小売売上高は予想外に強い。個人消費の勢いは止まらない。インフレも止まらない。

米国経済は力強さを失いません。昨日発表された3月の小売売上高は市場予想を上回る結果となり、個人消費は底堅く推移していることが確認されました。消費が堅調ということで、今後も物価圧力は続いていくものと見られ、インフレもなかなか落ち着くことはなさそうです。そういう意味では利下げの時期は更に遠のいたと言っていいのかもしれません。

個人消費は引き続き旺盛

昨日発表された3月の小売売上高は市場予想を上回る結果となりました。

3月の米小売売上高は市場予想を上回る伸びとなり、前月分は上方修正された。底堅い消費需要が、驚くほど力強い経済成長を支え続けていることが示された。

  自動車とガソリンを除いたベースの小売売上高は前月比1%増だった。

  国内総生産(GDP)の算出に使用される飲食店と自動車ディーラー、建設資材店、ガソリンスタンドを除いたコア売上高は前月比1.1%増と、昨年1月以来の大きな伸びとなった。2月も上方修正され、第1四半期のGDPに寄与した可能性が高い。

  今回の小売売上高統計は、4-6月(第2四半期)に向けて個人消費に強い勢いがあったことを示唆している。強い労働市場を背景に家計需要が支えられる状況が続けば、インフレが定着して金融当局による利下げ開始が一段と遅れる可能性がある。

  キャピタル・エコノミクスの米国担当次席エコノミスト、アンドルー・ハンター氏は「このところ雇用の伸びが再び力強さを増していることと並び、個人消費の底堅さ継続も、金融当局が利下げ開始までさらに長く待つと思わせる理由だ。利下げは9月までないと当社では考えている」と述べた。

  3月は13項目のうち8項目で増加。特に無店舗小売りが大きく伸びた。ガソリンスタンドの売上高も大幅増。ガソリン価格の上昇が背景にある。一方で自動車・同部品は減少した。

  小売売上高は総じて財の購入を反映している。財は個人消費全体に占める割合が相対的に小さい。今月下旬には、インフレ調整後の実質ベースでの財・サービスの消費支出データが発表される。

  ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、エステル・オウ、イライザ・ウィンガー両氏はリポートで、「消費者は依然として高金利を意識しているが、所得の増加が日々の消費を支え続けている。3月の小売売上高データは第2四半期に入る前の段階で消費が当初の想定より力強かったことを意味し、これは年内に予想される消費の緩やかな減速が一段と遅れることを示唆している」と分析した。

  小売売上高で唯一のサービス項目である飲食店は前月比0.4%増。食料品店は0.5%増と、昨年8月以来の大きな伸びとなった。

引用:bloombergより

このように米国の個人消費は相変わらずの強さを見せています。消費が堅調ということであれば物価が落ち着くという理由にはならないでしょう。未だ強いインフレも今後もしばらく強く維持されることが見込まれます。そういう意味ではFRBは利下げの決断を早期にするということはなさそうです。今の所、長期の予測については変更はなさそうですが、その修正が行われるかのせいも高くなったのかもしれません。

しばらく状況は変わらない

相変わらずの消費の強さといったところです。米国の消費者はこれだけの物価圧力がある中にあっても消費を緩めることはなく、インフレをどんどん押し上げていっているといった感じです。本当にこの消費意欲というものはすごいの一言だと思います。日本人もこのくらいの消費意欲があったのであればとっくにデフレから脱却し、経済も成長していたのではないかと感じてしまいます。いずれにせよ、米国経済を苦しめるインフレはまだまだ収まることがないということは決定しました。利下げもまだまだ行われることはないでしょう。そういうことで為替もさらに円安ドル高へと進んでおり、しばらくこの流れは変わることはないように思います。日銀が実質賃金の上昇を確認したあとに多少の政策変更をするかもしれませんが、圧倒的な日米の経済状況を考えると、現在の為替状況がそう大きく変わるとは思えません。しばらくはこの程度の状況は維持されるのではないかという感じがします。

まとめ

今日は3月の小売売上高について見てきました。米国の消費者の消費意欲というのは本当にすごいなという感じです。しかし、その影響は大きく、インフレも当然ながらなかなか落ち着くことはないでしょう。そういう意味では利下げの判断は相当先送りされるものと思われます。今の所、年内利下げの判断に変更はないとは思いますが、この状況が続けばそれも変わる可能性があることは認識しておくべきでしょう。