11月の消費者物価も鈍化傾向。確実にインフレは抑制されてきてはいる

インフレは確実に落ち着いてきているようです。先日発表された消費者物価の数値は市場予想よりも鈍化しており、着実に物価は落ち着きを取り戻してきています。しかし、そうはいっても依然として7%台の物価上昇は続いており、非常に高い物価上昇であることは変わりありません。そして労働市場が依然として堅調であることを考えれば、このまま順調に物価が落ち着くということは難しいのではないかという印象です。というわけで今日は11月の消費者物価についてみていきます。

11月の消費者物価も鈍化傾向がみられた

先日発表された11月の消費者物価は市場予想を下回る結果となりました。これまでの生産者物価などの値を見る限り、インフレは確実に落ち着いてきているとみていいのかなという印象です。

1月の米消費者物価指数(CPI)統計では、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIが、前月比ベースで見て過去1年余りで最も低い伸びにとどまった。インフレの最悪期は過ぎた可能性が高いことを示唆し、予想される米利上げペースの減速を正当化する格好となった。

  総合CPIは、食品価格が上昇した一方でエネルギー価格が下落した。

  調査会社インフレーション・インサイツの創業者オメイア・シャリフ氏は「これは異常値ではない。実際、この日の統計はかなり広範な減速を示している」とリポートで指摘した。

  2022年に発表される最後のCPIとなった今回の統計は、インフレがまだ高過ぎる水準ではあるが、和らぎつつあることを示唆している。米金融当局は今回の伸び鈍化を歓迎する公算が大きいほか、来年の早い時期に利上げ休止を検討する可能性がある。しかし、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長はインフレを当局目標に戻すことへのコミットメントと見通しを巡る不確実性の両方をこれまで強調している。

  エコノミストらは前年同月比ベースの価格の伸びは来年に著しく鈍化するとおおむね想定しているが、米金融当局の目標に戻るまでの道がどの程度不安定、あるいは痛みを伴うものになるのかは不透明だ。

  ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のアナ・ウォン、イライザ・ウィンガー両エコノミストは「驚くほど伸びが鈍い11月のCPI統計は、ディスインフレが進行しつつあるとの論拠を強める。連邦公開市場委員会(FOMC)の一部当局者らは来年1月31日-2月1日の会合までに、利上げ休止に関する議論開始に向け『説得力ある』証左が十分あるとの結論に至る可能性がある」と指摘した。

  住居費は前月比0.6%上昇と、4カ月ぶりの小幅な伸び。ホテル宿泊料が下落した。住居費はサービス分野の最大項目で、総合CPIの約3分の1を占める。

  家賃は0.8%、帰属家賃は0.7%それぞれ上昇した一方、自宅以外での宿泊コストは0.7%低下した。前月は急上昇していた。

  コアの財価格は0.5%低下し、2カ月連続のマイナス。エネルギーを除いたベースのサービス価格は0.4%上昇と、7月以来の低い伸びとなった。

  CPIと別に発表された統計によれば、インフレ調整後の実質平均時給は11月に前月比0.5%増加。前年同月比では1.9%減少した。

引用:Bloombergより

このように消費者物価の伸びは確実に鈍化してきています。今回のことは今後の金融政策に大きな影響を与えることになるでしょう。もちろんまだ依然として物価は7%台の伸びととても楽観できる状態ではありませんが、良い傾向であることには変わりないのかなという感じです。

あまり楽観的になってはならない

今回の結果を受けてこれまで起きてきたインフレの落ち着きというのは間違いではないということではないかと思います。少なくともこれまでのような急激な上昇というのはもう終わったのだろうという感じです。しかし、だからといってすぐに目標とする2%の物価上昇には程遠い状態です。なので今後も厳しい金融政策というのは続いていくことでしょう。特に労働市場が非常に堅調であるということは物価の落ち着きという観点で見ればマイナスです。そういう意味では今後も物価は高止まりするのではないかという懸念も多くあります。そういう意味ではよい結果ではありますが、あまり楽観的に離れないような気がします。

まとめ

今回は11月の消費者物価についてみてきました。インフレは確実に落ち着いてきていると思います。しかし、経済が正常になるにはもう少し時間はかかるのだろうという印象です。そういう意味ではややマーケットは楽観的過ぎるような気はしますし、一時的に上昇してもまたすぐに下落をするということをしばらくは繰り返すのだろうと思います。そういう意味ではしばらく辛抱をしなければならないというのは続いていくでしょう。