ISM製造業総合景況指数は予想外に悪いものとなる

インフレと金融不安による経済の悪化が確実に起こってきているようです。先日発表されたISM製造業総合景況指数は市場予想を大きく下回るものとなりました。米国経済の悪化は随分と懸念されてきましたが、その流れはさらに加速してきているようです。

製造業はかなり厳しい状況に陥っている

昨日発表されたISM製造業総合景況指数は市場予想を大きく下回るものとなりました。

米供給管理協会(ISM)が発表した3月の製造業総合景況指数は、市場の予想以上に低下し、2020年5月以来の低水準となった。新規受注と雇用の指数低下が特に目立った。

  今回の統計は、金利上昇とリセッション(景気後退)懸念の強まり、貸し出し状況の引き締まりが企業の設備投資に重しとなり始めている可能性を示唆している。そうした状況に加え、製造業セクターは既に需要面での困難にも直面している。消費者の間で裁量支出の対象をサービスへとシフトさせる動きが進んでいるためだ。

  3月の新規受注は44.3に低下。生産指数は前月から改善したものの、なお縮小圏にとどまった。雇用指数は46.9に下げて2020年7月以来の低水準。同指数は3カ月連続での低下となった。

  ISM製造業調査委員会のティモシー・フィオレ会長は、「新規受注のペースは引き続き低調だ。製造業の成長がいつ再開するのかを巡り懸念が強まっている」と指摘。「需要の先行きは不透明だ」と付け加えた。

  3月は12業種で活動が縮小。特に家具と非金属鉱物製品、繊維で縮小が目立った。6業種は活動が拡大した。

  縮小圏の雇用指数についてフィオレ氏は、記者団との電話会見で、製造業企業による採用凍結とレイオフを反映していると説明した。これは昨年と状況が異なる。昨年も雇用指数が縮小圏に低下したが、それは空きポジションを埋めるのが困難だったためだ。

  入荷遅延指数も下げて14年ぶり低水準。低調な需要が、サプライチェーンの混乱緩和に寄与している。ここ数カ月安定していた在庫も下げて縮小圏となり、約2年ぶり低水準。

  仕入れ価格指数も下げ、コスト低下が示唆された。

引用:bloombergより

このようにものづくりの現場は非常に厳しい状況となっているようです。随分前からテクノロジー企業を中心に人員整理の動きが活発になってきていました。企業業績もあまり良いものはなく、いずれはこの様な事態は起こるだろうという予想はしていましたが、ようやくその時が来たような気がします。受注も雇用も低水準て推移しており、経済状況の悪化は深刻な状況へと向かっていることは間違いないでしょう。

予想通りに事は進んできている

やはり米国経済の悪化は予想されていたとおりになりそうです。おそらくは今後はこの流れは加速していくことでしょう。サービス業などは製造業よりはマシなような気はしますが、おそらくはそれも長続きはせず、同じように悪化してくるものと思われます。そして好調だった雇用にもその影響は出てきているようで、製造業の現場では雇用も低調です。そのため雇用統計などの公式な数値にもその影響が出てくることもそう遠くないと思います。以前より予想されていた米国経済の後退がもうすぐそこまで来ていることを示すような発表であり、ついにその時がきたという感じです。そして現状、インフレは高く停滞しており、金融不安も未だ解決していません。その中でFRBは難しい舵取りを要求されており、ますます不透明感が増したと言っていいでしょう。おそらくこの状況ではインフレを抑えるという目的のために緩和へと移行することはないような気がします。しかし、それであれば経済へのダメージはさらに大きくなり、さらなる金融機関の破綻や企業業績の悪化、雇用の不安定化などを起こす危険性は増すばかりです。そういう意味では米国経済の先行きはとても明るいとは言えないということだろうと思います。

まとめ

今日はISM製造業総合景況指数について見てきました。製造業の現場ではかなり景況感が悪化してきていることがわかりました。この流れは徐々に米国経済全体へと広がっていき、数カ月後には大きな負の流れとなって米国全体を覆うことになるのだろうと思います。やはり当初予想されていたとおり、今年の米国経済はあまり良い結果にはならないだろうと言っていいのだと思います。そういう意味では厳しい時間はまだまだ続くということです。短期的な売買をしている人は注意が必要です。