パウエル議長の発言により、利下げの可能性はさらに後退したと言っていいでしょう。

利下げの時期は更に遠のいたのかもしれません。昨日行われた討論会にてFRBのパウエル議長が公演し、現在の金融政策や今後についての発言をしました。その内容を見る限り、早期の利下げについてはあまり可能性がないのかなという印象をうけました。もちろん、長期的な見通しについて変更があるわけではないので年内の利下げは行われるという見込みに変わりはありません。しかし、確実に状況は後退していることは事実でしょう。

パウエル議長の発言

昨日行われた討論会にてFRBのパウエル議長は以下のような発言をしています。

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、最近のインフレデータから判断して、金融当局が利下げに必要な確信を得るのにはより長い時間がかかる可能性が高いとの認識を示した。

  議長はインフレについて、昨年末に速いペースで鈍化したものの、その後は一段の進展が見られないと指摘。物価上昇圧力が根強く続いた場合は、金融当局は「必要な限り」金利を据え置くことが可能だと述べた。

  議長は16日、ワシントンでカナダ銀行(中央銀行)のマックレム総裁とパネル討論会に参加。「最近のデータがわれわれの確信を深めるものでないことは明らかであり、それどころか確信を得るには想定以上に時間がかかる可能性が高いことを示唆している」と議長は語った。

  また、「労働市場の強さとこれまでのインフレ面での進展を踏まえると、景気抑制的な金融政策が作用する時間をさらに与え、当局としてデータと変化する見通しを指針とするのが適切となろう」と述べた。

引用:bloombergより

このようにパウエル議長は述べ、今後の金融政策についてはかなり慎重な見方をしたと言っていいのかなと思います。現在の政策金利についてはしばらく据え置く可能性を指摘し、インフレが確実に落ち着くまで辛抱強く待つことが重要であることを述べています。そういう意味でも今後も現状が変わらない限り、政策金利も変更しないということはまず間違いないでしょう。そしてそのへんかというのがかなり確実なものであると確証が得られるまでその変更は行われないということもそうなのだろうという感じです。少々のインフレ鈍化を示す経済指標が出てきたところでFRBは利下げを実行することはないでしょう。これまでもインフレ鈍化を思わせるようなことがあったとしても、すぐにそれを打ち消すようなものが出てきたりと非常に曖昧な状況が続いています。それがより確実にインフレ鈍化を決定させるようなものが出てくるまで利下げは行われないのかなという感じです。

利下げはかなり後退したと言っていいような気がする

パウエル議長の姿勢はやはり利下げには慎重な姿勢であると言っていいのだろうと思います。おそらくは相当程度の証拠が揃わない限り、利下げを行うことはないと見ていいと個人的には判断しました。年内に利下げは多くても2回程度かなと思いますが、それも現状を見る限りかなり確率は低いと言っていいような気がします。おそらくは1回程度か、もしくは利下げが行われない可能性も低くはないと個人的には思っています。今回の発言を見る限り、利上げはよほどのことがない限りないとは思いますが、その可能性も今後の展開次第では考えなければならなくなるかもしれません。いずれにせよしばらくは現状維持が続くでしょう。辛抱強くインフレが落ち着くのを待つしかないという感じです。

まとめ

今日は今後の金融政策について考えてきました。パウエル議長の発言にもあったとおり、しばらくはこのまま何も変わらず維持されていくことでしょう。利下げは相当程度後退したと思っていいような気がします。そしてあらゆる指標がインフレ鈍化を示し、これ以上ないというところまで現状を維持しつつ利下げに踏み切るという感じかなと思います。そういう意味ではおそらくは年内に1回程度の利下げが一番可能性が高いような気がしています。