金融政策が緩むという期待はあまりしない方がいい

物価の上昇は予想外に鈍化してきており、経済にとってはいい状況になりつつあります。しかし、金融政策については今のところは変更はないような気がします。実際インフレ率は高止まりしていますし、落ち着いてきたからといって問題が解決されたというわけではありません。そのような発言もFRB関係者から出てきており、今後も注意が必要でしょう。そういうわけで今日は今後の金融政策について考えてみます。

引き締め政策は継続

米リッチモンド連銀のバーキン総裁は今後の金融政策について引き続き厳しい姿勢で臨むべきだという見解を示しました。過去にもあったように、少し改善の兆しが見えたからといってその手を緩めてはいけないと述べています。

米リッチモンド連銀のバーキン総裁は1970年代のような政策ミスを回避すべく、インフレが目標値の2%で推移することが明確になるまでは景気に弱さが見られたとしても利上げを継続する必要があるとの見方を示した。

  バーキン総裁は12日、CNBCとのインタビューで、「インフレ制御が一定期間継続するのを確認したい」と述べ、「それまでは金利が景気抑制領域に入るまで引き上げを継続していくしかない」と続けた。

  金融当局者は2.5%を中立金利とみるが、バーキン氏はその水準には不確実さがあると指摘。インフレ期待値を上回る金利、あるいはプラス圏の実質金利を自身は目指していると発言。「全年限の実質金利がプラス領域で持続するのを確認したい」と述べた。

  9月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合では50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げと75bpの利上げのどちらを支持するかについて、バーキン総裁は「消費者物価指数(CPI)統計が1つ、PCE統計が2つそれまでに発表される。データに注意を払いながら先行きを判断し、会合が近づくにつれて考えを固めていくつもりだ」と述べた。

  バーキン氏はリッチモンド連銀の元調査ディレクター、マービン・グッドフレンド氏のリサーチを基に、依然高過ぎるインフレにもかかわらず景気動向の変化に合わせて政策金利を上下したことが70年代の政策ミスだと指摘した。

  「インフレを持続的なベースで下げることを試みるべきだ。緩和の余地が生まれるのはそれからだ」とバーキン氏は言明した。

引用:Bloombergより

バーキン総裁はこのように述べ、現在の金融政策について明確な証拠がない限り、インフレ抑制の手を緩めるべきではないと述べています。この意見については全く同感です。一時的に指標が改善されたからといって引き締めの手を緩めるというのはやってはいけないことでしょう。もちろんそうせざるを得ない状況というのもあるとは思いますが、よほどのことがなければするべきではありません。現在の状況を見ればようやく物価の上昇が落ち着いてきたという段階であり、まだまだ高止まりしています。しかも労働市場は非常に堅調であり、金融緩和をする理由としてはとても説得力に欠けます。そういういみでも現在の金融政策は継続するべきだと思いますし、おそらくはパウエル議長をはじめ多くのFRB関係者もそう思っているのではないかと思います。

今弱めるべきではない

今後についてはバーキン氏も述べている通り、今後の経済指標によるところが大きいでしょう。しかし、何度も言いますがよほどのことがなければ現在の金融政策が変わるとは思えません。なので9月については75bpでの利上げが行われる可能性が高いと思います。堅調な労働市場を考慮すればまだまだ強い引き締めにも米国経済は十分に耐えうると思われるからです。であれば一刻も早くインフレを抑制できるように策を講じるべきでしょう。これから9月のFOMCまでにかなりの弱い経済指標ばかりが出てくるというような状況でもない限り、75bpでの利上げが行われるのだろうと思っています。

まとめ

今日は今後の金融政策について考えてみました。しばらくは現状のまま行くというのが今のところの大本命です。おそらくは75bpでの利上げが9月に行われ、そのあとはまだ流動的といった感じでしょうか。弱い物価によって金融政策も緩んでくるのではないかという期待も市場には出てきてはいますが、正直その可能性は低いといわざるを得ないと思います。あまり期待はしすぎない方がいいでしょう。