著名な悲観論者が楽観論を述べだす米国

インフレの落ち着きとともに、米国経済に対する先行きに対する楽観論も徐々に増してきています。これまで何が起きても悲観的なことばかり言うような人たちでさえも現在の状況では楽観的になる人も多いような気がします。それだけ現状の米国経済は思っているほど悪くはないということであり、投資家としては非常に良い兆候であると思っています。

悲観論者の楽観論

モルガンスタンレーのマイケル・ウィルソン氏は現在の株式は過去の強気相場の状況に告示していると述べています。

モルガン・スタンレーの弱気で知られるストラテジスト、マイケル・ウィルソン氏は、米国株は29%上昇した2019年と同じ道筋をたどっているとの見方を示した。

  同氏はリポートで「今日のデータは、現在が政策主導の後期サイクル上昇相場であることを示唆している」と指摘。19年は連邦準備制度が金利据え置きの後に利下げをし、年末にかけてバランスシートを拡大させた。

  「そうした展開は今年と同様に、収益ではなくほとんどバリュエーションのみで力強い上昇相場を演出した」と分析した。

  S&P500種株価指数は今年これまでに19%上昇したが、これは前年の下落から回復した19年の同時期に記録したリターンとほぼ同じ。今年は米経済が予想以上に持ちこたえソフトランディングへの期待が高まったため、投資家は業績不況を無視した。

  ウィルソン氏は「19年との比較そのものが、ひとりでに指数レベルでの一段の上昇を示唆する」とした上で、米連邦準備制度が19年の7月には既に利下げをしていたことや、現在のバリュエーションが当時のピークを上回る水準に既に近づいているなどの違いも挙げた。

  22年の株価下落を正しく予測したウィルソン氏だが、今年の弱気見通しはまだ実現していない。同氏のチームはいずれ経済が新たな上昇サイクルに入る可能性があるという見方にオープンだとしつつ、「この点に関してわれわれチームの見解を調整する前に、景気循環の幅広い指標が上昇に転じ、上昇銘柄の幅が広がり、フロントエンド金利が低下するのを確認したい」と同氏は説明した。

引用:bloombergより

このようにウィルソン氏は現在の株式市場に対して非常に強気な見方をしています。ウィルソン氏といえばエコノミストの中でも悲観論者として有名であり、いついかなる時でも悲観的なことを論じている印象があります。その同氏ですら現在の状況では強気な見方をしているようであり、そういう意味ではとても心強い味方を得たような気がします。もちろんこの予想が必ず当たるということはありませんし、過度な期待を持つことはいけませんが、少なくとも行き過ぎた悲観論は修正すべき時期に来たと言っていいのだろうと思います。

非常に心強い

正直、ウィルソン氏がこれほどの強気な発言をするというのは予想外です。個人的にウィルソン氏が強気な発言をするのは初めて見たような気がします。もちろん私が知らないだけでそんなことはないとは思いますが、そう感じてしまうほどに常に悲観的な論評で投資家に対して注意を即してきた人だと言っていいと思います。その同氏がこれほどの発言をするというのは本当に流れが変わったと見るべきなのだろうと思います。インフレはもうかつての勢いはありません。そして経済状況も良いとは言えないかもしれませんが、予想したほど悪化していないように見えます。そして一番の懸念事項であった労働市場は非常に堅調であると言っていいでしょう。雇用が悪化すれば消費は一気に悪化し、消費者心理も急激に悪くなるでしょう。仕事があるということはそれだけ消費者、社会経済に与える影響は大きく、そこが安定しているということは何よりも重要なことです。そういう意味では米国経済はまだまだ強いと言っていいでしょうし、インフレが落ち着いて今、そこまで悲観する必要もないと言っていいのだろうと感じます。

まとめ

今日は先行きに対する強気な見方について考えてきました。ウィルソン氏ほどの人がこのような発言をするというのは非常に心強いと言っていいでしょう。そういう意味では今後の展開にも期待がモテると言っていいと思います。しかし、状況は刻一刻と変化します。たとえ今良好であっても明日もそれが保証されているというわけではないことは頭に入れておいたほうがいいでしょう。