個人マネーの海外流出が止まらない

私を始め、多くの個人投資家は米国をはじめとした海外への投資を加速しているようです。先日日本経済新聞にそのような記事が掲載されており、うすうすは感じてはいましたが、改めてその事実を確認したというところです。日本は30年もの間ほとんど成長をしていません。しかし、米国をはじめ海外の国々は何倍にも成長をしており、そのような現状を考えれば日本へ投資しようと思う人は少ないのも仕方ないのかもしれません。私も資産の多くを海外の投資商品へと移しており、今後もこの方針は変わる見込みはありません。別に日本を嫌いになったわけではありませんが、投資家としてはやはり成長のしないところへの投資というのはしづらいというだけの話です。というわけで今日は個人投資家のキャピタルフライトについてみていきます。

個人マネーのキャピタルフライトが加速している

6日に日本経済新聞に個人投資家の資金が海外へ流れているとのニュースがありました。

日本の個人マネーが海外株に殺到している。国内の投資信託を経由した海外株への投資額は2022年1~5月に2兆3000億円に膨らんだ。同日本株への投資額(3500億円)の6・6倍にのぼる。資本効率などで優れる海外企業を選好しているためだ。家計の資金が海外に逃避する「キャピタルフライト」の気配もあるようで、危うさが見え隠れする。

引用:日本経済新聞社より

日本の個人投資家は現在海外への投資に多くの資金を投入しているようです。その額は日本の約6.6倍とかなりの数字となっています。これはあくまで投資信託のみの話なので、個別株などの数字を加えればもう少し違った数字になるのかもしれません。しかし、この傾向が180度変わるということはないと思います。私もいろいろ投資をしてはいますが、今日本への投資を積極的に増やそうという話はほとんど聞かないからです。今回のニュースについてもその感覚を裏付けるようなものであり、やはり個人投資家は日本への投資は控えており、視線は海外へと移っているのであろうと感じます。

海外に期待するというよりも日本に期待できない

この海外投資熱というのは海外の方が優れているということもあるとは思いますが、それよりも日本に期待できないといった部分が大きいように思います。

注意すべきは海外投資熱から資金逃避の気配も読み取れることだ。「日本は成長するイメージがない。不安が大きい」と50代の女性投資家は国内株投信をすべて売却した。1990年から30年間で日本の名目国内総生産(GDP)は2割増、賃金は4%増にとどまるのに対し、米国のGDPは3・5倍、賃金は48%増に及ぶ。日本で成長を実感できない人はいるだろう。高齢化や財政悪化など国家的な課題も山積する。将来の不安から資産を海外に移そうと考えても不思議ではない。

引用:日本経済新聞社より

このように今海外へ投資している人の中には海外が優れているというよりも日本に期待できないという理由で投資している人が少なからずいるということです。正直な話、私もその一人といっていいと思います。30年間も成長をしてこなかった国に期待しろというのが無理な話だとは思いますが、今後の日本をイメージしても少子化や産業の空洞化など明るいイメージはあまりなく、投資意欲というのはあまりわかないというのが現実でしょう。

貯蓄から投資への動きがさらに資金流出を加速させる

その中で岸田政権は貯蓄から投資への動きを加速させようとしています。そのこと自体はいいことだと思いますが、現状を見ると、その投資先というのは多くが海外となる可能性が高いということです。であれば、せっかくの資金が海外へと流れてしまうこととなり、日本からさらに資金が逃げていくことになる可能性もあるのです。

岸田文雄政権は貯蓄から投資へのシフトを促そうとしている。NISA口座の開設数は21年12月末時点で約1800万と5年間で7割増えた。最近は20~30代の口座開設が目立つなど、投資の裾野は着実に広がっている。ただ、抜本的な構造改革で日本経済の力を底上げしないと、個人マネーを海外流出させるだけの結果に終わりかねない。

引用:日本経済新聞社より

そういう意味では本気で日本も成長戦略を見直さなければならないでしょう。この言葉はもう何年も聞いてきた気がしますが、いい加減限界にきていると思います。ここで踏ん張れなければ海外への資金流出が加速し、日本はさらに衰退していくでしょう。ある程度資産を築いている人であればそれでも何とでもなるかもしれません。海外で稼いだ金で安い日本で暮らすというのは案外いいかもしれませんし、いざとなったら資金だけでなく自分自身も海外へと逃避するという選択も可能です。しかし、弱者はそうはいきません。衰退していく日本と運命を共にせざるを得ず、さらに苦しい生活が待っているのです。なのでいい加減、成長などしなくていいなんてことを言うのではなく、きちんと成長できるようにしていかなければならないのです。

まとめ

今日は個人マネーのキャピタルフライトについてみてきました。今後もこの流れは続いていくでしょう。残念ながら今のところ日本に明るい未来が待っているようには思えません。そういう意味でも資金の海外流出は止まることはないと思います。個人としてはやはり身を守るという意味でも海外投資は続けていくつもりですし、投資について聞かれれば日本よりも海外を進めると思います。ただ、日本株についてもやはり日本人としては期待する部分もありますし、税制も優遇されているので多少の投資はしていくつもりです。できることであればもっと日本株への投資を増やしたいところです。なのでそのような環境をぜひ作ってもらいたいものです。