米国の消費者のマインドはそこまで悪化していないようです。

16日に9月の米ミシガン大学消費者マインド指数が発表されました。結果としてはインフレ期待が1年余りで最も低い水準となっており、インフレが高止まりする中、非常に良い兆候が見られているといっていいと思います。ガソリンなど一部の商品が落ち着いてきていることが大きく影響しているようで、今後のFRBの金融政策にも大きな影響を与えることでしょう。そういうわけで今日は先日発表された米ミシガン大学消費者マインド指数についてみていきます。

消費者マインドは落ち着いている

16日に発表された9月の米ミシガン大学消費者マインド指数はインフレが高止まりする中で比較的落ち着いたものとなっています。

  • ミシガン大消費者マインド指数(速報値)は59.5に上昇-4月以来の高水準
  • 前月の確定値は58.2
  • 予想中央値は60.0
  • 5-10年先のインフレ期待は2.8%-2021年7月以来の低水準
  • 1年先のインフレ期待は4.6%に低下-21年9月以来の低さ

9月の米ミシガン大学消費者マインド指数では、長期のインフレ期待がここ1年余りで最も低い水準となった。インフレ期待の安定を目指す米金融当局にとって前向きな兆候が示された。

  消費者の間で供給不足についての言及が減り、ガソリン価格が低下している一方で、他の指標はインフレが加速し、食費や住居費など広範にわたることをなおも示している。今週発表された8月の米消費者物価指数(CPI)は予想を上回る伸びを示した。

  ミシガン大消費者調査ディレクターのジョアン・シュー氏は発表文で、「相反する物価関連情報が消費者の不安をあおり続ける中、インフレ期待は今後数カ月、比較的不安定な推移を続ける公算が大きい」と指摘した。

  インフレ期待は低下したが、家計見通しへの楽観はさほど高まらなかった。物価の高さが生活水準を損ねているとの回答は全体の約42%に及んだ。7月につけたピークは49%。

  ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、イライザ・ウィンガー氏は9月速報値について、「物価見通しがしっかり抑えられていることを示す」とした上で、「コアインフレ率の高止まりを踏まえると、インフレ再上昇のリスクはなおもあり、金融当局にとってはわずかな安心材料にすぎない」と指摘。「今回の統計では9月連邦公開市場委員会(FOMC)で決まる利上げ幅が100ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)ではなく、75bpになることが示唆された」と分析した。

  自動車や家電といった耐久財の購入環境に関する指数は、過去最低近くにとどまった。

  ガソリン価格の低下は消費者への明るい材料の一つとなっている。9月の現況指数は小幅上昇し58.9と、5月以来の高水準。期待指数は59.9と、4月以来の水準を回復した。

引用:Bloombergより

このように今回の発表を見る限り、消費者のマインドはそこまで悪化しているというわけではなさそうです。先日の消費者物価の値を見てもわかる通り、米国のインフレは異常なほど高くなっています。しかし、労働者の賃金も実質的には下がっているとはいえ、上昇していることは事実であり、そのあたりが日本との違いなのかなと思います。また、ガソリン価格の下落が大きく影響していることは間違いないでしょう。米国ではガソリンは生活に欠かせないものです。その価格動向によっては時の政権の支持率に大きな影響を与えるほどのものです。そのガソリンの価格が最近は下落傾向にあります。これはインフレや中国の景気減速など景気の先行きを不安視していることによる商品価格の下落が起こっているためです。景気が悪くなれば物は売れなくなりますから当然といえば当然です。しかし、そのことが今回米国経済にとっては良い結果となっているということです。

判断に迷うところ

いずれにせよインフレが高止まりしているにもかかわらず、消費者マインドがそこまで悪化していないというのは悪いことではないでしょう。FRBにとってもこれは良い材料となるはずです。最近の米国経済は悪材料と好材料の濃淡が以上に激しくなってきているような気がします。消費者物価などは非常に悪くなっている反面、今回の消費者マインドや労働市場などは依然好調をキープしています。そういう意味ではなかなかうまく判断できないという感じはします。しかし、これらを見る限りは今のところFRBの金融政策に大きな変更はないのかなと思います。インフレを抑制しなければいけないということは明白ですし、厳しく引き締めをしなければいけないでしょう。かといって100bpでの利上げをしなければいけないほどのことでもないような気はします。

まとめ

今日は先日発表された米ミシガン大学消費者マインド指数についてみてきました。米国の経済は悪いようでいてそこまでは酷くないのかなというよくわからない状況な気がします。ただ、そこまで悲観することもないような気もしますし、楽観もできないという感じです。とりあえず現状維持というところでしょうか。