米国株式の先行きはやはりきびしいといわざるを得ないかな

今週はFOMCが開催されることもあり、FRBの金融政策に非常に注目が集まるところですが、株式市場についても非常に気になる話も出てきています。ゴールドマンサックスやモルガンスタンレーといった金融大手が相次いで米国株式市場の先行きについて下方修正をしました。景気の後退が現実味を帯びてきている中、FRBが金融政策を引き続き引き締めていくと思われるため、株式市場にとっては非常に厳しい未来が待っているといっていいのだろうと思います。というわけで今日は今後の株式市場について考えていきます。

米金融大手が相次いで米国株式の先行きを下方修正

先日、ゴールドマンサックスとモルガンスタンレーが相次いで米国株式の先行きについて非常に厳しい見方を示しました。

予想より強い米消費者物価指数(CPI)と物流大手フェデックスの警告というダブルショックを踏まえ、米企業利益と株式バリュエーションにリスクが押し寄せているとウォール街の主要ストラテジストはみている。

  モルガン・スタンレーのマイケル・ウィルソン、ゴールドマン・サックス・グループのデービッド・コスティン両ストラテジストは金融引き締めと企業利益率への圧迫を主な懸念要因に挙げ、収益性への向かい風が強まっていると指摘する。ウォール街きっての弱気派で知られるウィルソン氏は「現実が十分に織り込まれるのは、まだずっと先のことだ」と述べた。

  米企業利益のアナリスト予想はこのところ、失速気味ではあるが、なお過去最高水準に近い。S&P500種株価指数が今年、19%下げているにもかかわらずだ。見通し修正は企業のガイダンスに依存しているほか、米株価指数が比較的ディフェンシブな性質であることもあり、「出遅れる」ことが少なくないとモルガン・スタンレーのウィルソン氏は指摘。ボラティリティー(変動性)の高まりに注意を呼びかけた。

  先週の米株式市場は大荒れとなり、S&P500種は週間で4.8%下げ、大型ハイテク株の比重が高いナスダック100指数は1月以来の大幅安となった。

 ゴールドマンのコスティン氏は「物価過熱を示唆する統計で、株式バリュエーションと収益性の見通しに不安が生じた」と指摘。同氏のチームはS&P500種採用銘柄の純利益率が2023年に25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し、株式リターンへの押し下げ圧力を強めると予想している。

  ゴールドマンのストラテジストらは、収益性への圧力が高まり金融が引き締まる状況においては資本収益の高い銘柄が注目されるとして、アルファベットやドミノ・ピザ、フィリップ・モリス・インターナショナルなどを挙げた。

  一方でモルガン・スタンレーのウィルソン氏とチームは「利益が安定し営業効率の高い、ディフェンシブ性の高い銘柄を買い増すことを引き続き推奨」している

引用:Bloombergより

このように、ゴールドマンサックスとモルガンスタンレーという2つの金融大手の相次ぐ厳しい見通しが発表されたのです。先日、物流大手のフェデックスが予想外の悪い決算内容により市場は大きく動揺しました。そのため株式市場は大きく下げることになりましたが、それはもしかしたら今後起こる株式市場の下落のきっかけだったのかもしれません。もちろんまだそれが確実だとは言えませんが、現在のマーケットを冷静に見てみると、とても楽観できる状態ではないことは言えるのではないかと思います。

株式市場を支えるものは乏しい

今後、株式市場の後押しをするような物が出てくる可能性は非常に低いといわざるを得ません。FRBは今や景気よりもインフレ抑制に第一を置いています。そのためよほどのことがない限り引き締めの手を緩めることはないでしょう。FRBが無理なのであれば政府に期待したいところですが、支持率が低下している政権に有効な手立てが講じられるとは思えません。選挙も近いため、何かしらの景気対策はしてくるとは思いますが、状況を大きく変えるようなことにはならないでしょう。

何もかもが厳しい状況

やはり今後については悲観的な人たちの言う通り、厳しい見通しといわざるを得ないでしょう。明るいニュースといえば、雇用環境は今のところ堅調であるということと、原油価格が下落してきたということかなと思います。雇用がとりあえず安定してるのであればそこまで経済が大きく落ち込むということはないのかなとは思います。しかし、このままいけば雇用にも必ず影響は出てくるとは思うので、楽観視はできません。原油価格の下落というのはいいニュースであることは間違いありませんが、裏を返せばそれだけマーケットは今後の景気後退を予想しているということでもあり、素直に喜べないといったところです。いずれにせよ、若干の明るいニュースについてもよくよく見てみればそこまでいい話でもないのかなというくらい厳しい状況ということです。

まとめ

今日は今後の株式市場について考えてみました。正直、全くと言っていいほど明るい未来は見えません。やはりある程度は覚悟しておいた方がいいのでしょう。今後しばらくは厳しい投資環境は変化しないと思っていた方がよさそうです。ただ、何度も言いますが永遠に下落するマーケットというのはありません。成長を続けるのであれば必ず株価は上昇するはずです。日本のように30年も成長しない特殊な国もありますが、世界全体で見ればこれからも成長は続いていくでしょう。そういう意味では投資をあきらめるという選択はする必要ないと思います。いつか来る明るい未来のために今は種を仕込んでおく時期です。