債務上限問題はようやく最終段階へと向かい出した

世間を騒がせてきた債務上限問題ですが、ようやく集結を迎えることができそうです。先週、バイデン大統領とマッカーシー下院議長との間でデフォルトを回避することについての原則合意をすることができました。これにより一応問題の集結への道筋がついたと言っていいでしょう。ようやく大きな懸念事項が一つ片付いたという感じですが、まだ最終的な集結というわけではないので油断は禁物です。

デフォルト回避に向けて動き出す

先週、バイデン大統領とマッカーシー下院議長が債務上限問題について、デフォルト回避に向けたて、原則合意をしたことが明らかとなりました。

ホワイトハウスと下院共和党の交渉担当者は27日夜、連邦政府の法定債務上限を実質的に引き上げ、世界経済に激震を与えかねない米国のデフォルト(債務不履行)を回避することで原則合意に達した。

  バイデン大統領とマッカーシー下院議長(共和)は同日夕に約1時間半、電話協議を行い、原則合意を取りまとめた。今後は最終的に法案として上下両院での可決にこぎ着ける必要がある。合意には民主・共和両党の強硬派からの反対が予想される。

  議長は28日に大統領と再び協議し、31日に採決を行う方針を表明。「まだやるべきことが多く残されているが、これは米国民に価値ある原則合意だと確信する」と、連邦議会議事堂で記者団に語った。

  バイデン大統領は27日夜の声明で、マッカーシー議長との間で原則合意に達したと表明した上で、合意内容は妥協の産物であり、「誰もが望むわけではないことを意味する」と説明した。

  大統領はさらに、合意によって政権と議会民主党の重要な優先事項と立法面の成果は守られると指摘。交渉担当者が法案テキストの最終的な策定作業を行うとし、上下両院に迅速な可決を訴えた。

  原則合意には、債務上限の適用停止に加え、非国防支出を今後2年間にわたりほぼ現行の水準に据え置く歳出合意が盛り込まれた。事情に詳しい関係者1人が匿名を条件に明らかにした。

  債務上限適用停止の期間は2025年1月までで、24年11月の大統領・議会選挙後までとなる。枠組みに詳しい一部の関係者は、25年1月1日に適用が再開されるとする一方、別の関係者は正確な日程について、これからまとめられる法案テキスト次第だと論じた。

  メディケイド(低所得者向け医療保険)受給に関する就労義務の要件厳格化は盛り込まれなかった一方、「補助的栄養支援プログラム(SNAP)」として知られる低所得者向け公的食料費補助は、就労義務の適用される年齢を段階的に54歳にまで引き上げる。

  大統領と議長は27日夕、電話で協議を行った。事情に詳しい関係者2人が明らかにした。債務上限問題を巡る交渉の担当者は合意取りまとめの協議を急いで進めてきた。

  電話協議はワシントン時間午後6時(日本時間28日午前7時)ごろに始まり、7時半までに終了したと関係者の1人は語った。バイデン、マッカーシー両氏が最後に対面で会談したのは22日。

  議長は電話協議に先立ち、「数時間」以内に合意があるかもしれないし、妥結まであともう数日かかるかもしれないと述べていた。

  イエレン財務長官は26日、債務上限の引き上げもしくは適用停止が講じられない場合、財務省は資金繰りを続けるための特別措置を6月5日までに使い切るとの見通しを明らかにした。

  共和党交渉担当者の1人であるマクヘンリー下院金融委員長は、「双方の間には大きな相違点が複数ある」と話し、こうした相違点の大半はトップ2人で解決しなくてはならないとコメントしていた。 

  また、バイデン大統領はまとまりつつある合意について、既にシューマー上院院内総務、ジェフリーズ下院院内総務の議会民主党トップと話をしたと、関係者の1人が明らかにしていた。

引用:bloombergより

このことにより事態は大きく動くことになるでしょう。民主・共和両党のトップが合意したということでおそらくは妥協点を見つけるべく着々と進んでいくものと思われます。しかし、あくまでデフォルトを回避するということに合意したというだけであり、中身についてはまだまだ隔たりは大きいようです。そういう意味では余談は許されないということではあるでしょう。とくに両党ともに強硬派が一部存在しており、安易な妥協については強硬に反対する可能性もあります。そうなれば最悪議会を通過できないという可能性もないわけではありません。そういう意味では問題解決の道筋は見えたけど、まだまだ油断はできないというところです。

プロレスの終焉

以前より壮大なプロレスだと言ってきましたが、やはりそのとおりになったなという感じです。米国がデフォルトに陥ったところでどちらも喜びはしないでしょう。であれば期限までに妥協するというのは当然といえば当然です。そういう意味ではくだらない政治ショーを見せられたということかなと思います。ここで変にゴネて問題を解決しないような姿勢を見せれば国民からの評価というのは急降下することは間違いありません。そういう意味でも引き際はキチンをわかっていたということです。一応、まだ集結したわけではないので問題が起こる可能性もありますが、ここで変に強行に出れば反対派はもちろん、支持者からも批判されることは間違いありません。そういう意味ではそうなる可能性は非常に低いのだろうと思います。

まとめ

今日は米国の債務上限問題について見てきました。壮大なプロレスの終焉も近くなってきました。これによって本来の問題であるインフレと経済についてようやく本腰を入れることができるようになるでしょう。実体経済は思っているほどよいとは思えません。インフレもしつこく、スタグフレーションなどの急激な景気悪化の懸念も残ったままです。それらの問題がどのようになっていくのか非常に気になるところですし、それが徐々に意識れていくことになるでしょう。