ゴールドマン・サックスが来年度の株価をさらに上方修正

最近ではFRBの予想外にハト派的な姿勢を見せたことから来年度にはかなりの金融緩和が期待できるのではないかという観測が出てきています。企業業績はそこまで素晴らしいという感じはしませんが、金融政策による後押しを期待できそうということで市場では先取りした動きが出てきています。そんなこともあって来年の株価予想も相次いで引き上げられてきています。

来年度株価予想を上方修正

ゴールドマン・サックスでは来年度の株価予想について上方修正を最近行いましたが、それをさらに引き上げたようです。

ゴールドマン・サックス・グループのストラテジスト陣は、S&P500種株価指数の2024年ターゲットを設定してからわずか1カ月で上方修正した。

  先週の米金融当局によるハト派転換やインフレ鈍化に伴い、実質利回りは低下し、株価のバリュエーションを下支えするだろうと、とデービッド・コスティン氏が率いるチームがリポートで指摘。「株式はすでに前向きな経済活動を織り込んでいたが、足元ではさらに強固な見通しを反映している」と述べた。

  コスティン氏は、来年末までにS&P500種が5100に達すると予想。バンク・オブ・アメリカ(BofA)やオッペンハイマー・アセット・マネジメントなどと共に、S&P500種が来年、最高値を更新するとみている。コスティン氏は11月半ば時点の予想である4700からさらに約9%上方修正した。

  また前年比5%増としている来年の企業利益見通しについて悲観的すぎることが判明するかもしれないとも指摘した。金融環境の緩和が経済活動と企業収益を押し上げる可能性があるためだという。

  コスティン氏はまた、株価が大きく跳ね上がる中でも、マネー・マーケット・ファンド(MMF)には今年、金利の上昇に伴い1兆4000億ドル(約200兆円)が流入しており、流入額が米国株の950億ドルを大きく上回っている点に言及。「金利が低下に向かえば、投資家は現金の一部を株式に振り向けるかもしれない」とした。

  ウォール街でも今年、とりわけ弱気な見方を示していたモルガン・スタンレーのマイケル・ウィルソン氏ですら、米金融当局によるハト派転換はソフトランディング(軟着陸)を実現できるよう、金融政策のシフトを確実に間に合わせたいと考えていることの表れだと指摘している。米金融当局がインフレ率を目標まで下げることよりも成長維持を優先すれば、リセッション(景気後退)を回避できる確率が高まるため「これは株式にとって強気の展開だ」という。

  ウィルソン氏はハト派転換がいずれインフレ再加速を招くリスクはあるものの、「株式投資家にとっては歓迎すべきニュースであり、ハト派的なガイダンスに対する債券市場の反応を踏まえればなおさらだ」と指摘。市場は米金融当局が政策判断を誤っているとはみていないようだと、同氏は記述している。ウィルソン氏は来年のS&P500種のターゲットを4500で維持している。これは直近終値を5%近く下回る水準だ。

引用:bloombergより

このようにゴールドマン・サックスでは来年の株価予想を引き上げました。ゴールドマン・サックスは最近この予想を引き上げたばかりですが、さらなる引き上げを行ったということでかなり強気な見方をしているなという感じがします。このような株価に対する強気な見方をするところは少なくなく、先日もS&P500が5200へと到達するという予想を紹介したばかりです。そういう意味ではこのような強気な見方というのはマーケットにおいて大きな流れとなっているようです。

全てはデータ次第

ゴールドマン・サックスでもこのような強気な予想をしているということで、来年の株価に対して強気になる人も多くなることでしょう。実際、金融政策もこれ以上厳しくなるということはあまり考えられず、景気もそこまで良くはならないだろうとは思うので、金融政策による後押しやそれを期待する株価の上昇は十分に考えられるところです。しかし、重要なのは本当に金融政策は緩和方向へと向かうのかというところです。先日、パウエル議長がやや緩和的な発言をしたことは事実ですが、それを確定したということではありません。実際、その後FRB関係者が相次いで来年度の緩和期待を打ち消すような発言をしており、まだ何も決まっていないということをアピールしています。そういう意味ではまだまだ来年の金融政策がどのようになるかはわからないというのが正直なところでしょう。もちろんあらゆる可能性を考えているということは間違いないでしょうから、その中で緩和の可能性も考えているというところだと思います。なのであまり現状で来年の金融政策に対して決め打ちをするのは良くないような気がします。特にインフレはまだまだ高いことは事実です。このインフレが順調に落ち着いていけば金融政策も緩和傾向へと進むとは思いますが、そうでなければそこまで緩和方向へと向かうことはないでしょう。つまりはインフレがどのように落ち着くのかに全てはかかっているのかなと思います。逆に言うとインフレが落ち着かない限り、金融緩和は実行されないのだろうと思います。

まとめ

今日は来年度の株価予想から金融政策について考えてみました。結局の所、インフレが落ち着くのかどうかというところによるのだろうと思います。インフレが落ち着くのであれば金融政策も緩和傾向へと進むでしょうし、そうでなければ金融政策も高位で維持されるでしょう。つまりはデータ次第でどうとでも変わるということだということです。そのことは頭に入れておくべきだろうと思います。