米国一辺倒の投資のままでは危ない可能性もある

米国株式市場が非常に軟調に推移しています。先週はS&P500も大きく下げており、FRBの緊縮政策の影響を大きく受けているものとみられます。インフレも今後どのようになるかわからない状況であり、非常に不安定な展開が続いていくように思います。このような状況下においてどのように投資をしていけばいいのか。それを考えるために今日はジェレミー・グランサム氏の発言に注目したいと思います。

米国はスーバーバブル状態

ジェレミー・グランサム氏は自社のサイトにおいて以下のような発言をしています。

今日米国では過去100年で4度目のスーパーバブルが発生している。(過去)いずれのケースでも今サイクルで共通の特徴がすでに実現している。いつでも大混乱は始まりうる。

引用:The Financial Pointer スーパーバブル崩壊には新興国・日本:ジェレミー・グランサム より

グランサム氏はバブル研究家として有名な方です。そのグランサム氏が現在の米国はスーバーバブルが発生しているといい、投資家に対して警告を発しています。スーバーバブルとは以上のトレンドから3シグマの乖離をしている状態とグランサム氏は言います。シグマといわれてもよくわからないと思いますが、要は通常あるべき姿よりも異常に高く価格が上昇してしまっているということでしょう。それだけ今の米国市場というのは異常というのです。

現在の米国は昔の日本のよう

そして1980年代の日本を引き合いに出し、現在の米国の危機を訴えています。

今回新しく、1980年代の日本と匹敵するのは、いくつかのバブルが一緒になっていることによる異常な危険だ。市場に悲観が戻ってくれば、認識された富の米史上最大の潜在的下落に直面するだろう。

引用:The Financial Pointer スーパーバブル崩壊には新興国・日本:ジェレミー・グランサム より

グランサム氏は不動産・株式・債券・コモディティなど主要な資産で同時にバブルが発生しているといい、とても深刻な状況だといっています。日本が現在もバブルの痛手から回復していない要因の一つとして、このような同時発生のバブルが問題であったとも言っています。日本というわかりやすい経済停滞の見本を提示するということで、現在の危機的な状況をうまく説明しているのではないかと思います。

新興国か割安な先進国がよい

そのうえで投資家に向かって以下のようなアドバイスをしています。

要すれば、米国株を避け、新興国市場といくつかの割安な先進国、特に日本のバリュー株に重点を置くべきだ。個人的には、柔軟性を保つため現金、インフレからの守りに資源、少しの金・銀を選好している。

引用:The Financial Pointer スーパーバブル崩壊には新興国・日本:ジェレミー・グランサム より

米国のようなバブルが発生している国は避け、新興国や割安な先進国に投資するべきだといっています。その中に日本も含まれているようです。これが褒められているのかどうかは何とも言えませんが、少なくとも現時点では米国よりも日本の方が投資対象としてよいとみていることは間違いないでしょう。

今までのような米国一辺倒はよくない

個人的には大賛成とまでは言いませんが、それなりに納得のいく発言だと思います。グランサム氏は比較的悲観論が多い方なので、話を聞くときはその分を差し引いておいた方がいいとは思いますが、その内容自体はおかしなことを言っているとは思いません。米国の先行きが若干怪しいというのは間違いないと思います。細かい部分について、バブルが本当に発生しているのか、昔の日本ほどに危機的な状況なのかについてはいろいろ意見があるのではないかと思います。ただ、ここ数年のように米国にだけ投資しておけばよいというような時代は終わったのではないかと思います。しばらくは世界の平均よりもパフォーマンスが劣るということもあるでしょう。なので米国以外に目を向けるべきというのは賛成です。その選択肢として日本というのは間違っていないと思います。非常に弱くはなってきていますが、日本もまだ世界第3位の経済大国です。そして非常に安定感はあり、株価が割安で放置されています。なので十分投資対象として魅力的であると思います。新興国についてもこれからも伸びていくとは思いますが、やはりリスクは高めです。投資するのであれば十分余裕を持ってやるべきでしょう。

まとめ

今日はジェレミー・グランサム氏の発言から今後の投資方針について考えてみました。私はグランサム氏ほど米国に悲観的ではありませんが、今年はさすがに調子は良くないだろうとは思います。もしかしたら今後数年くらいはあまりぱっとしない展開が続くかもしれません。しかし、米国が世界経済の中心であるということは変わりないと思いますし、長期で見ればまだまだ成長していくでしょうから、投資資金を引き揚げるということはしません。今後も米国にはこれまで通り投資をしていきます。ただ、しばらくは注意が必要でしょうし、日本や他の市場についてもいろいろ検討していこうとは思います。そういう意味ではこれからしばらくは米国インデックスよりも全世界株式の方がいいのかもしれません。