3月の生産者物価は大幅に鈍化。インフレ圧力は確実に収まってくるが、戦いはまだまだ続く。

米国のインフレは確実に鈍化してきているようです。昨日発表された3月の生産者物価の数値は大幅に下落し、インフレ圧力が確実に鈍化してきていることが確認されました。依然として米国経済を苦しめているインフレですが、その勢いは確実に収まってきています。

生産者物価は大幅に鈍化

昨日発表された3月の生産者物価は大幅に下落し、インフレが確実に落ち着いてきていることを確認できました。

3月の米生産者物価指数(PPI)は前月比ベースで、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が始まって以降最大の低下となった。ガソリン価格が下落し、インフレ圧力緩和に寄与した。

  食品とエネルギー除くコアPPIは前月比0.1%低下。市場予想は0.2%上昇だった。前年同月比では3.4%上昇で予想と一致した。

  総合PPIの前月比での落ち込みは、主として財価格の低下を反映。その80%はガソリン価格の下落に関連している。サービス価格は0.3%低下と、2020年4月以来の大きな下げ。主な要因は機械と自動車だった。

  3月PPIが前年同月比ベースで大幅に鈍化した背景には、サプライチェーンの正常化や商品価格の下落がある。

  ただ、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国で構成する「OPECプラス」の減産によって原油相場が上昇することで、PPIの伸び鈍化は向こう数カ月、限定される見込みだ。

  振れの大きい食品とエネルギー、貿易サービスを除くPPIは前月比0.1%上昇と、2020年以降で最も低い伸び。市場予想は0.3%上昇だった。

  今回の統計は、米金融当局がこの1年ほど続けた利上げを近い時期に停止するという論拠を高める可能性がある。連邦公開市場委員会(FOMC)は5月会合であと1回利上げすると市場では予想されている。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は今年に入ってPPIについて、政策決定の際に考慮する指標の一つだと述べた。

  ヘルスケアなどPPIの幾つかのカテゴリーは、FRBが重視するインフレ指標である個人消費支出(PCE)価格指数の算出に用いられる。ヘルスケア分野では入院患者と外来患者向けの医療費などが上昇した。

  ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、ジョナサン・チャーチ氏は「3月のPPIはデフレ的な領域に達したが、2月分が上方修正され、PCEのスーパーコア(住居費を除くサービス業)インフレ指標に使われるサブ指数は上昇した。これは、米金融当局がインフレとの闘いを緩められないことを意味する」と述べた。

引用:bloombergより

このようにインフレは確実に鈍化してきています。米国経済を苦しめている要因であるインフレがようやく落ち着きを見せ始めています。今回の発表以前よりやや鈍化の傾向を見せていたインフレですが、生産者物価の数値でもそれを確認することができたことは朗報と言っていいでしょう。ただ、このままなんの問題もなくインフレが落ち着くかどうかはなんとも言えないところです。3月の生産者物価は落ち着きを見せていますが、2月分は上方修正されています。また、サービス業を中心に依然としてインフレ圧力が強い分野も多く、油断はできません。また、先日OPECが大幅な原産の発表をしています。そのためエネルギー価格が今後上昇してくることはほぼ確実であり、そうであれば物価の上昇圧力として猛威を振るうこととなるでしょう。そういう意味では今回の発表を持っても先行きに対してあまり楽観的に離れないのかなという印象です。

まだまだ引き締めは継続するだろう

とりあえず、物価の落ち着きが確認できたことは良かったと言っていいのでしょう。しかし、株式市場が強い上昇をしていくのにはまだ時間がかかるものと思われます。先程も行ったように、中身を見るとまだまだインフレ圧力が強い分野も多くあります。また、OPECの減産など物価の先行きに対して悲観的な情報も多く、それほどインフレが落ち着かない可能性も十分高いのではないかと思います。そういう意味ではFRBも今回の結果を持って引き締めを緩めるという結論にはならないのかなと思います。FRB内部でも多少の意見対立はあるようですが、それでもインフレ抑制のための行動はためらうことなく行うべきという結論に異論はないように思います。そういう意味でも引き続き引き締めは継続するものと思われます。

まとめ

今日は3月の生産者物価について見てきました。物価が落ち着いてきたということは事実であり、それ事態は朗報と言っていいでしょう。しかし、まだまだ不安要素も多く、金融当局もそのことを十分に理解し、引き締めを継続するものと思われます。そういう意味ではまだまだ安心はできないのかなという感じです。