バフェット氏が日本株に強気な見方をして注目を集める

米国を始め、世界経済の先行きが不安定視されている現在、株価もあまり冴えない展開が続いています。しかし、その中にあっても比較的日本株については強気な見通しをしているところが多いような気がします。これまであまり注目されてこなかったため、割安で放置されているというものが多く、海外の株式が高すぎるという意味もあるのでしょう。そういう意味で日本株に大きな注目が集まっていますが、その中に世界的な投資家であるウォーレンバフェット氏も含まれているということで注目を集めています。

日本株に注目

先日、日本を訪れていたウォーレンバフェット氏がインタビューに答え、日本株について強気な見通しをしたことが話題となっています。

米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が「追加投資を検討したい」と日本株に強気な見方を強調したと日本経済新聞が11日、都内での単独インタビューを基に報じた。伊藤忠商事など5大商社株の保有比率がそろって7.4%に高まったことも明かしたという。

  バフェット氏は日本株について「今は5大商社の株しか持っていないが、次の投資先は常に頭の中にある。価格次第だ」と述べ、割安感が高まったら追加投資に踏み切る考えを明らかにした。

  バフェット氏が率いる米投資・保険会社のバークシャー・ハサウェイは2020年8月にかけて伊藤忠商事、丸紅、三菱商事、三井物産、住友商事の5大商社株を5%超取得し、その後22年秋には保有比率をそれぞれ6%台まで引き上げていた。20年8月に出資を明らかにした際には、5大商社の保有比率を9.9%まで買い増す可能性があると言及していた。

  アシンメトリック・アドバイザーズのストラテジスト、アミール・アンバーザデ氏は、バフェット氏は米国の鉄道セクターに投資していることから、日本でも同様に鉄道セクターに資金を投じる可能性があると分析する。その上で、割安感のある日本株は投資先として魅力的だと指摘した。

  報道を受けて三菱商や伊藤忠など商社株の上げ幅が拡大。三菱商株は一時前日比3%高の4898円と3月13日以来、約1カ月ぶりの高値を付けた。伊藤忠も3.2%高、丸紅が4.6%高、三井物が3.7%高、住友商は3.3%高までそれぞれ上げ幅を広げた。

  商社株が軒並み買われたことについて、T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジストは「明らかにこのニュースは相当株価にインパクトを及ぼしている」と語った。

  現在、バークシャーは円建て社債の発行を計画しており需要調査を実施している。これについて浪岡氏は「日本でニューマネーを調達して買うということで、日本のバリュー株に対して投資妙味を持っていることの表れだ」と指摘。国内外投資家が日本株投資を見直すきっかけになるだろうとの認識を示した。

  発行条件は14日にも決める予定。同社の円建て債は総額1150億円を発行した22年12月以来、6回目となる見込み。バークシャーは例年、資金の使途について詳細を公表していない。

  マニュライフ・インベストメント・マネジメントの押田俊輔クレジット調査部長は、「バークシャーに限らず海外の企業が円で資金調達することは、日本の金融市場に海外との接点ができるという点で良いことだ」と指摘。現時点では調達した円をドルやユーロにスワップする企業が多い模様だが、「日本に投資する企業が増えれば日本経済にとってもプラスになる」と述べた。

  日本の金融市場では11日、日本銀行の植田和男新総裁による発言も追い風となっている。同総裁は10日夜の就任会見で、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策とマイナス金利政策について、いずれも継続が適当との見解を示した。現行の緩和政策に急激な変更がないことを示唆したことで市場に安心感が広がっている。

  東京証券取引所が開示している海外投資家51社の株券売買状況によると、昨年12月時点では2236億円の売り越しだったが、今年に入り1月に5125億円、2月に2218億円の買い越しに転じている。

引用:bloombergより

このようにバフェット氏は日本株について強い興味を持っていることが伺えます。バフェット氏といえばバリュー株投資で大きな成功を収め、世界的に最も有名な投資家の一人です。そのバフェット氏が日本株に対して興味を持っているということは非常に大きなニュースと言っていいでしょう。実際、そのニュースが伝わると株式市場ではバフェット氏が物色しそうな銘柄が大きく上昇する場面もあったほどです。日本株は長く続く低成長の影響もあり、あまり注目されてこなかったところがあります。最近も新型コロナからの経済再開の流れを受けて世界では株価が上昇する流れが続いていましたが、日本はその流れからも遅れていたように思います。そういう意味で非常に割安で放置されている銘柄が多く、バリュー投資という観点で見れば有料銘柄が多く存在しているということなのでしょう。そして今年の成長見通しも先進国の中では日本は比較的高い部類にあるため、米国を始めとした諸外国よりも利益が見込めるというところなのかなと思います。

今後の成長戦略が重要

日本株が注目されるということは日本人である自分にとって素直に嬉しいことです。そういう意味では今後もこの様な動きが続くことを願いたいところですが、それは今後の政策次第なのかなという感じです。少なくとも2023年については日本は比較的優良な投資先であることは間違いないでしょう。これまであまり買われてこなかったということは事実ですし、日本全体が成長しないと言っても個別企業をしっかり見れば非常に優良な企業というのはたくさん存在します。そういう意味では投資タイミングとしては悪くないのかなと思います。少なくとも中短期では十分投資に値するだろうと思います。しかし、長期的に見ればやはり日本はこれから大きな成長を見込めるとは思えませんし、停滞ならまだしも衰退する可能性すらあると思っています。人口が減り続け、成長産業も見いだせないような状態ではそうなる可能性も否定できないでしょう。そうならないためにも、今後も日本株に投資してもらえるように日本という国の長期的な視点での成長戦略というものが大変重要になってくると思います。それができればバフェット氏のような投資家から投資をしてもらえるようになるでしょうし、できなければその投資というのは短期的なもので終わってしまうでしょう。そうならないように政治には頑張ってもらいたいところですし、我々も無関心ではいけないと思います。

まとめ

今日はバフェット氏の発言から日本株に対する今後の見通しについて考えてみました。短期的には日本株は買い見ていいのだろうと思います。割安であることは事実ですし、何よりバフェット氏を始め、多くの投資家が興味を持っているという事実は何よりも説得力があります。しかし、長期的にはやはりこのままではだめでしょう。そうならないためにもきちんとした成長戦略が重要になるのだろうと思います。