FOMCでは政策金利の据え置きが決定。利下げ期待はやや後退。

1月末には市場が注目するFOMCが開催され、事前の予想通り政策金利は据え置かれることとなりました。しかし、市場が期待するほどにはFRBは緩和に積極的ではない姿勢が見られ、やや失望が広がっています。FRBとしては緩和するもしないも決めているわけではないので、どうなるかはわかりませんが、今のところはやや株式市場も弱含みとなっています。

政策金利の据え置きが決定

昨日と一昨日には今年初めてのFOMCが開催され、政策金利の据え置きが決定されました。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は1月30-31日に開催した定例会合で、主要政策金利を据え置くことを決定した。金利据え置きは4会合連続。また金利引き下げにオープンな姿勢を示唆した一方、必ずしも直ちに利下げが必要なわけではないとの認識も示した。フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジは5.25-5.5%。

  米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、声明発表後の記者会見で「政策金利は今回の引き締めサイクルにおけるピークにある可能性が高く、経済がおおむね予想通りに展開した場合は景気抑制的な政策を元に戻すことが適切になる公算が大きいとわれわれは考えている」と発言。「適切だと判断すれば、われわれは現在のFF金利誘導目標レンジをより長期にわたって維持する用意がある」と述べた。

  その上で「3月を利下げ開始の時期と特定するような確信のレベルに委員会が同月会合までに達しそうだとは、私は考えていないことを言っておきたいが、まだそれは分からない」と発言。3月利下げは「最も可能性の高いケース、ないし基本シナリオと呼ばれるものでは恐らくないだろう」と述べた。

  会合後に発表した声明では、利上げの可能性を示唆する文言を削除し、代わりに今後の政策の道筋に関してより偏りのない文言を採用した。

  声明では「雇用とインフレの目標達成に対するリスクは、より良いバランスへと移行しつつあると委員会は判断している」と指摘。「FF金利誘導目標レンジに対するいかなる調整も、委員会はそれを検討する上で、今後入手するデータや変化する見通し、リスクのバランスを慎重に見極める」と記した。

  ただ、「インフレ率が持続的に2%に向かっているとの確信を強めるまで、誘導目標レンジの引き下げが適切になるとはみていない」とも声明は記述し、当局者らが利下げを急いでいないことを示唆した。

  記者会見では、インフレ率が2%に向かっているとの確信を強める上で何を確認する必要があるのかと記者に質問され、パウエル議長は昨年後半の望ましいインフレ指標に言及し、当局者らは最近数カ月に見られた「良好な」データの継続を目にしたいと考えていると回答。「もっと確認する必要がある」と述べた。

  FOMCは当局のバランスシートについて、毎月最大950億ドル(約13兆9500億円)での縮小を続ける意向を改めて示した。

  声明では経済活動に関する文言に微調整が加えられた。2023年10-12月(第4四半期)の成長率が予想を上回ったことを受けて、声明では経済活動が「堅調なペースで拡大している」と記された。

  このほか声明では、昨年3月以降に何らかの形で含まれてきた、銀行システムは「健全で強靱(きょうじん)」や、金融・与信状況の引き締まりが経済活動に影響を及ぼす公算が大きいとの文言を削除した。

  FOMCはまた、FRBスタッフや政策当局者による投資や取引に関する方針を更新。最も厳しい制限の対象となるスタッフの数を増やし、FOMCの機密情報にアクセスできるスタッフ全員に対する制限を強化した。

引用:bloombergより

このように今回のFOMCでは政策金利の据え置きが決定されました。それについては事前予想通りだったため、サプライズということではありませんが、その後のパウエル議長のか意見での発言がやや緩和期待を裏切るような発言だったために、市場ではやや失望売りが出ているという形です。会見内容を見る限りはこれまでの原則を述べているだけのような感じもするのでそこまで驚きはないような気はしますが、緩和期待を更に煽るものではなかったことは確かでしょう。そういう意味ではやや3月の緩和期待は後退したように思いますが、それは今後の経済指標でどうとでもなるのだろうと思います。

予想の範囲内

今回の内容については個人的にはすべて予想の範囲内という感じです。金利据え置きは当然ですが、パウエル議長の利上げに慎重な発言もそこまでおかしなものでもないでしょう。最近はやや緩和に積極的な発言もありましたが、基本的にはデータよって決まるということは以前から変わっていないと思います。また、利下げを行うタイミングについても安易に行うようなことは言っていなかったように思います。確実にインフレが鈍化していることが確認された後ということは以前から何度も行っていたはずです。そういう意味では今回の内容もそこまで驚くようなものではないでしょう。市場がやや緩和を期待しすぎていたといういつものことであり、何も個人的には変わらないのかなという感じです。

まとめ

今日は1月のFOMCについて見てきました。内容としては大きなサプライズはなく、予想の範囲内であったという感じです。ただ、市場の緩和期待に沿うようなものではなかったためやや株式市場は弱く推移するのかなという感じです。3月の利下げ期待はやや後退しましたが、それがどうなるかは今後のデータ次第でしょう。そういう意味では今月2月にはぴょうされる各種経済指標の行方は今後の金融政策にも大きな影響を与えることになるでしょう。