5月の消費者信頼感指数は非常に低調なものになる

米国経済の現状がどうなっているかというのは気になるところですが、肌感覚としてはやはりあまり良いものとはなっていないようです。先日発表された消費者信頼感指数は6ヶ月ぶりの低水準となり、依然として景況感は明るくはなっていないようです。債務上限問題は解決しそうな感じですが、これを持って問題解決とはやはりなりそうもありません。

5月の消費者信頼感指数は非常に低調

先日発表された5月の消費者信頼感指数は非常に低水準のものとなり、景況感は依然として低調であることが確認されました。

米民間調査機関のコンファレンスボードが発表した5月の米消費者信頼感指数は、6カ月ぶり低水準となった。債務上限交渉の妥結を前に、労働市場の現状を巡る見解や先行きのビジネス環境に関する見通しが悪化した。

  信頼感指数は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の水準をなお大きく下回っており、景気に関して不透明感が強まっていることを浮き彫りにしている。6カ月後の雇用増加を予想する回答比率は2016年以来の低水準。労働市場は家計の支出を支える柱となっている。

  現況指数は148.6と、年初来の低水準に悪化。今後6カ月の見通しを反映する期待指数はわずかに低下した。ビジネス環境が改善するとの回答が11年以来の低水準になったことが影響した。

  今回の調査はホワイトハウスと共和党が債務上限問題で原則合意する前の5月22日までに実施された。

  コンファレンスボードの経済担当シニアディレクター、アタマン・オジルディリム氏は「現状に対する認識がやや悪化し、見通しが依然として暗いため、5月の消費者信頼感は低下した。しかし、6カ月後の雇用と所得に対する見通しは底堅さを維持している」と指摘した。

  ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、イライザ・ウィンガー氏は「消費者は5月に労働市場の状況がもっと明確に落ち着いたと判断した。労働需要に陰りがみえ、需給不均衡の是正にとって一助となっている。総需要の鈍化を反映し、労働市場はさらに軟化すると予想している」と述べた。

  現況について「雇用が十分」との回答と「職を得るのは困難」との回答の差は、21年4月以来の水準に低下した。エコノミストは労働市場の逼迫(ひっぱく)状況を判断する指標として、この差に注目している。

  ただ、自動車や住宅、大型家電の購入計画は改善しており、個人消費の底堅さを示唆した。

  1年先のインフレ期待(中央値)はほぼ変わらず。26日に発表された4月の米個人消費支出(PCE)統計では、食品とエネルギーを除くコア価格指数の伸びが加速した。

引用:bloombergより

このように米国の経済は依然として低調です。半年後の数値としてはやや期待を持てるような気がしますが、それでもやはり明るい期待感を抱けるようなものではありません。ただ、これは債務上限問題が一定の成果を上げる前に行われたものであり、そういう意味ではやや悲観的になっている可能性があるとは思います。それでも先行きに不透明感があることは否めません。

金融政策は依然として引き締め傾向か?

このように景気に対する懸念は高まるばかりですが、金融政策は依然として引き締めが継続される可能性もあります。

米リッチモンド連銀のバーキン総裁は30日、インフレが緩和に向かうことを確信するために、需要が冷え込んでいる兆候を確認したいと述べた。

  バーキン総裁は全米企業エコノミスト協会(NABE)が主催したオンラインイベントで「需要を低下させることでインフレ率を押し下げる必要があると考える」と発言。「需要が実際に減退しつつあり、それがインフレを低下させ始めるという確証を得たい」と語った。

  物価の伸びは減速しているとバーキン総裁は指摘。その上で「どのような見方をしても、インフレ率は高過ぎるようにしか見えない」と続けた。

  同総裁は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で議決権を持たない。

引用:bloombergより

このようにバーキン総裁は今後の金融政策ついては今後の経済指標次第という発言をしました。これはつまり結果しだいで引き締めを継続することもあり得るということです。実際発言を見ると現状はまだインフレが高すぎると見ているようであり、何もなければ引き続き引き締めが妥当と判断するのだろうと思います。もちろんこれはバーキン総裁の考えであり、FRBの総意というわけではありません。しかし、このような意見も少なからずあることは事実です。そういう意味ではまだまだ油断はできません。

先行きは依然として暗い

米国経済は相変わらずといったところでしょう。債務上限問題はなんとか解決しそうな感じですが、予想通り一部からは反対が出てきています。これをきちんと抑えられるかが問題ですが、その行方については全くどうなるかわかりません。仮にうまくいったとしても今回の発表にある通り、米国の景況感は非常に悪化しています。そういう意味では株式市場の力強い上昇というのもあまり期待できないと見たほうが良さそうです。

まとめ

今日は5月の消費者信頼感指数について見てきました。ある程度わかっていたことですが、未だ景況感は低調です。これが反転する見込みは全く見えないというところでしょう。しばらくは厳しい状況が続くことはこれまで通り変わりないということです。