米国経済先行きはとても明るいとは言えない

米国経済の減速は確実に広まってきています。3月の米小売売上高は2ヶ月連続での減少となり、米国経済を支える消費の現場は大きくダメージを受けていることがわかりました。GDPの大部分を占める個人消費が冷え込んできているということで、今後の米国経済の先行きにも不安が残る形となっています。

小売売上高も大幅に減少

昨日発表された3月の米小売売上高はインフレなどを背景として大幅に減少となりました。

3月の米小売売上高は2カ月連続での減少となった。高インフレや借り入れコスト上昇の影響を受け、家計支出が冷え込みつつあることが示唆された。

  3月は13カテゴリーのうち、ガソリンスタンドや総合小売店、電気製品など8つで減少。自動車販売は1.6%減。ガソリンスタンドの売上高は5.5%減と、2020年4月以来の大幅なマイナスとなった。

  今回の統計では金融状況が引き締まり、インフレが長引く中、家計支出やより広範な景気のモメンタムが鈍化しつつあることが新たに示唆された。

  国内総生産(GDP)の算出に使用される飲食店と自動車ディーラー、建材店、ガソリンスタンドを除いたコア売上高は0.3%減。市場予想(0.5%減)よりは小幅なマイナスにとどまった。

  米小売売上高の統計で唯一のサービス分野である飲食店はわずかに増加。前月は減少していた。

引用:bloombergより

このように米国の消費は非常に冷え込んできています。長く続くインフレやSVB破綻により始まった金融不安により米国経済は大きくダメージを受けているということの現れでしょう。強い米国経済を支える一番のものは強い個人消費です。その消費がこれだけ減速しているということは米国経済にとってマイナスであることは間違いありません。

製造業も景気が悪い

当然ですが、消費が低調であるということは企業の生産活動にも影響を及ぼしてきます。米国の製造業の生産活動も大幅に低下してきているようです。

米製造業の生産は3月、今年に入って初めて減少した。企業が投資計画を徐々に縮小させている兆候が示された。

  製造業の生産指数低下は、木製品や非金属鉱物などを含む耐久財の生産減少が主な要因。自動車や家電などの耐久消費財は0.9%低下した。

  製造業の生産指数は前年同月比では1.1%低下。製造業の設備稼働率は78.1%に低下した。

引用:bloombergより

このように製造業の現場でもあまり景気の話は聞こえてこないようです。ものが売れないのであれば作っても仕方ないのでその生産を低下させるというのは当然でしょう。長く続くインフレや金融引き締め、金融不安など経済の先行きを不安定にする要因があまりにも多すぎる状態であり、経済活動はますます低下していく可能性が高いと言わざるを得ません。

リセッション回避は不可能?

去年末辺りから心配されていたリセッション入りへと一歩々々進んでいるような気がします。一時はリセッション回避も可能かと思われましたが、それはやはり難しいのかなという感じになってしまいます。インフレも上昇は止まってきたとはいえ、目標とする2%へと下落するには相当時間がかかりそうです。いわゆる粘着性のあるインフレはしぶといようで、FRBも非常に問題視しています。そしてそれをコントロールするのには時間がかかるとも見ているようです。そういう意味ではインフレ収束にはひじょうに多くの時間が必要ということでしょう。そしてそれまで経済はとてもではないですが、持ちこたえられるとは思えません。すでに限界に近いと言っていいような気がします。そういう意味ではやはりリセッションは避けられないのだろうという印象です。

まとめ

今日は米国経済の現状と先行きについて考えてきました。やはりあまり良い未来というのは待っていないのかなという印象です。とてもインフレが落ち着くまで経済が持つとは思えません。そういう意味ではリセッション入りも時間の問題というところかもしれません。ただ、短期的には厳しくとも長期的に見ればやはり上昇はしていくと思います。こういう悲観論に満ちているときこそ最良の投資タイミングであるということは忘れないでおきたいところです。