金利上昇下での金融関連株買いについての問題点

FRBの金融緩和縮小に向けた動きを受けて、米国の長期金利は上昇してきています。長期金利の上昇は株式市場にとってはマイナスですが、金融関連株にとっては収益環境改善が見込まれるためプラス要因とみられる傾向があります。実際、最近の金利上昇を受けて株式市場全体は下落していますが、金融関連株は比較的堅調に推移しているように思えます。この金利上昇局面での金融関連株買いについて問題はないのでしょうか。その問題について非常に重要な事実が掲載されている記事を見つけたので今日はそれを紹介したいと思います。

金利上昇で銀行株買いは正解か | 金融テーマ解説 | マネクリ マネックス証券の投資情報とお金に役立つメディア

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金利上昇を受けて金融関連株は堅調な推移をしている

今年に入り、米国をはじめ日本でも長期金利の上昇がみられるようになりました。それに合わせて株式市場は軟調な展開が続きますが、銀行株については比較的堅調に推移しています。

引用:マネクリ 金利上昇で銀行株買いは正解か より

一般的に金融関連株は金利上昇の恩恵を受けやすいため、このような状況下においては株価は上昇する傾向があります。今回も過去の状況と同じように金融関連株は市場平均よりも良いパフォーマンスを示しているため、その傾向は今も続いているとみられます。

長期金利の上昇が以前ほど金融関連株に恩恵をもたらしていない

しかし、現在の金融関連株というのは昔よりも長期金利の上昇の恩恵を受けづらいようです。下の図は金利と銀行の収益の関係を表したものです。

引用:マネクリ 金利上昇で銀行株買いは正解か より

細かい説明は省きますが、これを見ると長期金利の上昇というのは貸し出しや債券部門についてあまり収益に影響を与えないようです。これは昔に比べて銀行の収益環境が変化してきていることを表しているのでしょう。いずれにせよ、長期金利の上昇という理由だけで金融関連株が上昇すると決めつけるのは危険かもしれません。実際、過去15年間の銀行の収益と金利の関係を見てみても、全く相関関係はありません。

引用:マネクリ 金利上昇で銀行株買いは正解か より

現在の上昇は過去からの期待感でのもの

現在、米国では長期金利の上昇を受けて短期金利も上昇してきています。この影響のため、日本でも長期金利が上昇しています。しかし、先ほども述べたように長期金利の上昇というのは銀行の収益にあまり大きな影響を与えません。短期金利であれば大きな影響が出てくるので、今はその期待感から日本の銀行株も上昇しているのでしょう。ですが、日米の金利は長期金利は似たような動きをしますが、短期金利はあまり連動性はありません。これは政策金利の影響や投資家層の違いが影響しているとのことです。

期待が裏切られれば失望売りが出る可能性もある

今後の動きとしては米国は今年中にある程度の利上げを実施することは間違いないでしょう。過去の例を見てみると米国が利上げをすれば日本も遅れて追随することが多かったですが、今回もそのようになるかは不透明です。日銀の黒田総裁は利上げについて明確に否定していますし、これだけインフレが進んでいる中でも日本ではまだ大して物価は上昇していません。なので日本の長期金利が大きく上昇するという可能性は非常に低いのかなと思います。そうであれば現在の状況が金融関連株に大きな恩恵を与えるというのは幻想かもしれません。もちろん大きなマイナスということはないでしょうが、期待したほど収益が改善せず、決算はぴょうごに大きく株価が下げるというような展開も、もしかしたら今年後半にはみられるのかなと感じました。

まとめ

今日は金利と金融関連株の関係についてみてきました。金利の上昇は金融関連株にとってプラスだと思っていたので、そこまで大きな影響がない可能性も知ることができたのは非常に良かったと思います。これから長期金利の上昇が予想されますが、あまり金融関連株に対して強気になりすぎない方がいいのかもしれません。しかし、金利上昇下においては相対的に収益を上げやすいことは事実ですから、内容によっては十分投資対象として検討するべきでしょう。