上げについてももう限界まで来ていることは確かです。いくらインフレが厳しいと言ってもこれ以上の利上げというのは流石に無理がありすぎると思われます。そういう意味では今後は高い金利水準を維持しながらインフレが落ち着くのを待ち続けるということになるでしょう。そして今回のインフレは非常に粘着性が高いと見られています。そのためインフレが落ち着くにも相当の時間がかかることは間違いないでしょう。なので今後どのようなことになろうともインフレが早期に収束するということだけはないような気がします。

まとめ

今日は今後のインフレや金融政策について考えてきました。おそらくはマーケットの予想する通りの展開にはなると思われますが、どのような結論になろうともインフレがおちつくまでは総統な時間がかかるということだけは確かだと思います。今回のインフレはそう簡単には落ち着かないでしょう。なのでどのような金融政策が実行されようともこの戦いはまだまだ続くということは理解しておくべきです。