7月の消費者物価指数も大幅に鈍化。インフレは落ち着いてきたのか

7月の消費者物価は予想を大きく下回るものでしたが、生産者物価についても予想外に低いものとなりました。消費者物価の上昇が鈍化したことによりインフレも沈静化してきたのかという話も出てきていましたが、生産者物価についても勢いが減少してきたことを考えると、インフレもようやく落ち着いてきたのかもしれません。まだ、楽観はできませんが、少しずつ希望が見えてきたのかなとも思います。そういうわけで今日は先日発表された生産者物価指数についてみていきたいと思います。

7月の生産者物価指数は大幅に鈍化

先日発表された7月の生産者物価指数は市場予想を大きく下回るものとなり、物価上昇の勢いが末端の消費者だけではなく、川上の生産者についても鈍化していることがわかりました。

米国では企業コストの主要指数が7月に約2年ぶりの低下となった。主にエネルギーコストの低下を反映し、インフレ圧力の緩和として好意的に受け止められる可能性がある。

  財の価格低下の約80%は、ガソリンの16.7%安によるものだという。ディーゼル油や鉄・鉄鋼スクラップ、穀物の価格も下げた。

  生産過程におけるインフレ圧力が和らぎ始めた兆候が示された。向こう数カ月の消費者物価指数(CPI)の上昇ペースが抑えられる可能性がある。石油を含む商品価格はここ数カ月で大きく下げており、サプライチェーンの状態が改善しつつあるとの示唆もある。

  しかしながらリスクは残る。サプライチェーンの正常化が始まったものの、ウクライナでの戦争や米西海岸港湾の労働争議、中国のゼロコロナ政策が米製品や部材の輸送スピードを落とす要因になりかねない。

  シティグループのエコノミスト、アンドルー・ホレンホースト、ベロニカ・クラーク両氏は「今年下期に財の価格上昇が鈍化するのはしばらく前から広く予想されていた。サービス価格の詳細には予想外に強い部分も見受けられる」とリポートで指摘。「従って当社としては、物価圧力が依然として基本的に強いことに今後も焦点を絞る。特にタイトな労働市場に関連したサービスに注目している」と説明した。

  サービス価格はわずか0.1%の上昇にとどまった。燃料マージンや輸送、倉庫の上昇が寄与。一方でポートフォリオ管理や食品・アルコール小売り、長距離トラック運送などは低下した。

  食品とエネルギー、貿易サービスを除くPPIは前月比0.2%の上昇。前年同月比では5.8%上昇した。

  • 7月の米生産者物価指数(PPI)は前月比0.5%低下
  • エコノミスト予想は0.2%上昇
  • 前年同月比では9.8%上昇
  • 市場予想は10.4%上昇
  • 食品とエネルギーを除くコアPPIは前月比0.2%上昇
  • 前年同月比では7.6%上昇
  • いずれもエコノミスト予想を下回る

引用:Bloombergより

このように7月の生産者物価指数は大幅に伸びが鈍化しました。消費者物価の伸びが鈍化していることを考えればある程度予想はできましたが、数値として確認されるとより明確になったのかなと思います。インフレ鈍化の兆候はちらほら出てきてはいましたが、消費者物価と生産者物価の数値としてこのような結果が出たとなると、ある程度確信をもって判断してもいいのかなと思います。

それでも金融政策に大きな変更はないと思われる

問題はこのことによってFRBの金融政策がどのように変化するのかということですが、個人的にはやはりあまり変更はないのではないかと思います。物価の伸びは鈍化してきたとはいっても依然高いことには変わりありません。弱い消費者物価や生産者物価のために、金融政策が緩むという観測も一部では出てきてはいますが、当局からはそのような発言は出てきていません。大抵は良い兆候だとは言うものの、現状のインフレについては容認できるものではなく、引き続きインフレ抑制に全力を挙げるというようなものばかりです。さらに労働市場はいまだに力強く、多少の引き締めにも十分耐えられるとFRBも考えるでしょう。そういう意味でも9月の利上げはやはり75bpで行われるのではないかと思います。

まとめ

今日は7月の消費者物価指数についてみてきました。インフレについてはようやく落ち着きだしたのかなという感じです。ですが、まだまだインフレとの戦いはこれからです。FRBはまだその手を緩めることはないでしょうし、それゆえに株式市場も大きく上昇することもないでしょう。高止まりしているインフレが明確に落ち着くまではこのような状態が続いていくものと思われます。