FRBは今後も引き締めを継続するだろう

インフレ抑制に向けた動きは依然続いていますが、景気の後退懸念が出てきてからはややそれが弱くなるのではないかという観測も出てきています。いわゆる行き過ぎる引き締めを警戒してのことだと思いますが、現状ではあまり期待できないのではないかと個人的には思っています。もちろんそうなれば株式市場にとってはプラスであり、良いことだとは思いますが、安易な楽観論に飛びつくようなことはしない方がいいでしょう。

FRBはインフレ抑制の手を緩めない

リッチモンド連銀のバーキン総裁は、先日行われた講演において、インフレ抑制のために今後も引き締めを継続すべきという旨の発言をしました。

米リッチモンド連銀のバーキン総裁は、米金融当局はインフレ率を目標の2%に戻すために必要な措置を講じるとし、状況が自然に落ち着くのを待つことはないと述べた。

  同総裁はバージニア商業会議所主催のイベントに向けて準備した講演のテキストで、「インフレを正常な水準に戻す上でのこの緩慢さは、インフレ期待の安定を脅かす恐れがある」と指摘した。

  「インフレ悪化やインフレ期待の上昇を金融当局は放置できない。景気悪化を恐れて手を緩めれば、インフレはかえって勢いを増して戻ってきて、より一層の抑制が必要になる」と説明。「状況が自然と落ち着くのを待っているわけにいかないのはこのためだ。インフレが痛みを伴い、誰もがそれを嫌うのは承知している」と述べた。

引用:Bloombergより

このようにバーキン総裁は述べ、最近起こってきた緩和論に対して否定する発言をしました。現状、インフレは依然として健在であり、目指す2%の物価目標には程遠い状態です。そのような時に少々の景気悪化で緩和をするというのは間違っているということでしょう。マーケットに漂っていた楽観論に対して完全に否定する形となり、冷静になれといっているようです。

楽観論はあまり信用しない方がいい

個人的にはこの意見はその通りなのかなと思います。いろいろな意見があることは事実ですが、なんといってもインフレが全く落ち着いていないということは否定することのできない現実です。そのインフレが落ち着いていないのにもかかわらず、緩和をするという選択肢は明らかにおかしいと思います。景気減速を懸念する声も多く聞こえますが、今はインフレ抑制を優先すべきとの声はFRB関係者から多く聞かれます。そういう意味でもこの程度の経済状況で緩和に向かうということはなかなかないのではないかと感じています。先日はパウエル議長がやや方針転換ととらえられる発言をし、今後はやや政策も変更されるのではないかという観測も出ましたが、あくまで可能性の話であり、何も決定していることはありません。確実にインフレが鈍化してきているという証拠がない限り、景気が後退しようとも引き締めの手を緩めるということはないのではないかと思います。そういう意味では株価は一時的に戻すこともあるとは思いますが、あまり上昇を期待できる状況ではないでしょう。

まとめ

今日は今後の金融政策について考えてきました。個人的には再び漂ってきた楽観論にはあまり共感できません。いつもの先走りかなと思います。特にCPIの発表などで再び強いものが出てくるようであれば引き続き引き締めは継続ということになり、想定以上に長く、そして高い金利水準になる可能性だってあります。そしてこれまでも何度もその期待は裏切られ、インフレは成長をしてきたのです。そういう意味ではあまり楽観論には耳を傾けない方がいいのかなと思います。