FOMCの声明は予想外に厳しい内容で今後の見通しはかなり厳しいのだろうか

21日に市場が注目していた9月のFOMCの声明が発表されました。その結果、9月も75bpでの利上げが行われることが決定となりました。そのこと自体は予想通りという感じでしたが、今後の見通しについては市場予想よりも随分とタカ派的な発表となっており、今後もより厳しい姿勢で金融政策を実行していくつもりであることが明らかとなりました。そのため株式市場では株価が大きく下落する展開となり、今後の展開が非常に不安視される展開となっています。というわけで今日は9月のFOMCについてみていきます。

声明内容はかなりタカ派

21日に9月のFOMCの声明文が発表され、今月も75bpでの利上げが行われることが決定しました。それについては事前予想の範囲ということでそれほど大きな問題にはならなかったと思われますが、今後の展開についてはやや厳しい見通しとなりそうな内容でした。

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、金融当局としてインフレ抑制に固い決意で取り組んでいると表明した。米連邦公開市場委員会(FOMC)は20、21両日に開催した定例会合で、主要政策金利を0.75ポイント引き上げることを決定。0.75ポイントの利上げはこれで3会合連続。また今後の利上げについて、従来予想より積極的な軌道を描くことになるとのシグナルを発した。

  パウエル議長は21日、FOMC会合後の記者会見で「われわれはインフレ率を2%に戻すため、政策スタンスを十分抑制的となる水準へと固い決意で変更している」と述べた。今回の利上げにより、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は3-3.25%となった。これは2008年初め以来の高い水準。

  声明と同時に公表されたFOMC参加者のFF金利見通しを示す最新の金利予測分布図(ドット・プロット)によれば、当局者らは政策金利について今年末までに4.4%、23年中に4.6%に上昇すると見込んでおり、予想よりタカ派寄りにシフトしていることが示された。これは次回11月のFOMC会合で4回連続となる0.75ポイント利上げが選択肢となり得ることを示唆している。

  インフレを目標の2%に押し下げることを当局者らが「強く決意している」というのが、主要なメッセージだとパウエル氏は述べ、「この任務が完了するまで根気強く続けていく」と付け加えた。

  さらに先の将来については、政策金利は24年に3.9%、25年には2.9%にそれぞれ低下するとの予測がドット・プロットで示された。

  今回の四半期予測では、前回6月時点と比較して政策金利の軌道がより急になっている。借り入れコスト急上昇で米経済がリセッション(景気後退)に陥る恐れはあるが、それでも金融当局がインフレを鈍化させる決意を固めていることを浮き彫りにしている。

  最新の四半期予測はまた、失業率が来年末までに4.4%に上昇し、24年末も同水準になるとしている。6月時点での予測は来年末までが3.9%、24年末は4.1%だった。

  経済成長率については23年が1.2%に、24年は1.7%にそれぞれ下方修正された。政策引き締めの影響をより大きくみていることを反映している。

引用:Bloombergより

このようにパウエル議長は今回の発表においても非常に強い言葉でインフレを抑制していく決意を述べました。その中で注目されるのは今後の金利見通しを示したドット・プロットです。今回示されたものは従来予想よりもかなり厳しい引き締めを見込んでいるものでした。それはつまり今後もこれまでのような非常に大きな幅での利上げが行われる可能性を示したということです。市場では75bpというような大幅な利上げというのは9月で終了し、今後はやや緩やかになると見込んでいました。しかし、FRBは今後についても大幅な利上げを行う余地を残しているということが判明し、市場は大きく動揺したのです。それだけインフレ抑制に強い決意をもって臨むという意思表示なのだろうという印象です。

市場も大きく反応

そのため声明発表後はマーケットでは大きな反応があり、株価は下落し為替も一気にドル高が進みました。商品市況も今後の景気後退を反映し大きく値を下げる結果となっています。確かに今後もこのような厳しい引き締めが続くというのであれば景気にとっていいことはないでしょう。しばらくはあまりよい経済状況というのは望めないといった感じです。FRBも来年以降の経済成長見通しを下方修正しており、景気回復まではかなりの時間を要しそうな雰囲気です。もちろんこの反応というのもFRBは織り込み済みなのでしょう。さすがにこれを予想していなかったとは思えません。そういう意味でも今後の経済低迷というのはけってしたものと思った方がよさそうです。

まとめ

今日は9月のFOMCについてみてきました。75bpというのは予想通りであり何も問題ないというところですが、今後の見通しについてここまで悲観的に見ているというのはやや予想外でした。FRBは大きな景気後退をせずにインフレを抑えることは可能と述べていただけに、さすがに今後についてはここまで厳しくするとは思っていませんでした。しかし、今後もこれまでのような厳しい姿勢で臨むというのであればさすがに景気後退というのはもう避けられないのではないかという印象があります。多くの識者が言う通り、米国の景気後退というのはすでに既定路線ということなのかもしれません。